「金運線が…」島田秀平 自らが証明していた「手相占い」の信憑性
「運が良かったのは、メダリスト、政治家、アイドル…膨大なデータを蓄積できたことです」
これまで北川景子の結婚時期を的中したり、乃木坂46としてデビューする前の白石麻衣に「グループ全体が上がる」「幸運の女神」と伝えたり、ブレイク前の平野ノラに赤色が良いとアドバイスしてきた芸人の島田秀平。
実は女性お笑いカルテット「ぼる塾」の田辺智加(通称 田辺さん)が芸人になったきっかけもまた、島田秀平の占いにあったことを、テレビで語っている。しかも、田辺さんは当時一般人で、たまたまロケをしていた島田に手相を見てもらったところ、「人気者になる」と言われ、「人気者=芸人」だと思ったそうだ。

これを機に再び「予言がすごい」とネット上で話題になった彼にインタビューを申し込むと、冒頭から平身低頭、こう否定してみせる。
「いやいや、全然すごくないんですよ!
これは占い師全般に言えることなんですが、例えば1000占ったとして本当に当たるのなんてめちゃくちゃ少ない、打率でいったらすごい低いのに、皆さんは優しいので、当たったときだけ『以前、こう言っていたよね』と言って下さるんです。僕なんかの場合、『ちょっと当たったな』と思うものの、その下には、ものすごい数の当たっていない屍が眠っているんですから。
だから、(田辺さんの占いの話は)実は全然覚えていないんですけど、ある現場で『テレビで島田のこと言ってたよ』と聞きまして。まだ1回もお会いしていないので、いつかお会いできるタイミングがあったら、こちらからお礼を言いにいきたいんです」
また、「予言」という表現に対しては「いやいや、本当にそれはおこがましいです」とマイルドに抵抗を示す。
「“よげんに”は、『予言』と『預言』の2つあって、予言はあらかじめ言う占いとか未来を当てるほうで、預言は神様から預かってそれを言うとか、ニュアンスが違うみたいなんですね。
僕の場合、あくまで手相や四柱推命などを勉強して言っているだけで、『この手相があった人は歴史的にこういう人が多いですよ、この線が入っているので、この先、こういう可能性があるかもしれないですね』というくらいの弱いもので。生年月日など誰でも計算できる式によって、今年プライベートの出来事が起きやすいとか、今年不測の事態が起きやすいとかはすぐ出せるんですよ。
だから、『2年後の〇月〇日にこういう男性と出会ってこうして付き合って、こうなります』みたいなことを具体的にズバズバ言える人はすごいな、予言だなと思います。例えば、ゲッターズ飯田さんとかは勉強と知識量で『学問』としてやっていると思うんですけど、星ひとみさんやLOVE ME DOさんはたぶん占星術の知識および霊感・インスピレーションでやっている気がします」
自らは「勉強してきただけ」というが、占いとの出会いは、2002年に原宿の母に「あなた、向いてるから教えてあげる」と言われたことだった。ただし、もともとスピリチュアル系の不思議なこと、目に見えないこと、お化けなどが好きだった一方、理系人間であるために「占いなんてインチキ臭い」と思っていたという。
「だって、血液型占いで人間4パターンなわけないし、誕生日占いだって、365パターンなわけないし。同じ日に生まれても、それぞれ人生は全く違うじゃないですか。
でも、手相は全く同じ人がいないから、ちょっと面白いなと思って、原宿の母に教えてもらいに行き始めたんです。ただ、お母さんのような人なので、ご飯を食べさせてもらうのが目当てで、何か一つ特技になればなあというくらいだったんですが」
そこから一気に占いにハマるきっかけが、後輩の「ザ・たっち」である。
ザ・たっちに感謝!
「彼らは一卵性双生児なのでDNAが一緒で、生まれた日ももちろん一緒で、画数も一緒。だから、どの占いも全く一緒にならなきゃいけないのに、性格が全然違うんですよ。
お兄ちゃんのたくやは努力型で、弟のかずやは要領よくこなす天才・直感型ということを知っていたので、『お前らだって同じ占い結果のわけないよな?』と言い、二人の手相を見たら全然違っていたんですよ。
まさにたくやのほうにコツコツ努力型の手相があって、かずやのほうは直感型で。しかも、かずやのほうだけ人気線・モテ線がめちゃくちゃ長くて、たくやにはなくて。スタッフさんに話したらビックリして、言うんです。『それ、すごいです……なぜかわかんないですけど、同じ顔で双子なのに、かずやのほうだけファンレター来るんですよ』と。
それで本人たちに聞いたら『当たってます。僕(かずや)のほうだけ学生時代に彼女がいました』と言うんです。それで手相にハマってしまいまして。ザ・たっちに感謝です」
ところで、占い師はよく自分自身のことは占えないとも聞くが、これには「生年月日でも手相でも結果は出るから、占えないはずはないんですよ。だったらお前の人生はどうなんだ?と言われるからだと思います」と懐疑的だ。
「僕の場合、ちょっとイヤらしい話になるんですが、手相の本を1冊目、2冊目、3冊目と出して、表紙に毎回自分の手を載せているんですが、手相を見られる人に『島田君、さすがだね。表紙の手相がどんどん変わって、一番伸びているのが金運線だよ』と言われたんです(笑)。
実は手相を始めた頃に、金運線がグンと伸びたことに自分でも気づいたんですが、当時はちょうど芸人としてコンビを解散した直後で、仕事をこの先どうしようというときだったので、『なんで金運線が伸びてくるんだろう』と思ったことを覚えています。でも、改めて確かに見返すと1冊目から3冊目で手相が全然違っているんですよ」
島田流「手相の読み方」
今までの体験をもとに、島田が提案するのは、スマホで3ヵ月ごとに自分の両手の手相を撮影する「手相日記をつけること」だ。
「手相の変化は3カ月程度で実感できるので、過去と比べてみて、良い線が出てきたと思ったら、そのときにやっていることが自分に合っているんだなと思って良いし、短くなったり薄くなったりしたら、自分で修正しなきゃと考える材料にもなる。
手相日記を占い師さんに見てもらうのも良いですね。例えば、仕事の運勢はお金にあらわれるので、薬指の下の縦線の金運線が、長ければ長いほど良い。金運線が『伸びてる』『濃くなってる』と思ったら、自分の今進んでいる方向は間違ってないと思っても良いと思います」
ところで、手相を左右どちらの手で見るかについては、流派によって考え方が異なるというが、「今をあらわすのが左、もともと持っているのが右」という考え方が多いそうだ。
「テレビでは時間が短いので、左で見ることが多いですが、厳密に言うと両方見たほうが良いかもしれないですね。
あるいは、右が持って生まれた資質で左が現在なので、右の手相のほうが左よりも良い人はまだ努力が足りない状態で、左が右に近づいてくると、ちゃんと素質を伸ばしているといった見方もできなくはないです」

活躍している人にある共通の線
「僕の場合、運が良かったのは、有名人の手相を見る機会が仕事柄多いこと。M-1のファイナリストたちや、内村航平さんや吉田沙保里さんのようなオリンピックのメダリスト、政治家など、すごい数のサンプルがとれて、データを蓄積できたことです。
例えば、石田純一さんのように会う前から恋愛がお盛んだとわかっている人の場合、『こういう人だからこういう手相なんだ』という答え合わせもできますし(笑)。
面白かったのは、AKB48のグループ全員で300人以上の手相を鑑定する仕事を何年もやっていたこと。
一人ずつ見ていると、途中から『あれ? なんでみんな同じ線があるんだろう』となるんです。
割合として全体の4%くらいしかいないのに、AKB48グループ内では半数くらい該当していたのが、生命線と頭脳線が交わらずに離れているタイプ。昔はふざけて『KY線』と呼んでいましたが、今は『じゃじゃうま線』とか『マイペース線』と呼んでいる線です。
日本人には少ないけど、海外の人には多く、女性の場合は特に信念が強いとか、猪突猛進な方にある線で、活躍している若手女優さんにも結構見られます。グループ内で頭角をあらわすとか、芸能界のトップをいく人に多いですね。ちなみに、宝塚出身の女優さんもほとんど離れていますね」

オリジナルで命名した線は200以上。そんなの、勝手に作っちゃって良いの?とも思うが……。
「もともと手相の世界である線もたくさんあって、『金星環』とか『ヴィーナスライン』とか、難しい名前なんですよね。なぜ僕がこういう名前をつけるかというと、手相を楽しいものにしたかったからなんです。
手相の本って、かつては本屋の隅にあって、表紙もおどろおどろしく暗いイメージがあったんですよ。
でも、手相を自分で勉強してみて、『これ、コミュニケーションにめちゃくちゃ使えるな』と思って。人を元気づけることもできるし、ちょっとHな人が多いなら『エロ線』っていっちゃうほうが、キャッチーでわかりやすいし、みんなで盛り上がれるな、と。お笑いをやっていたからこそ思いついた手法ですね」
非常に気さくで温和で話しかけやすい雰囲気があるが、街を歩いているときにも「手相見て」と言われることが多いと話す。
「もちろん時間がない時は無理ですが、そうでなければ結構見ていますよ。
ただ、例えばダンディ坂野さんが5人に囲まれても『ゲッツ!』って1回やればいいところ、手相はそうもいかない。一人見るだけで5分とかかかるので、5人もいたら25分もかかってしまうんです。だから、満足はさせられないんですけど。
一番大変だったのは6年前に東京マラソンを走ったとき。42.195キロずっと沿道から『手相見て』って言われて、途中から『見れるか!』となって、それでだいぶタイムが遅れましたよ(笑)」
ところで、手相や四柱推命、風水など、様々な占いを勉強してきたというが、どんなときにどの方法を用いるのだろうか。
「実は手相って一番アバウトなんですよ。『こういう線があるからこういう人』だとか『この運がきている』とかは言えるけど、例えばいつ結婚のチャンスがあるといったことは『20代後半かな、30代前半かな』くらいしか言えないんです。
そこで僕の場合、手相をベースに、生年月日を合わせて見るようにしています。タロットカードとかも出た結果を自分がどう読み取るかのセンスですが、そのときの体調と、相手との相性とでバチーンとハマるときがあるんですよ。
最近だと、自分でもよく当てたなと思うのは、毎年バナナマンさんのラジオに呼んでいただいている中で、『年末に大きな音楽の仕事をされます』『麺類のCMやります』と占ったこと。そしたら、NHK紅白歌合戦の副音声と、パスタのCMをやられたんです。
自分流の計算式があって、キーワードが出てくるんですよ。まず『年末あたりに大きなことあるな』となって、『食べ物』『長い』とかで自分の中で考えて、『麺類だな』と思ったんです」
『土』から『風』の時代に
島田秀平といえば、「手相芸人」で有名だが、「都市伝説」や「怖い話」「パワースポット」など、様々なモノを手掛けてもいる。
「自分で思うんですよ、全部胡散臭いなと(笑)。僕、昔から本当かどうかわからないけど、ちょっと面白いワクワクする世界が大好きで、僕の中ではみんなつながっていることなんですよ。
それに、僕が大事にしているのは、バナナマンさんや有吉弘行さん、さまぁ~ずさんなど、『胡散臭い』と言って下さる先輩方がいること。
なぜなら、占いって一つの参考程度のもので、どっぷりハマってしまうのは危険だと思うから。
手相を見られるようになると、最初は謙虚でも、どんどん勘違いし始めて、2年も経たないうちに『〇〇しなさい』と命令したり、脅したりするようになって変わっちゃう人がたくさんいるんですよ。
マネージャーとか事務所の上の人に言われてよく覚えていることがあって。それは『島田、本とかが売れると、明日からお前のことを先生って呼ぶ人が同期でも先輩でも後輩でも増えてくるよ。そのとき、誰が先生って呼んで、誰が呼ばないのか、それが良いか悪いかは別として、お前は初心を失わずにそうした人の変化を見ておけよ』と。
実際、テレビに出た翌日から『先生!』って言われるようになって、その気持ちにはどこか妬みや蔑みもあると思うので、自分は勘違いしちゃいけないんだなと思いました。
有吉さんなんて『来たな! インチキ! お前なんか手のシワ見る変態だな』とか言いますけど、それは僕に対する優しさもあるし、『占いって楽しいけど、ハマると危険だよ』というのを視聴者の方々にちゃんと伝えてくれていると思うから、本当にありがたいんです」
今はコロナ禍の影響で、見えない力にすがりたいと思う人も多いかもしれない。だが、星の配置により、2020年を機に時代が変わることは多くの人が指摘していたという。
「2020年は、『土』の時代から『風』の時代に変わった大変換期で。200年前は産業革命があり、生き方が変わりましたが、それ以来の大変動が厳密に言うと2020年12月22日に来て、ガラッとこれまでの価値観が通用しなくなると。
それが良い方向かと思ったら、残念ながらこっち(コロナ禍)だったわけですが……。
これまでは土で、モノ、物質文明、一流大学とか権威とかが大切だったけど、風は真逆で、目に見えないもの、精神文明、つながりとか絆とか通信、コミュニティとかが大切な時代に変わる。この転換期は2025年までかかり、2026年から本格的に風の時代に入るらしいんです」
こういうした転換期には、「〇〇すべき」といった頑なな考えに縛られるのが一番危険で、柔軟にやってみることが大切だという。キーワードは「土」から「風」に、働き方や価値観を変えることだそうだ。
「土と風の大きな違いって、動かないことと、動くことなんです。
土の時代は一つの企業に勤めあげるとか、一つの仕事を極めることが美徳とされたし、移動できないから上を目指すしかなかったので、ある意味険しい時代でした。でも、風の時代はいかに動けるかが大切で、縦移動じゃなく、横にずれてみる。
僕自身、所属している事務所にはすごい先輩がいっぱいいるので、土の時代だったらその人達を超えて、テレビにたくさん出て冠番組を持つことが目標だったと思うんですが、今はYouTubeでやってみよう、何か違うコミュニティを作ってみようといった目線がすごく大事だと思っています。
今は漫才と手相、怪談、都市伝説などの他に、実は5年前から代々木公園の前でペットサロンもやっているんですよ。
犬が好きだということもありますが、人の手相をずっと見てきて『犬の肉球占いってできないかな』と思い、代々木公園のドッグランに行ってはワンちゃんと飼い主さんに『すみません、肉球見せてもらって良いですか』といってデータをとってるんです。
ただ、難航しているのが、肉球って全部丸いだけで違いがないことで(笑)。ヤバいな、違いが作れないかと思って、最近は鼻を見たり肛門を見たりしています。
ドッグランで犬の肛門を追っかける変なおじさんがいたら、それは僕です(笑)。それに何が良いって、犬は喋れないから『外れてるよ』とか言わないですからね(笑)」
取材・文:田幸和歌子
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。
撮影:各務あゆみ