開示請求で発覚!35万人「五輪反対署名」を東京都が無視していた | FRIDAYデジタル

開示請求で発覚!35万人「五輪反対署名」を東京都が無視していた

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「開示クラスタ」の請求で明らかに 

5月5日からオンライン署名サイト「Change.org」で宇都宮健児弁護士が五輪中止を求める署名を始め、35万筆を超える署名が集まった段階で、東京都知事に要望書を提出したのは5月14日のこと。 

要望書は、小池百合子東京都知事宛として、オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長・田中彰氏に手渡している。同署名の賛同者は7月1日現在、43万5千を超えているが、その後、署名がどのように反映されたのか気になっている人は多いのではないだろうか。 

(写真:アフロ)

そんな矢先、“開示請求の鬼”こと「開示クラスタ」のWADA氏が、気になる情報を寄せてくれた。それは、開示クラスタの30代男性が小池百合子・東京都知事に対して5月24日に、以下の件名で開示請求を行ったというもの。

「宇都宮けんじ氏が5月14日(金)に小池百合子東京都知事宛の『人々の命と暮らしを守るために東京五輪・パラリンピックの開催中止を求める要望書』を提出したことについて、1、この要望書を提出を受けて開催中止についての検討プロセスや意思決定のプロセスや意思決定のプロセスなど(都知事への報告などやりとりを含む)一切の文書が図面や電磁記録」(原文ママ)

それに対して6月4日に「非開示決定通知書」が届く。そこで開示しない理由として書かれていたのが、以下の文言である。 

「宇都宮けんじ氏からの要望書を受けて開催中止についての検討プロセスや意思決定のプロセスなどについては、実施機関では当該文書を作成および取得しておらず、存在しない」(原文ママ)

この文言について、WADA氏はこんな解説をしてくれた。

「”実施機関”とは、この署名を受け取ったオリンピック・パラリンピック準備局だけでなく、『東京都』のことなんですね。都では、検討プロセスや意思決定のプロセスなどの文書を一切作成及び取得していない。つまり、要望書を受け取ったにもかかわらず、都では要望書について何の検討もしていない、完全に放置していたということです」 

発起人・宇都宮けんじ氏、憤りをあらわに

提出当時で35万人超の声を、受け取っただけで何の検討もせず放置していたのなら、あまりにひどい対応ではないだろうか。

この要望書について、 「東京都オリンピック・パラリンピック準備局広報担当」に質問書を送付したところ、

「当局ホームページで公表されていない公文書の開示については、個人情報保護の観点から回答は控えさせていただきます」

「都としては、現下のコロナ対策に全力を尽くすとともに、引き続き、安全・安心な大会の開催に向けて、国・組織委員会等、関係者と連携・協力し、着実に準備を進めていきます」

「(「署名」をもとにした要望書が提出された場合、一般的にはどのようなプロセスでその中身や要望の受諾・拒否等について検討がなされるのかについては)署名をもとにした要望書をはじめ、都にお寄せいただいた提言・要望等は関係各局等へ伝達されます。各局においては、関係部署に共有され、施策実施に向けた参考や検討など、都政運営に活用させていただいております」

という回答があったのみ。

国会でも会見でも具体的な回答は示されず、ひたすら 繰り返される「安全安心」のフレーズ。むしろ2021年7月現在では、最も胡散臭いフレーズと感じる人も多そうだが……。

そこで、宇都宮健児氏にこの「結果」をお伝えしたところ、憤りをあらわにした。

「非常にけしからんことですよね。要望書の提出は代表して僕が行いましたが、背後にはあの当時で35万人の声があるわけですから。これは明らかに都民、国民の民意を軽視しているということだと思います。 

アメリカでは、政府宛ての要望書が一定数超えたら必ず回答しなければいけないとか、要望の多い順に政府の広報やHPに掲載しなければいけないことになっています。同じことはソウル市でもやっています」 

要望書を手渡したあと、会見をする宇都宮氏(写真:アフロ)

日本では、署名に対する法律や条例などないのだろうかと尋ねると、宇都宮氏は言う。

「請願署名や陳情であれば、議会に提出され、採択するかどうか諮られますが、これはオンライン署名で請願というかたちではありません。 

しかし、何故オンライン署名にしたかというと、請願は一定の形式を踏まえる必要があり、今それをするには、街頭に出て接触を増やし、むしろ感染を拡大させるリスクがあるという矛盾した行為になるからです。 

ただ、陳情とか請願という形式ではなくとも、数十万の人の声を代表しているのですから、きちんと検討するべきですよね。 

今回、このように完全に署名を踏まえての要望書を無視した理由の一つは、おそらくきちんと検討を行ったら、専門家の意見を踏まえる必要が出てきて、世論も多くが反対している状態で、中止せざるを得なくなるからでしょう。 

それに、法律的には『国民主権』で、官僚や政治家は本来、国民に対する奉仕者なんです。にもかかわらず、日本にはなぜか官尊民卑的な考えが昔からあって、この署名無視もまた『下々のものが何を言っているんだ?』といった考え方のあらわれではないかと思います」

「Change.org」の発表によると、開始3日目で20.6万筆を超えたこの署名は、史上最速のペースだったという。

「英語とフランス語、ドイツ語でも発信しており、海外のメディアの方が先に報道したり取材したりしてくれたんですよ。 

現在までに41社の取材がありましたが、その3分の2が、イギリスやアメリカ、ドイツ、フランス、ノルウェー、スウェーデン、香港、シンガポール、韓国など、海外メディアです。 

BBCではトップニュースとして扱われたと聞いています。ところが、日本はいわゆる五大紙(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞)がスポンサーをやっているから、五輪開催反対をなかなか報じない。 

IOCバッハ会長やコーツ副会長が上から目線で日本人の国民感情を踏みにじるような発言を連発しても、菅首相は抗議もしない。そうした状況で、IOCって何なのかという感情が今、日本中に広がっていますよね」

「女性はいくらでもウソをつける」という杉田水脈氏のジェンダー差別発言に対する抗議署名が13万筆となった際にも、自民党は受け取りを拒否した一件は、記憶に新しい。

政府も都政も「民意を無視する」という体質が今の日本のスタンダードになってきてしまっているのだろうか。

では、どうしたら今の政府や都政、さらに無視されたまま耐え続ける私たち自身を変えることができるのだろうか。その問いに対し、宇都宮氏は力強く語った。

「一つは選挙です。直近では、都議選が7月4日にありますが、自民公明都民ファーストは、オリンピックについて中止や延期をはっきり公約に掲げていません。 

それに対し、オリンピックの中止もしくは延期を掲げる野党が、どれだけ支持を広げられるか。それがこのまま民意を無視し続ける人々への一つのダメージになってきます。 

あとは現実に感染爆発が起こり、オリンピック前や最中に緊急事態宣言になった場合はさすがに対応を考えるでしょう。地震や津波など、天災は止められないけど、オリンピックは政治が決断すれば止められる。形としてはIOCが決定権を持っているけど、政府と東京都が無理だと言っているのに、強行できないと思います。 

菅首相は、オリンピックでテレビにみんなが釘付けになり、あとはワクチンで支持率が回復し、オリンピック後に解散総選挙を迎えるという“賭け”に出ている気がしますが、そこでは国民の命を守るという意識が完全に欠落しています。 

こういう運動や声をあげることは、一つ一つ責任を追及していく過程でもあるんです。7月11日に東京のまん延防止等重点措置が期限を迎えますが、その時点で感染拡大していたら、第二弾を考えていきますよ」

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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