ツイートが話題《わたくし92歳》さんに聞く「今の日本への不安」 | FRIDAYデジタル

ツイートが話題《わたくし92歳》さんに聞く「今の日本への不安」

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90歳になった時、そろそろ言いたいことは言っても良いんじゃないかと思ったんです 

「結局、あの時のように突っ込んで行く。私はまだ10代で何が起きているのかよくわからなかった。ただ大人たちは何を言わず、当たり前のように進んで行った。今コロナの感染が拡大する中で五輪に突っ込んで行く日本が戦前と重なりながらも少し違って思え、自分でも整理できずにいた。」

「今朝、わかった。今回も政府は突っ込んで行く。しかし、国民のほとんどが、それを間違いだと言い、反対している。皆んなわかっている。そして、その中に私もいる。」

こうしたつぶやきが7月21日、Twitter上で話題になり、多数の「いいね」を獲得していた。ツイート主は、Twitterアカウント《わたくし92歳》さんこと、東京都在住の森田富美子さん(92歳)。Twitterで度々政治のこと、社会のことなどをつぶやき、現在、1万6000人超のフォロワーがいる注目の人だ。いったいなぜTwitterでこうした発言を? ご本人を直撃した。

(撮影:安部まゆみ)

娘には『スマホ依存症』と笑われます…

森田富美子さんがTwitterで公につぶやき始めたのは、90歳の時に開設した「わたくし90歳」から。昔からTwitterはLINEがわりに身内だけで鍵をかけてやっていたそうだが、90歳になってから「言いたいことを言わせてもらいます」とこのアカウントを開設したと言う。

「本格的につぶやくようになったきっかけは、昨年8月9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で、安倍(晋三)さんが6日の広島市の平和記念式典で行った挨拶とほぼ同じ文章で挨拶をしたというある方のツイートを見てから。毎年コピーで同じ挨拶していることがわかって、悲しくてなりませんでした。

 ちょうど特別定額給付金の10万円で欲しかったiPadを買ったのもきっかけとなり、もっとツイートしようと思ったんです。 

ツイートは長崎にいる同級生も見ていて、『あのバカたれどもが』とか書いたときは、『あまり過激なこと書いちゃダメよ』と電話の向こうで大笑いしています。『戦時中なら憲兵に連れて行かれ拷問。その覚悟で書いている』とツイートしたこともあります。 

そもそも給付金だってもともと私たちの税金ですからね」

「私が政治についてのツイートをバンバンする日は、暴言が出ないかと仕事中の娘は気が気じゃないようです。仕事の合間にスマホでTwitterを見、冷や冷やしていると言います。 

ネトウヨさんたちに絡まれるのではないかということも心配なようですが、今のところ一人二人しかいないですね」

スマホのアプリで血圧、体温、血糖値、排便、歩数、スケジュールなど全て管理しているという富美子さん。実は今年2月に血糖値が異常に高くなり、入院寸前になったそう。しかし担当の女医先生が、「この方は自分で管理できる方だから」と他の医師を説得し、入院を免れた。血糖値測定が日課に加わったのはその時からだそうだ。

この日も取材で話したいことを忘れないようにとスマホにメモしてあり、取材スタッフが驚きの声をあげると、「娘には『スマホ依存症』と笑われます」

16歳のときに長崎で被爆

富美子さんは、昨年夏のツイート(前出)をきっかけに、これまで語りたくなかった、語ることを避けていた戦争体験被爆体験が体の奥から吹き出してくるのを感じ、慣れないiPadで一気にツイートし始めた。

富美子さんは76年前、16歳の時に長崎で被曝し、父母と弟三人を亡くしている。「私の体験を繰り返さない為に、私自身が語っていかなければならない」と思ったそうだ。それら被爆体験のツイートを見た毎日新聞から取材の申し出があり、昨年の9月25日付で動画とweb記事が配信され、同時に予定されていなかった新聞記事にもなった。

動画の再生回数が上がると毎日新聞はTikTokでショートバージョンを公開。すると、1000人以上のコメントが入り、そのほとんどは富美子さんが被爆した年齢と同じ16歳の女の子たちだったという。

「みんなすごくしっかりしていて、驚きました。私の体験を自分に置き換えて考えたり、戦争そのものの悲惨さをあらためて考えたり、そんな書き込みに感動しました」 

では今、不安や不満を抱いていることとは。

「国会中継は必ず見ます。しかし最近NHKの中継が少ないですよね。しかも、(政府与党の)都合が悪い時に限って中継がない。そういう時はiPadを開いてYouTubeで見ます。誰もが見れるテレビで国会を放送しないのはいけませんよね。今の自民党は強権的で批判を許さない、報道を規制するという点で、中国共産党みたいに見えます。 

2018年、自民党総裁選の時、安倍さんの遊説を聞きに行きました。すると周りをすごい数の警官が取り囲んでいて、そこから聴衆への距離もかなりありました。聞きに来た周りの方々も、何を言ってるか聞こえやしないと帰り始め、私もバカらしくて帰ってきました。

石破さんの遊説は渋谷駅ハチ公前でした。Twitterでそれを知り、娘と一緒に行きました」

演説が終わって駅に向かっていた富美子さんだったが、突然足を止め「どうしても一言言いたい」と向き直り、すごい人混みと大勢の記者やカメラマンが陣取る中へ戻り始めた。

それを見た娘さんは慌てて「すみません!母がどうしても一言」と大きな声で言ってくれた。すると、石破氏の場所まで周囲が一斉に道を開けてくれたという。

「石破さんは身を低くして私の話を聞き、そして、ボロッと涙を流し、私を抱きしめました」

富美子さんが話したのは、家族を戦争で亡くしたこと、安倍政権が戦争をしそうに感じること、彼女のような経験を誰にもさせてはいけないこと。

「『戦争は絶対にしてはいけません。繰り返してはいけません。お願いします』と言いました。でも、安倍さんが自民党総裁になり、その後は菅さんがそのまま継承して、今です。Twitterには私以外にも90代の方がいらして、皆、戦前と同じ空気だと警鐘を鳴らしていらっしゃる…」 

東京五輪のこと、政治のこと

「自分から『ガースーです』なんて、情けなくてなりません。 

記者会見もおかしいですよね。(4回目の緊急事態宣言発令を決めた7月8日夜)会見場で記者たちが総理に向かって、みんな一斉に手を挙げている中で、手も挙げていない記者を司会の方が指名しましたね。しかも、菅さんはその方用の答えを準備していた原稿の中から探して答えていらっしゃったでしょう。ヤラセと話題になりましたけど、それをダメだと言う大臣が一人もいない、おかしいですよね。

今の政権は全くダメ。そもそも安倍さんには森・加計・桜と嘘がある。どうしてまだ議員でいるのか、不思議でなりません。(経済再生相の)西村(康稔)さんの酒類提供停止に応じない飲食店に対して取引金融機関からの働きかけを求める、という発言もあまりにひどいですよね。それもやっぱり周囲の大臣は誰も止めなかった」

また、今は豊かで良い時代だと言う一方で、「政治は怖い」とこぼす。

「『国民の命と健康を守る』『安心安全』という文言を繰り返すだけで、やっていることが全く伴わない。 

緊急事態宣言が出ている中、小池(百合子)さんもオリンピックを中止するとは言えなかった。議会でも与党は誰一人としてオリンピックについて何も言わないし、議会中も居眠りばかりです。 

本当にあの人たちは何を考えているのかと思います。元防衛大臣の女性議員が、日本会議で演説されている動画を観て背筋が凍りました。『(国民が)国を護るために《血を流す覚悟》をしなければならない』と言っていたのです。 

男のお子さんがいるらしいですが、自分たちの子供を戦争に出さないために強い軍隊を作った方が良いという考えです。とんでもないですよね」

そして、オリンピックについては強くこう語った。

「安倍さんが雑誌(『月刊Hanada』)の中で『東京五輪に対し、反日的な人が開催に強く反対している』と言ったということを知った時は唖然としました。92歳になって、まさか私が元総理に反日的な人と呼ばれるとは。 

東京の新規感染者数がこれだけ増えている中でオリンピックをするのは更に感染を広げるだけです。小学生動員の話にも驚きました。冗談じゃない。この時期、コロナだけじゃなく、熱中症のことも考えなければならないですよね。 

バッハ会長歓迎の迎賓館パーティにも驚きました。国民がそういうことを自粛している中で行ったのですから。 

広島・長崎に行くと聞いたときには、神経を逆撫でされた思いでした。被曝地が誰かの何かの思惑に利用されるようなことになってはいけません。 

私は最初から危険を伴うオリンピックには反対。始まってしまった今も『国民の命と健康』『安心安全』が無い大会なら、反対です」

(写真:アフロ)
  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

  • 写真安部まゆみ

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