柴田理恵、樹木希林、柄本明…「スゴすぎる粘土造形」誕生秘話 | FRIDAYデジタル

柴田理恵、樹木希林、柄本明…「スゴすぎる粘土造形」誕生秘話

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

伊集院光氏がリプライし、柴田理恵さん本人もブログで紹介

8月半ば。Twitter上でとある粘土造形が話題になった。

それは、映画『来る』に登場する、シブくカッコいい柴田理恵像だ。伊集院光がTwitterでこの粘土造形にリプライし、自身のラジオで紹介したことから情報がTwitter上で一気に拡散され、ついにはご本人・柴田理恵がブログで紹介するという事態にまで発展した。

「しびれましたよ! 伊集院(光)さんはもともとラジオも聴いていますし、本もDVDも買っていますし、大好きな方なので、まさかご紹介いただけるなんて……感激しました。さらにご本人にも届いて、ブログで紹介していただいて。今週はこの取材も含めて、ちょっと困惑しています(笑)」 

「うれしいです!!」と柴田さん本人がブログで紹介

そう興奮した口調で語ってくれたのは、制作者の「のびた」氏。「精密機器を扱う中小企業の普通のサラリーマンで、趣味で粘土造形をしている」という人だ。

「粘土造形を始めたのは2019年11月、30歳のとき。もともと小さい頃から絵を描くのが好きで、美術部には入っていたんですが、美大に行くほどではなく、普通の中小企業に就職しました。 

社会人になってからは一切創作活動をしていなかったんですが、2019年10月に友人と新宿マルイアネックスに遊びに行き、『プライム1スタジオ』という有名なフィギュアメーカーのショールームを見たとき、どれもこれもあまりにクオリティが高いことに衝撃を受け、動悸・息切れが起きました。『自分も作りたい!』と強く思ったんですね。 

実は20代後半から、なんとなく生きているだけで自分が本当は何をしたいわからず、この先何を生きがいにしたら良いのか考えるなど、内面と向き合っていた時期だったこともあって、『自分にはこれだ!』と。すると、一緒遊びに行った友人が彫刻セミナーというのがあると紹介してくれ、丸井の下りのエスカレーターの中で参加申し込みをしていました(笑)。 

それで翌月彫刻セミナーに行き、最初に作ったのが、岸部一徳さん。ただ、1日8時間×3日間のセミナーの中では全然似なくて、悔しくて、それを家に持ち帰ってからずっといじり続けて3カ月くらいかけて完成したんです。セミナーの先生に完成後に見せたら、喜んでくれました(笑)」

材料となるのは、ハリウッドや映画業界の特殊メイクなどでプロも使うと言われる「NSP粘土」。岸部一徳1体で、粘土代1500円程度でできるという。ただし、粘土は触ると変形してしまうため、これで完成ではない。これを「粘土原型」として、シリコンで型をとり、液体を流し固めてフィギュアにし、色を塗ったところで完成となる。完成に至るまでの全ての材料費は1万円弱。手間や時間は非常にかかるが、このクオリティを考えると、コスト自体は安価と言っても良いだろう。

のびた氏のTwitterには他にも、柄本明、樹木希林、國村隼、片桐はいり、吹越満、森山未來などなど、“名優”たちの粘土造形が投稿されている。そのクオリティも、”人選“も、切り取られた表情も、実に絶妙だ。

もっと見たい方はコチラをクリック!

最初の作品は岸部一徳、二作目は柄本明…

それにしても、最初に作ったのが岸部一徳だったのは何故か。

「“作りたい顔”というのがあるんです。映画やドラマで異様な存在感を放つ人。その方が画面に映るだけで、画面がギュッと締まるというか、重力を感じるというか。 

岸部一徳さんはまさにそうで、その次に作ったのが柄本明さん。これはすごく難航しましたね。どうしてもあの迫力が出ない、息遣いが伝わってこないので、ずっといじり続けるうちに半年くらいかかってしまいました。 

そこからは少しずつコツがつかめてきて、柴田理恵さんは1ヵ月くらいで完成しました。柴田さんは一番大きいサイズで、高さ19センチくらい。一番小さいのは森山未來さんで、手のひらに乗るくらいのサイズなんですが、独特の雰囲気、オーラがあるところが好きなんです。」

逆に“作りにくい顔”は?

「一時『2時間でどれくらい似せられるか』というチャレンジをしたことがあるんですが、いろんな顔を作る中で、若いアジア人女性の顔が圧倒的に難しいと感じました。 

メイクもありますし、ちょっとした角度の違いで、全く似なくなってしまうんです。若い美男美女の俳優さんも面白いとは思うんですが、自然にやっているうちに壮年の方が多くなる。おじさんばかりを狙っているわけではないですが(笑)。

映画やドラマは好きですが、すごく詳しいわけではなくて、たぶん『人の顔』が好きなんだと思います。人相が好き。演技を見たい、この人のこの瞬間を作りたいというのを探すために映画やドラマを観ているのかもしれません。自然と名優の方だらけになっていますが」

表情、仕草、角度など、切り取る瞬間にも非常に味があるが「そこはこだわっている点で、その人らしさを出したい、息遣いが聞こえるような表情を作りたいというのが最初にある」と話す。

「作りたい人の一覧表」もあるそうだが、いずれ作りたい人として一部教えてくれたのは、野際陽子、安藤サクラ、松田龍平、大杉漣、三浦友和、役所広司など。やはり自然と名優だらけである。

ところで、「似せる」ためにどんな工程を経るのか。

「実は最初の岸部一徳さん、次の柄本明さんくらいまでは、膨大な写真資料を集めて膨大な時間をかけて作っていました。 

イメージとしては、1つの写真にそっくりに作った後、2枚目の写真を見ると全然似ていない。そこで今度は1枚目と2枚目の写真両方に似ている造形にする。さらに、3枚目の写真を見るとやっぱり全然違っている。 

そうやって、あらゆる角度の写真を集めて全てに辻褄が合う形にする作業を最初はしていたんです。でも、それは膨大な資料と膨大な時間が必要なので、何とかならないかと思い、彫刻セミナーに再び行って先生に相談したところ、『人間の顔の基本的な構造をおさえておけば1つの写真から読み取れる情報量が変わってくる』ということを教えてもらい、体に叩き込んでからは1カ月くらいで作れるようになりました」 

似ていないと思い始めると、苦悩してストレスに…

基本的に粘土には毎晩触れるというのびた氏だが、本業は会社員だけに、1日5分しか触れない日もあれば、2時間くらい触る日もあるという。

「粘土に向かっている時間は、生きがいであり、日常を忘れられる、一番幸せな時間です。粘土を触っているうちに無心になって、ゾーンに入るような状態がたまにあるんですよ。 

逆に、似ていないと思い始めると、苦悩してストレスになることもあります(笑)。 

最初の3日くらいで誰かわかる段階までいきますが、そこから先、その人らしさを追い求める時間はすごく辛く苦しいときもあります。誰も答えは教えてくれないし、どれだけ写真と見比べても抜け出せないときがあって、辞めたいと思うことも多々あります。それでも、触り続けるうちにビシッとハマる、急に似始める瞬間があって。その瞬間の気持ち良さは格別なんです」

伊集院光にはTwitter上で個展の予定がないか問われていたが、「やりたいとは思っているけど、どうやったら良いのかわからなくて……」。さらに、この道で食っていく気は? と聞くと、こんな思いを語ってくれた。

「ありますあります、バリバリあります!(笑)あと10年早かったら会社をポンと辞めてこの道に行っていたと思いますが、今は小さい子もいて、住宅ローンもあるので、なかなか一人では決断しにくいです……今は勝算が見えるまでの準備を進めるとき。いずれは必ず脱サラしたいと思っています」 

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

Photo Gallary23

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事