八代氏発言問題で議員に問う「なぜ共産党は党名を変えないのか」 | FRIDAYデジタル

八代氏発言問題で議員に問う「なぜ共産党は党名を変えないのか」

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

「損はしているなと自覚していても…」

『ひるおび!』(9月10日放送分/TBS系)で弁護士の八代英輝氏が「共産党はまだ暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」とコメントし、炎上したのは記憶に新しい。

日本共産党の綱領(八代氏は「要綱」と間違えて発言)にはそんな文言はない。これは明らかな事実誤認の発言であるため、八代氏の番組降板などを求める声が続出していた。

しかし、この問題を機に「共産党という名前が誤解を招くなら、むしろ党名を変えてしまえば良いのでは?」と思った人もいるだろう。

実は日本共産党は99年間党名を変えていない唯一の党だという。とはいえ、「党名で損をしている」と感じることはないのだろうか。日本共産党政策委員長の田村智子・参議院議員を直撃すると、開口一番、こんな答えが返ってきた。

(撮影:安部まゆみ)

「日本共産党は、正直者だから(党名を)変えられないんですよ。 先々、資本主義を乗り越えていくという展望を持つからこそ、今の時代もブレずに闘えるわけで、ここで党名を変えてしまうと、将来の展望を変えたのかということになりますよね。 社会主義、共産主義というのは、中国共産党や旧ソ連のような国のことではありません。 30年、40年先、あるいは50年、100年先まで展望したとき、経済のあり方として、資本主義を乗り越えた社会を私たちは目指していくということを、正直に国民の皆さんに伝えていくことが国民の皆さんの信頼を得る上で一番大切だと思うんです」

地球温暖化、格差の拡大、人口減少問題……資本主義の行き詰まりは、今では多くの人が感じることだろう。その「歴史」はわかるものの、やっぱり党名で損している気も……。

「私自身ももともとはいわゆる反共意識はありました。共産党とか『革命』というとなんだか怖いというイメージがあったので、そういうイメージを持たれてきたことはわかります。 

でも、同時に自分が納得できたように、国民の皆さんの理性と知性を信頼しているから、損はしているなと自覚していても、きちんと伝えればわかっていただけるという確信もあるんですよ」 

「私自身ももともとはいわゆる反共意識はありました」と田村氏

フェイク発言の布石を敷いたのは安倍政権!?

八代氏は件の番組において、冒頭のコメントに加え、「よくそういうところ(八代氏の誤認によると「暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」党)と組もうって話になるな、というのは、僕は個人的には感じますね」ともコメントしていた。

「あり得ないですよね。あそこまでフェイクを堂々と言うとは驚きです。私たちの綱領のどこに暴力が出てくるんですか、と。 

しかし、今回の野党共闘に脅威を感じる人たちがいる表れだと思いますね。共闘の前進をさせたくないから、崩すために一番攻撃しやすいのは共産党だということでしょう。 

この攻撃の布石を敷いたのは安倍政権です。 閣議決定(2016年3月22日)で『現在においても、破壊活動防止法(破防法)に基づく調査対象団体である』『暴力革命の方針に変更はないと認識している』などとした安倍内閣の答弁書があることが、きっかけなんですよ。 

公安が勝手に調査しているということは確かにありました。でも『暴力革命』などというのは嘘なのだから、恥ずかしくて、これまでは表立って言えないことだった。それで、公安は陰に隠れてこそこそ監視してみたりしてきたわけですが、当然、暴力につながるようなことは何も出てこないわけですよ。事実ではないから。 

そもそも安倍内閣の閣議決定や『認識』は、問題だらけで、事実と違うと指摘しても認めないようなものがたくさんありますからね」 

八代氏の発言に感謝? 

八代氏の発言により、日本共産党の綱領を初めて読んでみた人もいるだろう。とはいえ、やっぱり「本当に共産主義を目指すのか」と思う人も少なくないはず。日本共産党の考える「共産主義」とは、どういうものなのか。

「もちろん今すぐに社会主義への転換をめざすわけではありません。社会主義、共産主義の経済の一番の根っこには『搾取をなくすこと』があります。みんながともに働き、ともに価値を産み出し、享受する、それが『共産』の意味するところです。

そこへ一足飛びではなく、資本主義のもとで、現実に問題になっていることを1つ1つ解決していく、それが将来の社会につながっていくと考えています。 

例えば、今で言うと、大株主など、一握りの方々が経営のすべてを牛耳って、目先の利益の最大化ばかりを追及しています。3ヶ月ごとに決算をしているのですから、ほんとに目先になっている。 

たとえば電機情報産業は、大規模なリストラで人件費削減をやって、当面の利益を上げようとしてきた。それが技術者の流失につながったし、非正規雇用を増やしてしまった。低賃金の労働者は購買力を失い、日本の消費を冷え込ませています。日本の経済を弱くしてしまったと思うんです。 

ところが、その目先の利益を温存するためにどうするかで政治も癒着しているわけですよね。私たちは、個別大企業のリストラ問題を追及するし、非正規から正規雇用へと流れを変える雇用のルールを求めていますが、それは、将来の搾取の構造そのものをなくす、ということにつながっていくと考えているのです」

搾取の問題や経済格差は大きく、それがコロナ禍でさらに拡大し、世の中の不公平感も高まっている。

野党の働きが期待される一方で、「言うだけなら誰でもできる」「実現できないことばかり」という批判も多い。掲げる目標・理想と現実との距離をどう埋めていくのだろうか。

「共産党は理想的だと言われてしまうことが多いですが、今のような危機が起きた時こそ資本主義の害悪、矛盾が噴出するときだと思うんですよ。 

経済を回し、生産を行っているのは“労働者”であり、それを“人件費=コスト”としてだけ見る今の政治と経済のあり方はおかしいでしょう。 

特に女性の労働者は56%と、6割近くが非正規です。それがコロナ禍で切り捨てられ、職がなく、低賃金であえぐ状態ですから、今まさに大きな問題が噴出しているからこそ、問い直しできる時だと思うんですよ。 

3.11の原発の問い直しと同様のことが経済において可能だと私は考えています」 

2021年3月25日の参院予算委員会で菅義偉首相に質問する田村氏(写真:アフロ)

自民党支持率が下がっても、野党の支持率が上がらない訳… 

ところで、自民党支持率がいくら下がっても、野党の支持率も一向に上がらない。その原因をどうとらえているのだろうか。

「おそらく国民の多くの方には、野党が見えていない、わからないんだと思います。 メディアのせいにしてはいけないですが、提供される情報量は、総裁選も含めて圧倒的に自民党が多いですよね。そこに負けないような情報の発信を私たちがどうやってしていくか。

動かなければ報道の側も取材ができないわけですから、もっと私たちも国民にわかる動きをすること、政策をただ出しただけではなく、伝えるためにもっともっとアピールしていくことが必要だと思っています」

「野党共闘で今こそ政権交代を」と訴える人達の一方で、「野党共闘って、結局よくわからない」という人も多い。野党共闘の強みはどこにあるのだろうか。

「それぞれに独自の政策を持ちながら、一致点で共闘する、これは日本の民主主義の発展ではないかと思うんです。民主主義というのは異なる意見・異なる政党があって当然の社会です。意見の違いを大前提にして、協議のなかで意思形成をはかっていく。多様性こそが野党共闘の強みと魅力、ということだと思いますね。 “働く人にまともな賃金を支払う”という点についてもブレず、大きな方向性でビジョンを示せる中身になっているので、それをしっかり見てほしいと思います」

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

  • 撮影安部まゆみ

Photo Gallery4

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事