立憲民主は本当に与党になる気があるの…?小川議員に聞いてみた | FRIDAYデジタル

立憲民主は本当に与党になる気があるの…?小川議員に聞いてみた

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与党の悪口を言っているだけでは… 

菅義偉首相の退陣表明の後、自民党総裁選を経て岸田文雄政権が発足。10月14日の衆院解散を経て、19日公示、31日投開票という慌ただしい日程で、総選挙が目前に迫ってきた。

それにしても、コロナ対策の不評などから自民党の支持率が下がっても、野党の支持率も一向に上がらない。野党支持者の中ですら「本気で政権交代をする気があるのか?」と問う声も多数あるが……。

大島新監督の映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の被写体であり、香川1区で自民党の平井卓也・前デジタル担当相に挑む立憲民主党の小川淳也議員に率直な質問をぶつけた。

「安倍政権以降の政治に疑問や不安、不満を抱える方が沢山おられ、なんとか野党に期待したいと思ってくださる方々が大勢いらっしゃることは、大きな励みですし、ありがたいと思っています。 

ただ同時に、野党を明確に応援して下さっている方は現状、おそらく最大3割で、それが最終的に5割を超えないと政権は預かれないわけですから、支持者の皆様にもどうすればそこをブレークスルーできるか、一緒に考えてほしいなと思っているんです」 

「野党支持者が一緒に考える」と言うと?

「実は先日、ある配信イベント(『パンケーキを毒見するスピンオフ企画 新政権を毒見する! どうする総選挙』)に参加させていただいたんです。そのとき『小川さん少し不機嫌だった?』と後から視聴者の方に言われたんです。 

疲れが溜まっていたこともあると思うのですが、やはり野党支持者が集まって与党の悪口を言っているだけでは、事態を打開できないなと…ジレンマをずっと抱えています。 

今の野党は批判勢力としては十分認知されていると思うのですが、政権勢力にならなきゃいけない。たとえば民主党政権(2009年)ができる前の民主党支持率は20%~30%近くあり、比例投票先でも40%を超えるような勢いがありました。 

世界の2大政党制であるアメリカとイギリスを見ても、与党支持が仮に40%だとして、野党は30%くらいあるんですよね。 

しかし、日本の現状を見ると、自民党支持率が40%くらいで、野党第一党の立憲民主党ですら5%くらいですから、なかなか十分には土俵に上がれていない。野党を全部かき集めてようやく10%超えてくるような状況です。 

少し極端なことを申し上げますが、私はもしかしたら国民党から共産党までみんなで合併、巨大な中道リベラル政党をこの国に誕生させることができれば、自民党と本気で対抗できる野党を創ることが出来ると思うことがあるんです」 

それはあくまで理想として、現実にはれいわ新選組の山本太郎氏の東京8区からの出馬表明→出馬断念を筆頭に、様々なゴタゴタが見える。

「『あんたたちは政権取りに向けて本気なのか』という批判を受け止めなきゃと思います。 怖いのは野党の野党慣れです。たとえば政権はとれなくとも『自分たちの議席や立場が守れればいい』などと少しでも思ったら勝負になりません。 

今の野党が政権勢力として認知されるためには、まずは本当の意味で無私無欲の姿勢が溢れんばかりに滲み出ないといけない。さらに実際に政権を担当したときのことをどう反省し、どう総括し、それを今後に生かすのか、というメッセージも重要です。そこに真摯かつ腹に落ちるものがないと、再度政権を任せたいと思う有権者が増えないと思います。 

今の自民党は嫌でも、かといって他に選択肢がないじゃないか、とあきらめている方も、沢山いると思うんですね。 

ですから、『無私の姿勢』『政権時代の反省と総括』『その上に新しい時代に合わせた政策体系』という3拍子が揃わないと、野党が政権勢力として認知されることはなかなか難しいと思っていて。もし本当に各党がみんなで無私の姿勢を徹底すれば当然、野党の大同団結だって視野に入るはずですし、現状小党分裂している時点で十分な迫力は生まれません」

(撮影:安部まゆみ)

政権公約の実現可能性とリアリティは

では、その迫力は逆に今の与党にはあるのかという疑問もわくが。

「与党は総選挙で過半数を割れば、菅さんにせよ岸田さんにせよ、間違いなく退陣でしょう。 

翻って野党の指導者も、過半数取れなければ退陣、というくらいの意気込みが、もしかしたら必要かも知れません。退路を断って初めて見えてくる覚悟、視座、境地もあるような気がします。 

いずれにしても、自分たちの立場や議席を守るのに汲々とすれば、必ずそれは国民から見透かされます」

立憲民主党は今回、年収1000万円以下の所得税免除や消費税を5%に下げること、ジェンダー問題や住宅問題への政策、国公立大学の授業料半額など、様々な公約を掲げている。しかし、「本当にそんなことできるのか」と思う人も少なくないだろう。

「必要な政策だとは思いますが、議論のプロセスはもう少し充実している必要があるでしょう。 

本来であれば、総選挙の政権公約は2~3年かけて徹底的に国民と議論し、国民と一緒に作り上げることが必要だと思うんです。過程や背景が十分でないと、どうしても、とってつけたように見られます。国民にこの公約は自分のモノだと思ってもらわねばなりません。実現可能性、リアリティ、熱量、温度の問題としても、決して虚無的に取られないようにする必要があります」 

今はコロナ禍により、政治を身近に感じている人が確実に増えている。さすがに今回の総選挙ばかりは投票率も上がりそうなものだが、そこにも小川氏は確信まで持てないと言う。

「近年の総選挙で投票率が70%に迫ったのは、2005年の郵政解散のときと、09年の政権交代の2回だけでした。良い悪いは別として、総選挙に熱がありました。しかし、今のような有事のもとで行われた都議選の投票率が43%で、横浜市長選は49%でしょう。都議選は投票傾向も投票率も、次期国政選挙を占うものと言われているだけに、楽観はできません。 

しかも、野党に政権を託すより、現時点まだ消極的な選択として、自民党のほうが無難と考えている人も多い気がします」

では、前回、民主党が政権をとったときと今の状況では何が違うのか。

「当時は本格的な政権交代が初めてであり、小沢一郎、菅直人、鳩山由紀夫のトリオで、保守層からリベラル層まで幅広く訴求する体制になっていたと今になって思います。裾野が広がらないと、富士山は高くなりませんから。後に様々な不具合を露呈はしましたが、それでも当初の期待値の段階では訴求力があった。 

今の指導体制もどんどんウイングを広げて行く必要があるでしょう。その上で『民主党政権の時にうまく御せなかったじゃないか』という声に応えねばならない。二重の意味合で野党の支持を岩盤支持層3割から拡張することを考えねばなりません」 

少なくとも…

そう聞くと、総選挙が始まる前から終わっている印象すらあるが……。もしかして本気で政権をとれるとは思っていないところもあるのでは、と問うと、「シビアな自己認識もまた必要」と小川議員。

「これは野党議員にも野党支持者にも一緒に考えてほしいことですが、『今直ちに野党がこんなに素晴らしい』と言われても、まだまだ素直に頷けない方も多いと思います。 

しかしたとえば岸田さんも安倍・菅路線からの決別を意識しているでしょうが、公文書改ざんの再調査もしない、学術会議の任命拒否すら撤回しないわけです。だからいずれ僕ら野党が政権をとって、これらを正さなければなりません。 

しかし一方で、今すぐ政権交代だと確信を持てる状況なのかについては、逆にシビアな自己認識を持つことが必要です。かえってその方が国民に安心感を与えるような気がします。まず自分たちのことを冷徹に客観視できる人たちだ、というメッセージも大切だと思うんです。 

間違っても、野党の支持が上がらないのはマスコミのせい、国民が成熟していない、などという責任転嫁の姿勢は一番良くありません。本来、元を正せば末は乱れず、なのです」 

「結局、何も変わらないのではないか」という諦めが、投票率低下につながり、その結果が現状を招いている。では、総選挙を野党はどう戦うのか。

「中村喜四郎さんは『いま直ちに政権交代と言っても、すぐにそうですねとはならんよね』『ひとまず与野党伯仲なんじゃないか』と言っていて。もっと与野党伯仲したほうが緊迫感のある健全な国会になるという主張なら、中間層3割の方々も同意してくれる可能性がありますよね。 

逆に安倍さんの岩盤支持層3割はどんな状況であれ『そんな必要はない』とおそらく言うでしょう。それで良いと思うんです。 

僕ら野党は岩盤支持層の3割に感謝しつつ、そこに甘えず、選挙に行ったり行かなかったりする中間層の3割がどうとらえるかも常に考えていかなければいけない。 

ニュージーランドとかオーストラリアなど、投票率の高く、与野党伯仲している国はコロナ対策も比較的上手くいっています。肉薄している状況では、政権をとってもあぐらをかくことができないから、謙虚になり、一生懸命国民の思いをくみ取ろうとする。結果として、そこから真摯な政策と言葉が生まれるんです。 

日本の場合は投票率が低くて、与野党の力に雲泥の差があるから、オリンピック、GoToキャンペーンなどの政治が政権の趣味に走る傾向があります。 

まず最低限目標とすべきは与野党伯仲で、その基礎となる高い投票率。結果として緊張感のある政治状況を作り、政策と言葉の両面において国民に寄り添う政治を創ることがとても大切だと思っています」

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

  • 撮影安部まゆみ

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