高血圧の真実 [体験告白]手術で高血圧が治った患者が続出中!

クスリを飲んでも数値が下がらない、そんなあなたに知ってほしい

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上條さんのようなホルモン由来の高血圧患者は10人に一人。それでも全国で患者数400万人以上に達するのだ

私の場合は父親がひどい高血圧で、上の数値が200近くもあったんです。なので、自分が高血圧になったのも父からの遺伝だと思っていました。でも、実際は違った。血圧が高かったのも、身体に出ていたさまざまな不調も、すべて副腎にできた良性腫瘍から出ているホルモンのせいだったんです。

いま、手術で高血圧が治ったという患者が増えている。上條敏之さん(55=仮名)もその一人だ。上條さんの血圧は、もともと上が130、下が80と正常値だった。ところが、40代に入って数値が上昇。降圧薬を飲んでも、効果は現れなかったという。

血圧が上がり始めても、しばらくは何も治療していませんでした。降圧薬を飲み始めたキッカケは、目の治療で必要に迫られたためでした。突然、眼底出血が起きて手術が必要になったのですが、眼科の先生から「血圧のコントロールができていないと手術はできない」と言われ、仕方なく降圧薬を飲み出したんです。

でも、思ったより数値は下がりませんでした。降圧薬を飲んでも、上の数値は160前後。太っていたわけではありませんでしたが、生活習慣を見直し、食事は減塩食に切り替えた。週末にジョギングを始めて、体重を7kgも落としました。でも、肝心の血圧は下がらない。主治医の先生も首をかしげるばかりで、クスリの量だけが増えていきました。

何よりも辛かったのは、熟睡できないこと。夜間頻尿がひどく、毎晩1時間おきにトイレに起きるんです。それが毎日続くので、慢性的な寝不足になります。仕事は営業の外まわりだったため、短時間でも昼寝をしないと、身体がもたなかった。泌尿器科へ相談に行っても、「お酒の飲み過ぎでしょう」で終わり。解決の糸口は見つかりませんでした。

さらに、若い頃から下痢気味だったのに、突然、便秘になり、薬を飲んでもスッキリ出ない。疲れやすくなり、すぐ風邪を引く。いつも身体がだるい。男性更年期も疑いましたが、医者に行ってもわからない。何かおかしい――。そんな生活が5年以上続いていました。

異常が見つかったのは今年1月。会社の健診で腹部エコー検査を受け、「肝臓か副腎に腫瘍らしき影がある」と指摘されて腹部CTを撮ると、右の副腎に3.1cmの腫瘍が見つかった。

腫瘍と聞いた時は、がんかもしれないと焦りましたが、健診先の医師から「副腎の腫瘍は良性のことが多い。女子医大に腫瘍が原因の高血圧を専門にしている先生がいるから診てもらっては」と勧められ、市原先生にたどり着いたんです。

専門的な血液検査をしたら、カリウムの量が極端に少なくて、「突然死の恐れがあるレベル」と言われました。「筋肉にも影響が出ているはず。異様な疲れやだるさはないですか」と言われて、原因はこれか! と。すべての不調がつながったんです。それと同時に、ゾッとしました。

その後、1週間の検査入院をして、ついた診断は「原発性アルドステロン症」。聞いたこともない病気で、一般的な高血圧ではなかったんです。副腎にできた腫瘍が、血圧を上げる作用を持つ「アルドステロン」というホルモンを過剰に放出していたことが原因でした。カリウムの数値が低かったのも、この病気のせい。そればかりか、このホルモンが過剰に分泌され続けていたら、心臓と腎臓で線維化が進み、不整脈を起こしたり、人工透析が必要になったりする危険すらあった。

でも、手術で副腎の腫瘍を取ってしまえば、高血圧が治るかもしれない。そう聞いてホルモンの分泌状態を調べるカテーテル検査を受けたんです(下図)。

カテーテル検査は、画像診断・核医学科の専門医が行う。鼠蹊(そけい)部から副腎の中を走る血管までカテーテルを通し、臓器内を採血。そこから分泌されているホルモンの量を調べるのだ。市原医師が教授就任後、より細部まで調べる方法が採用され、副腎の部分切除も可能になった(女子医大方式)。

この検査をすると、3段階に評価されます。①手術しても効果が期待できない、②クスリの量は減るが、ゼロにするのは難しい、③高血圧が治り、クスリは不要になる可能性が高い――。私は③に該当しました。ホルモンが過剰分泌されていたのは右の副腎だけだったので、切除してしまえば高血圧は治る可能性が高い、と。この辛さから解放されるならばと、手術を決めたんです。

6月に入院し、手術は泌尿器科チームに担当してもらいました。腹腔鏡手術で行われ、所要時間は約4時間。1週間後には退院しました。手術が無事に終わり、これで頻尿ともおさらばだと思ったのに、その日は11回もトイレに行った。血圧も上が170ある。カリウムも低いまま。一瞬、これは騙されたんじゃないかと思いました。でも、個人差があり、すぐに変化が出る人もいれば、2〜3ヵ月かけて徐々に効果が現れる人もいると先生から説明されました。降圧薬を飲みながら様子を見ていると、術後2週間足らずで上の血圧が130以下に落ちた。低い時は110。もしやと内服をやめても、血圧は低いまま変わらない。うれしかったですね。

夜間のトイレも、いまは1回から多くて2回。便秘も治り、カリウムの数値も上がって、体調不良も消えた。すべて市原先生の見立て通りになりました。いまではよく眠れるし、どこへ行くにもクスリを持ち歩かなければならなかった煩(わずら)わしさからも解放された。副作用の心配もありません。さらにはクスリ代も浮きました。ただ、長年高血圧にさらされていたので下の血圧がまだ90前後と高いんです。上の血圧が下がると、血管が徐々に柔らかくなり、下の血圧も自然に下がってくると言われました。

現在、気になっているのは腎機能くらい。事前に聞いていたことですが、ホルモンの過剰分泌の影響でこれまでフル稼働だった腎機能が少し落ちているので、水分を多めに摂って回復を待っているところです。

高血圧の人が10人いたら一人はホルモン由来と聞いても、初めはピンときませんでした。ですが、入院中に自分と症状が同じ(夜間頻尿、血圧が下がらない)人がたくさんいて、その多さを実感したんです。それにしても、まさか自分の高血圧が手術で治るなんて。さまざまな不調から解放され、今は清々しい気分です。

「原発性アルドステロン症」の手術適応検査。鼠蹊部の静脈から左右の副腎内部までカテーテルを入れて採血し、大量のホルモンの出所を突き止める。図は市原医師より提供

高血圧の真実 トップドクターが教える「降圧剤の飲み時、止め時」

 

  • インタビュー青木直美

    医療ジャーナリスト

  • 写真Getty Images

Photo Gallary3

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