1億円超が続々…!「都心のマンション価格爆騰」驚きの根本理由 | FRIDAYデジタル

1億円超が続々…!「都心のマンション価格爆騰」驚きの根本理由

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東京23区の新築物件の平均価格が1億円超え!

「都心のマンションって今、異常に高騰しているんですよ」

先日、不動産情報のチェックを趣味とする女性編集者から、そんな意外な話を聞いた。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「巣ごもり消費」が活発化し、ネットショッピングが急速に浸透する中、都心では閉店する店舗が続出し、シャッター通り商店街が増加していることがたびたび報道されている。

リモート出勤の影響で、オフィスの売却やテナント返却をした企業も多数あるし、不動産の高騰が見込まれた東京五輪も、延期の上に施設の大半が赤字だと報じられている。

にもかかわらず、マンションがなぜ高騰しているのか。歯に衣着せぬコメントでお馴染みの住宅ジャーナリストの榊淳司氏に聞いた。

「不動産経済研究所が毎月発表している統計調査によると、東京23区の新築物件の平均価格が1億円を超えたということが話題になりました。 

新築が高騰すると、つられて中古も値上がりするんですが、レインズ(東日本不動産流通機構)の統計を見ても、中古マンションが値上がりしていることがわかります。 

ただし、2013年以来ずっと東京の中心部と湾岸エリアのマンションは高騰し続けているんですよ。一番の原因は金融情勢です」

さらにその「金融情勢」のおおもとの原因は、日銀の黒田東彦総裁にあると榊氏は指摘する。

「不動産買を買う人は、企業でも個人でも、銀行から融資を受けますよね。2013年4月に日本銀行総裁に黒田東彦さんが決まって以来、一貫して金融緩和をしているため、お金をたくさん借りられるようになりました。融資の審査基準も金利の低下で緩み、たくさんお金を借りられるようになることで、高いマンションを買えるようになります。 

おまけに金利が下がると、例えば賃貸オフィスを買って賃貸収入を得る不動産投資も、約20年前なら都心で利回り5~8%くらいないと買われなかったところが、今は3~5%でも買われています。 

金利が非常に安いので、例えば利回りが3.5%でも、0.1~0.2%の金利で借りているなら、3%以上が手元に残るわけです」

とはいえ、誰が買いまくっているのか。

「買いまくっているのはおそらく中国の富裕層だと思います。はっきりとデータが出ているわけではありませんが、中国人が今、東京の不動産を買いまくっているのは事実で、インバウンドで戻ってきたときに取り返せると考えているのではないでしょうか。 

実際、中国人は地方の温泉旅館やホテルまで買っているんですよ。 

なぜかというと、彼らから見ると東京の不動産はバカ安だから。例えば、上海や北京の一等地のマンション一室が3億~5億円もするのに対し、東京の山手線から一駅くらいのビル一棟が3億~5億円で買えるんです。 

しかも、中国の場合、国が全ての土地を所有しているので、この3億~5億というのも『借地権』なんですね。ところが、日本では完全な所有権が得られて、なおかつ利回りが3~5%くらいあるから、だったら買うやんと」 

一番の原因は、8年間以上続く金融緩和だという(写真:アフロ)

海外の人にとって東京の不動産は投資の面で「オイシイ」…

つまり、海外にとっては東京の不動産は投資の面で「オイシイ」のだ。ちなみに、榊氏のもとには、日本人のビルオーナーたちから「中国人が高く買ってくれるなら、中国人を紹介してくれ」という依頼も多数あるという。

しかし、そう聞くと、都心部のビルやマンションが軒並み中国人に買い占められる危機的状況が始まっている気がするが……。

「いやいや、そこまでではありません。確かに大きな流れとして、オフィスワークからホームワークに変わり、オフィス面積が縮小しているのは事実で、賃料とオフィス空室率を毎月公表している三鬼商事のデータによると、コロナが始まって以来、空室率がダラダラと上がり続けていることがわかります。

しかも、昼間人口は緊急事態宣言解除後ももとに戻るわけではなく、ランチに行く人口も、夜飲みに行く人口も減る。となると、飲食店もコンビニ、ドラッグストアも売上が下がるので、まず閉店する店舗が増え、さらに今後は賃料も下がるでしょう。とはいえ、東京は実は狭くないので、『中国人が買いまくっている』といっても、まだ1~2%もいないと思いますよ」 

マーケットの規模が大きすぎてピンとこないが、1~2%もいないのに「買いまくっている」とは、いかに!?

「たとえば、戦後すぐに新宿の歌舞伎町を台湾人がたくさん買ったことで、地主に台湾人がいっぱいいるとか、赤坂の何パーセントかは外国人が持っているとか、そういう局地的なことは起こるかもしれません。 

でも、東京全体が中国人のものになるようなことはないですよ(笑)。 

日本の不動産は、中国と違って、所有するコスト、いわゆる固定資産税がありますから。それに、中国人は非常に動きが早いんですよね。マンションでもなんでも買うけれど、コストがかかることを考えていないから、投資した金額に見合うだけのリターンがなければ、すぐに売るんです」

そこには、不動産に対する感覚の違いもあると榊氏は指摘する。

「中国人にとって、不動産は値上がりするものだと思っているんですね。上海・北京・深圳・香港などは売買ゲームで、3年持ったら2倍に上がるみたいな感覚なんです。 

ところが、東京の不動産はそこまで上がりませんから、8~9年かかって赤坂や青山あたりでやっと倍になったかなという程度。しかも、保有コストがかかるし、彼らはそもそも東京に愛着があるわけでもない。だから、リターンが見合わなければ、すぐに手放すはずで、そのうちどこかで『中国人が不動産を売りまくっている』と言われる時期が来ると思います」 

中国人から見ると東京の不動産はバカ安…

マンションを買うなら、売るなら、いつが狙い目か

買いまくられているのが東京の「1~2%程度」と見込まれるのに、マンションが値上がりするほどの影響が出るのは、なぜなのか。

「1~2%でも、額にすると非常に大きいですからね。テレワークで地方に移住する人が増えたという報道もありますが、実際には微々たる動きで。動きがあると目立ちますから、『みんな東京から人が出て行った』と思うかもしれませんが、全然そんなことはなく、逆に東京でも、ちょっと増えているところもあるくらいですから」

また、日本人にも、新築マンションができる1年半前くらい前に購入し、値上がりしたら売り、それを元手にまた別の物件を買うという、オイシイ売買に味をしめてきた投資家は多数いる。その象徴が例えば、晴海フラッグだという。

「ただ、それが2~3年でさらに値上がりするかというと、僕は非常に懐疑的なんですよね。なぜかというと、黒田さんが令和5年4月に2期の任期満了になり、たぶん交代になるんですよ。すると、このアホな金融緩和も終わり、マイナス金利じゃなく、住宅ローンも金利1~1.5%あたりを目指して緩やかに戻っていくと思うんです」

加えて、中国の不動産バブル崩壊が日本経済にどの程度影響するかも、注目すべきポイントだという。

では、マンションを買うなら、いつが狙い目だろうか。

「買う場合は、一つは黒田さん退任後。加えて、今年のうちに中国バブル崩壊のショックが起こるのであれば、あと2~3年待っていれば、今1億円のものが7000万くらいで買える可能性がありますが、そこはわからないですね。 

ただ、マンションは基本的に住むために買うわけで、3年間今の不自由な住まいで我慢しなければいけないのであれば、3年の時間を買うつもりで、例えば今1億円で買って、3年後に7000万円になっていても良いと言う感覚で買うのも良いと思います。もちろんそれはお金がある人の場合で、20代30代などの若い人で、もし待てるのであれば、今は買わない方がいいと思います」 

では、逆に売り時はいつ?と聞くと、榊氏はこう即答した。

「売るなら、できるだけ早い方がいいですよ。中国が実質的にもうバブル崩壊しているわけですから、いつリーマンショック級が来るかもわからないですから」 

当初の予定より引き渡しが24年3月下旬にずれ込む予定の晴海フラッグ。「2~3年でさらに値上がりするかというと、僕は非常に懐疑的なんですよね」と榊 淳司氏

榊 淳司(さかき あつし) 住宅ジャーナリスト。早稲田大学ES講師。京都府出身。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒業。1980年代後半のバブル期以降、四半世紀以上にわたってマンション分譲を中心とした不動産業界に関わる。一般ユーザーを対象に住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌に記事を定期的に寄稿、ブログやメルマガで不動産業界の内幕を解説している。

主な著書に「限界のタワーマンション」(集英社新書)、「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)、「2025年東京不動産大暴落」(イースト新書)、「ようこそ、2050年の東京へ」(イースト新書)がある。

2021年11月の東京23区の新築マンション供給戸数は前年同月比98.1%増。その中で最も上昇したのが新宿区で、平均価格変動率は210%増だった(Realnet〈リアルネット〉2021年12月29日より)
昨年11月の東京23区の新築マンション動向を平均価格・平均坪単価・平均面積・供給戸数を前年同月値と共に表にまとめ、平均価格の前年同月比で平均価格変動率を算出したもの(Realnet〈リアルネット〉2021年12月29日より)
  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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