「犯罪は時間潰し…」津山女児殺害被告が精神科医に語った衝撃発言 | FRIDAYデジタル

「犯罪は時間潰し…」津山女児殺害被告が精神科医に語った衝撃発言

17年前の2004年9月、岡山県津山市で9歳の女児殺害事件を起こしたとされる勝田州彦被告の素性

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小3女児殺害で無期懲役になった勝田州彦被告(写真は2018年の送検当時、共同通信)
小3女児殺害で無期懲役になった勝田州彦被告(写真は2018年の送検当時、共同通信)

岡山県津山市で小学3年生の女児・Aさん(当時9)を殺害したとして殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われていた勝田州彦被告(43)の判決公判が1月6日に岡山地裁で開かれ、倉成章裁判長は求刑通りの無期懲役を言い渡した。現場にはDNA型など、事件と被告を結びつける証拠がなく、被告は否認しており、無罪を争っていた。弁護側は即日控訴している。

事件は17年前の2004年9月に起こったが、長らく未解決だった。別の殺人未遂により大阪刑務所に服役していた勝田被告が、本事件の容疑者として逮捕されたのは2018年5月。約14年後のことだ。

2021年10月6日に開かれた裁判員裁判の初公判。罪状認否で勝田被告は「私は絶対にそのようなことはやっていません。事件の日は、現場にも津山市にも行っていません」と否認した。

だが、最初から否認をしていたわけではない。彼の供述は逮捕前から逮捕後も変遷し続け、最終的に「完全否認」へと至った。裁判員裁判の争点は「勝田被告が犯人か否か」そして「捜査段階での自白が信用できるか」だった。

判決で岡山地裁は、事件は勝田被告による犯行であり、捜査段階での自白は信用できると判断した。その理由は先に公開した記事『自傷行為で性的興奮 津山女児殺害事件被告の「危険な性癖」』でも紹介した通りだ。

初公判の検察側冒頭陳述によれば、事件発生後、岡山県警は殺人事件として捜査を開始したが、長年、容疑者特定には至っていなかった。その中で、県外にも捜査を広げるために兵庫県警に協力を求めたところ、2017年、“女児に犯罪を繰り返す人物”として勝田被告の存在が浮上した。

勝田被告は当時、大阪刑務所で服役していた。2015年に女児に対する殺人未遂事件を起こし懲役10年の判決が確定したことによる。この殺人未遂を含め前科は3件ある。2000年には10歳前後の少女数名に対し、腹部等を殴る暴行や陰部を触るなどの暴行と強制わいせつ事件を起こし、保護観察付きの執行猶予判決を受けた。

2010年には少女の腹部を殴ったりドライバーで突いたりする傷害や暴行事件を起こし懲役4年の判決を受けていた。“女児に犯罪を繰り返す人物”として勝田被告の存在が注目されたのはこうした過去があったためだ。

白いブラウスを着た少女が苦しむ顔を想像して…

捜査員らは大阪刑務所で服役中だった勝田被告を尋ね、聴取を開始。すると2017年11月、実母に対して“部分的に認める”手紙を書き送る。2018年5月に岡山県警は勝田被告をAさん殺害の容疑者として逮捕。同年6月2日の取調べで「Aさんを刃物で刺して殺した」と供述した。だが6日後に「すべて自分で考えたデタラメ」だと供述を翻したのだった。

しかしその後も一貫して否認していたわけではなく、同月から10月まで行われていた精神鑑定において、医師に対しては「Aさん殺害を認める」説明をしている。

この医師が審理終盤、2021年11月17日の公判に証人として出廷し、精神鑑定時に勝田被告が語っていた衝撃の内容を明らかにした。

被告が2015年に起こした殺人未遂の際も、精神鑑定を行っており、二度目の鑑定となる。再び被告の内面に迫ったこの医師は、“面接時に留意したこと”として次のように語った。

「被告は当時『弁護人から黙秘を勧められている』と話していた。黙秘は当然の権利であり鑑定でも一番最初にそのことを説明する。一方で精神鑑定としてはできるだけ正直に話して欲しい、正しい鑑定を行いたい、とも説明する。その上でもちろん、本人で判断してくださいと伝えた。すると被告は『黙秘するように弁護人からは言われているが、本当は話したいんだ』と言っていた」(医師の証言)

被告は“境界知能”であると言われているが、その影響で迎合するような言動があったのではないか、という質問については「特にはなかった」と回答した。2015年の鑑定時、被告のIQは76。当時は「知的障害があるとまではいえなかった」という。今回の鑑定時、被告のIQは70だった。知的障害の判定基準にあたるIQ69には至っておらず、また鑑定結果として「被告には事件当時も、現在も、法的判断にかかわるような精神障害はなく、人格傾向から今回の事件は全て説明が可能」と述べた。

医師が証言した被告の“人格傾向”とは、性的サディズムや小児性愛などだ。

「かねてより被告は美少女アニメに強い執着を持っていた。被告人自身、アニメを好きだと話しており、実際、詳しかった。携帯電話のなかに、8000枚ほどアニメキャラの画像を保存していると言っていた。漫画も所有しており、大阪の刑務所に入る時に差し入れとして母親に要求していた」(同)

美少女アニメに耽溺していた被告には、性的興奮を覚える空想パターンがあったという。それが“幼い女の子への加害行為”だ。

「白いブラウスを着た少女が苦しむ顔を想像して、胸や陰部を触ったり、刺したり、挿入したりするようなイメージが専門学校に入学するころからあった。実際に鑑定時に本人がそう言っているし、前回の鑑定時にも同じような発言をしていた。

これまでの前科に共通しているのは、年少者が対象であること、自己の性的欲求を満たす目的で反復していること、お腹を殴るなどの強い苦痛を被害者に与えることで、性的興奮を覚え自慰行為をしている」(同)

被告はこうした“空想”を、美少女アニメのキャラクターを用いても行っていたのだそうだ。

加えて、印象的だったエピソードとして、鑑定初日の勝田被告の様子も明かした。

「当時私の勤務していた病院に警察官と来てくれたんですが『病院に向かっている途中でかわいい女の子を見つけた。殴るか刺してやりたい』と言っていました」

昨年11月24日、勝田州彦被告の裁判員裁判論告求刑公判が行われた岡山地裁(代表撮影、共同通信)
昨年11月24日、勝田州彦被告の裁判員裁判論告求刑公判が行われた岡山地裁(代表撮影、共同通信)

今までの被害者に対して「ざまあみろ」

鑑定時、勝田被告はすでに否認していたが医師には犯行を認めており、当日の様子をこう説明したという。

「女の子の苦しむ顔を見るためにまず首を絞めた。気絶させて、いたずらしようとしていた。女の子が倒れたが、騒がれるといけないので胸やお腹を4回刺した。首を絞めたのは苦しむ顔を見たい、悪戯したいという2つの理由からだった」

幼い女の子が苦しむ様子を見て性的興奮を覚える……という勝田被告は、2000年には拳、2010年にはドライバーで、そして2015年には刃物で、少女や女児を傷つけた。医師によれば「女児に対する加害行為を繰り返し、性欲を解消してより高い快感を求めるようになる」のだという。そのため行為も残虐になっていったというのだ。

しかし、勝田被告が2004年に津山事件を起こしたとすれば、このときの凶器は刃物だが、2010年にはドライバーになっており、弱い行為へと変化したことになる。エスカレートしていないのではないかと弁護人が指摘したが、しかしこれは藪蛇になった。

弁護人「刃物で刺した事件のあとにドライバーで、となると後退しているように見えますが、それはどういうことですか?」

医師「被告人は、対象者に段階的な方法を選びます。殴るのはどんな女の子か。刺そうと思うのはどんな女の子か。

事件のことについてではなく『あなたが刺そうと思うのはどんな女の子?』と、オープンクエスチョン(注:回答範囲を制限しない質問)で聞くと『刺そうと思ったのは2015年の殺人未遂と、今回の津山事件だ』と答えました。

どういう理由からと尋ねたところ被告人は『今まで会った子のなかで一番可愛かったから』と。たしかに犯行を重ねる中でエスカレートする面も当然ありますが、それだけではなく『好みがある』と答えていました」

つまり被告は、好みの女児であればあるほど、より強く傷つけたいという衝動があり、それを空想したり、実行したりすることで性的興奮を得るのだという。

事件を犯した後の“証拠隠滅”についても被告は鑑定時、

「まず着替えて鳥取砂丘に行き、駐車場で休んで、その後ライターとオイルを買い、服にオイルをかけて燃やした。翌日は海のテトラポッドから凶器を捨てた」

と、医師に語っている。公判で被告は、当時放送されていた事件情報番組『TVのチカラ』(テレビ朝日系)や新聞などで情報を得て自白したと主張していたが、犯行後のことは、犯人でなければ分からないはずだ。

また医師は勝田被告には「反省とかそういったものはなかった」とも振り返った。面談を重ね、被害者への気持ちを尋ねたとき「今までの被害者に対して、申し訳ないと思ったことはない。ざまあみろ」と答えたのだそうだ。

そんな勝田被告にとって『犯罪を犯すことはどういった意味があるのか』と面接で医師が尋ねた際、被告はこう答えたという。

「散歩のような、時間潰しのようなもの」

自白は“架空のストーリー”と主張していた被告は、やがて開かれる控訴審で、この精神鑑定での発言も架空のストーリーだと言うかもしれない。津山の事件も彼の人生における〈時間潰しのような〉ものだったのか、それとも本当に別に犯人がいるのか。引き続き控訴審も取材してゆく。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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