1億円プレイヤーが続々…!コロナ禍でも止まらぬ「ホストバブル」 | FRIDAYデジタル

1億円プレイヤーが続々…!コロナ禍でも止まらぬ「ホストバブル」

佐々木チワワ 令和4年、歌舞伎町はいま…… 第4回

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筆者の知人のホスト・粟谷麦は4年連続で売り上げ1億円を達成。「コロナ禍でも売り上げは落ちなかった。バブルは終わらない」と語る
筆者の知人のホスト・粟谷麦は4年連続で売り上げ1億円を達成。「コロナ禍でも売り上げは落ちなかった。バブルは終わらない」と語る

「コロナ渦でホストクラブは大変なんでしょ?」

最近、知人にこう聞かれることが多い。しかし、毎回返す言葉は決まっている。

「いやいや、ホスト業界は今が一番バブルですよ」

店舗数50以上を誇る歌舞伎町最大手ホストグループ、「groupdandy (通称・グルダン)」は、なんと昨年1年間で1億円以上を売り上げたホストが30名を超え、グルダン史上最多人数を更新した。

さらに昨年は、ホスト界歴代最高売り上げとされる’19年の3億3000万円(「冬月グループ」所属・渋谷奈槻(なつき)が打ち立てた)を同グループの降矢(ふるや)まさきが塗り替えた。その額、実に5億2000万円。これをホストバブルと呼ばずになんと呼べばいいのか。

10年前は年間1000万円を売り上げたとなったら街で話題になり、他店舗のホストが見学に来るほどだったそうだ。しかし、今では1000万円という額はスタートラインとなっており、そこからいかにその売り上げを継続して、年間に「億」を売るかがホスト達の指標になっている。

筆者自身も、やっとの思いで担当ホストにお金を使い、「これで来月は一緒にのんびりできるかな……」と思ったら、すぐさま「来月もよろしく」と連絡が来る。ホストクラブ通いを数年間続けている友人も、こう嘆いていた。

「私は19歳からホストにハマって今24歳。ホストに貢(みつ)ぐためにずっと風俗で働いてる。歳を重ねるごとに風俗はキツくなってくる。20歳を過ぎるまでは、若いってだけで価値がついて、出勤さえすればだいたい一日10万円は稼いでた。けど今は、毎日写メ日記を更新したり、ツイッターで頻繁に宣伝しないと客がつかない。ホントに時間外労働が増えた。

担当ホストには『パパ活すれば?』って言われてるけど、パパ活は援助交際だからちょっと嫌で。けどホストからしたら、パパ活とかで大金稼げる子じゃないといらないのかな、とも思います。ホストがどんどんインフレして、ひと月に100万円ぐらい貢いでもぜんぜん大事にしてくれない」

もともとは有閑マダムの憩(いこ)いの場だったホストクラブだが、現在では、客の半数以上が風俗嬢やキャバクラ嬢だと言われている。フツーの女の子が、ホスト代を捻出するために夜の仕事を始めるケースも多い。

ホストに貢ぐために夜職を始めた彼女たちは、稼いだお金を惜しげもなくつぎ込んでいく。「担当ホストをナンバーワンにしてあげたい」という気持ちももちろんある。ただそれだけでなく、「ホストに莫大な額を使う」という行為自体に価値を見出す子が増えており、実際にSNS上では頻繁に散財自慢が行われている。そんな子たちが通っているからこそ、ホスト業界はコロナ禍にもかかわらず、年々インフレを起こしているのだろう。

ホストクラブ側も、そんな客をつなぎ止めておくために努力は惜しまない。「店が楽しい、店でお金を使う価値がある」と思わせるためには、やはり豪華な内装、派手なシャンパンコール、莫大な広告料といった非日常的な空間の演出が重要となってくる。大手ホストクラブはこぞって大型投資をしており、内装費1億円を超える店が現在の歌舞伎町にはゴロゴロあふれている。

オミクロン株の出現によって、営業を自粛しているホストクラブも多いが、それもバブルを止めることにはならないだろう。仕事が休みになったホストたちは客をつなぎとめるため、一日に何人もの女の子を自宅に呼びセックスをしたり、時には自分の客が働いているソープに行ってまで枕営業をかけている。

客層の変化やSNSの発達、そしてホスト側の?営業努力?……。’22年もホストバブルはますます加速しそうだ。

佐々木チワワ

’00年、東京生まれ。
小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。
大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。
『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

『FRIDAY』2022年2月11日号より

  • 取材・文佐々木チワワ

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