現役慶大生ライターが取材!「ヤバイ配信で稼ぐ現役東大生」
現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま……第3回
著者のSNSには奇想天外な人々で溢(あふ)れているが、なかでもひときわブッ飛んでいるのが、半年前からフォローしているマコ(20・仮名)という子だ。都内の有名進学校を卒業後、現役で東大に進学。超がつくエリート街道を歩む現役女子大生だが、エロ配信で稼いだ後、現在は歌舞伎町のデリヘルで働いているというツワモノである。
マコが「チャットレディ」を始めたのは東大入学後まもない’20年のことだ。「チャットレディ」とは、ネットで繋がった客に動画や音声のライブ配信などをする仕事である。
「親がわりと厳しくて、大学生なのにお小遣いを月に4000円しかもらってなくて。バイトも禁止されていたので、当然、遊ぶお金が足りない。東大卒の友人が『チャットレディ』をやって稼いでいるのを知って、私も調べて始めました」
マコは客のリクエストに応えて自慰行為などの姿を配信していたという。抵抗はなかったのか。
「中学時代からぼんやりと、そういう仕事をやってみたいなという願望があったんです。実際にやって思ったんですけど、エロ配信って受験と似てるんですよ。やればやるほど結果が出て、売り上げという数字で自分に価値が付く感じが(笑)」
「チャットレディ」には1対1で通話をして稼ぐ手法と、ライブ配信による同時接続数とチップによって稼ぐ手法がある。1対1は確実に収入になるが固定時給。一方、ライブ配信は人気になれば視聴者数に比例してどんどん時給が上がる。人気配信者となるため、マコはいろんなライブチャットサイトを試し、配信の内容を工夫した。
「『チャットレディ』って相手に触れないからこそ、女の子がどんな過程で気持ちよくなるか、エロくなるかのストーリーを売るんですよ。素人の子がだんだん目覚めてきて、潮吹きまでしちゃうみたいな。潮吹きとか映像映えするのはやっぱウケますよね。私も撮影前にメッチャ水飲んで頑張ってました。
『チャットレディ』を始めてしばらくした後、いわゆる『夜職垢』を作りました。夜の仕事をしている子が情報発信するアカウントです。仕事の話で共感したり、学べたり、他の夜職の子と交流していく中で、別の業種もやってみたくなった。それで今は歌舞伎のデリヘルに在籍しています。近いうちにソープもチャレンジしようと思っています」
現役東大生と聞くと、受験勉強のストレスやエリートゆえの葛藤からこうした仕事に就いた、というストーリーを描きたくなる。だがマコは、「そんなんじゃないです」とあっけらかんと語る。
「ウチ、両親はどっちも東大のザ・東大一家なんです。ただ、二人とも頭はいいけど変わり者で、けっこう自由に生きてきたタイプ。どんな業界でも最終的に結果を出せばいいという考え方だから、私のしていることにも口は出さない。私もこの業界に足を踏み入れたからにはちゃんと結果を出したいって思っている。まあさすがに、親に具体的に何をして稼いでいるかは内緒にしていますけどね」
そんなマコは現在、大学で教育心理学を学んでいる。
「今って、人がシステムを回すための代替可能な部品になっていると思うんです。どれだけ数字で結果を残したか、というところに存在価値が集約している。私自身が視聴者数や指名客の数で価値が決まる仕事をしてきたから、よくわかるんです。
でも本当は、人は生きているだけで価値がある。それを伝えることができるのが教育だと思って、勉強しています。周りの夜職の子たちにも、いつか教えてあげられたらいいなと思っています」
卒業後は官僚になりたいというマコ。彼女の将来が楽しみである。
佐々木チワワ ’00年、東京生まれ。
小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。
大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。
『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中
『FRIDAY』2022年2月4日号より
- 写真:共同(1枚目)