リアルナンパアカデミー事件「元刑務所同僚」が記した壮絶メモ | FRIDAYデジタル

リアルナンパアカデミー事件「元刑務所同僚」が記した壮絶メモ

服役中のリアルナンパアカデミー塾生はまだ“改心”できていないのか…

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Bさんが受けたイジメを記したノート

最高裁は1月12日、ナンパした女性らに酒を飲ませ、酩酊させたうえで性交したとして準強制性交等などの罪に問われていた渡部泰介被告人(45)の上告を棄却する決定をした。

渡部被告人は、ナンパ塾『リアルナンパアカデミー(RNA)』を運営していた塾長。塾生らに有料で女性を“ゲット”する方法を指導していたが、その実態は、女性に度数の強い酒を飲ませるように仕向け、抗拒不能状態にしたうえで性的暴行を加えるというものだった。

性交数を“ゲット”と称して、塾生らに「ゲット数」を競い合わせるなどしており、渡部被告人もナンパした女性を酩酊させ抗拒不能状態にしたうえ性的暴行を加えたとして2018年に逮捕され、のちに20代の女性3人に対する準強制性交等罪で起訴されていた。一貫して否認していたが、一審・東京地裁は暴行を認定し、懲役13年の判決を言い渡しており、最高裁もこれを支持した格好となる。

イジメの酷さに耐えかね、追い詰められた

そのRNA塾生の一人で、2人の女性に対する準強制性交等罪と集団準強姦罪に問われ、2018年に懲役7年の判決を言い渡された元会社員の羽生卓矢(当時33)は、現在、関東地方の刑務所で服役している。彼の刑務所での振る舞いは以前、ある出所者・Aさんが語ってくれたが、今回証言してくれた出所者Bさんは、刑務所内で増長する羽生受刑者からイジメを受けたことにより、自殺未遂を図ったというのだ。

「本来であれば仮釈放で出所の予定だったのですが、自殺企図によりそれが取り消され、7ヶ月先の、満期での出所となってしまいました」

こう語るBさんは、交通事案により昨年まで、羽生受刑者と同じ刑務所に服役していた。さらに羽生受刑者ともう1人の受刑者とともに、同所に新しく入ってくる受刑者らの生活指導などを行う「新入工場」の衛生係を担当していたという。

衛生係の中で一番入所が遅かったBさんだったが、3人のなかで誰よりも刑期が短かった。身元引受人もいたことなどから、仮釈放を見据えた「準備面接」を受け、着々と出所の段取りが進められていたところだった。自殺企図は刑務所内では遵守事項の違反となり懲罰の対象となってしまう。受刑者だったBさんはもちろんそれを知っていたが、羽生受刑者のイジメの酷さに耐えかね、死のうとしたのだった。工場でともに作業をするようになり3ヶ月が過ぎた頃だった。

具体的な自殺方法を明かすことは控えるが、イジメから逃れるために準備に時間をかけた。

「計画から決行までは1ヶ月ぐらいかけました。徹底的にやってやろうと。もうそこまで追い詰められていたんです。

その頃自分は眠れなくて1日3〜4時間しか寝てなかったんで、夜勤の刑務官がどういうタイミングで巡回するかというのも頭に叩き込みました。刑務官は靴音が聞こえないように配慮して、夜間は運動靴を履いてくれてるんですけど、気配で分かるんです。カウントして、どのくらいで回ってくるなと間隔を覚えました」(Bさん)

こうしてその日を迎えた。「夜間巡回はたまたま歩き方に特徴がある刑務官の担当日で、運動靴を履いていても歩くたびにキュッ、キュッと音がしていた」(Bさん)というが、消灯時刻よりも少し前にうたた寝してしまっていたことや、房に時計がなかったこともあり、カウントがずれ、意識を失ってからすぐに発見されたのだという。保護室に連行された後、懲罰となった。

Bさんを自殺にまで追い込む羽生受刑者のイジメは、言葉によるものだったという。

「生活の細かな所作について、刑務所では細かく決められていますが、彼は『羽生ルール』とでもいうべき勝手なルールを決めていて、さらに細かく管理していた。それを刑務所も黙認している。『羽生ルール』から外れたといっては、私に嫌味を言っていました」(同)

刑務所のルールよりさらに細かい『羽生ルール』を強いては、毎日「年齢的に頭がキャパオーバーでもシッカリして下さい」などと言われ続けた。羽生受刑者はMBAを取得しコンサルティング会社に勤めていた過去がある。Bさんが、ある資格を持っていたことを知ってから羽生受刑者は「頭良いんだったら、頭の中少し整理して仕事して下さい」と説教のたびにしつこく言った。

羽生ルールを外れるたびに言われていた『俺達は新入工場の衛生だから、教えて貰わなくても出来て当たり前です!』って言葉が、未だに頭の中をループしてます。トラウマ化してると思います」(同)

Bさんは刑務所での日々をノートに書きつけていた。新入工場に配属になり、羽生受刑者とともに工場作業を行うことになってから、彼とのコミュニケーションに悩み、ノートの記述も長くなっていった。以下はBさんが保管している当時のノートの内容だ。

〈フロの入浴後点検で、Haさんに服装で叱られる。〉

〈今日こそ、何も注意されないようにと思っていたが、朝からHaさんに布団の畳み方についてダメ出しされ、食器用洗剤を食器口に出してないことを叱られ、夕方の着替えの時には、下駄箱の前で『ボケッと突っ立ってないで、前期生の出来ない人をしっかり見て、誘導をしろ!!』と叱られた。(中略)自殺をしてはならないなら、配置換えをしてもらうしかないと思う。〉

〈どうして俺は、こんなにも仕事ができないんだろう? 自分自身では一生懸命に仕事をしているけど、刑期が短いから、いい加減な気持ちで取り組んでると見られてるのか? 実際、X月X日にHaさんに言われたか。Haさんには俺が適当に仕事をしてるように見えているのか。

先パイ受刑者のお荷物にならない様に気をつけながら、周りに気を使い、一生懸命に毎日仕事してるけど、それがダメなら、もうクビにしてほしい。

俺、衛生係に向いてないよ。〉

〈Haに夕の検身時に喧嘩を売られた。〉

ノートの記録は日を追うごとに、自身を責める記述が増えている。

「徹底的に言われて、仕事ができないことで彼らの荷物になってるんじゃないか、邪魔になってるんじゃないかと追い詰められていくんです」(Bさん)

羽生受刑者が問題視されない理由

羽生受刑者のことを『Ha』と記載しているのは「自殺企図の後、ノートを刑務所に証拠品として押収されたんですが、出所時に『返して欲しい』というと『羽生の記述については全て消せ』と言われたんです」(Bさん)という事情からだ。

こうしてBさんは、自殺企図という刑務所の遵守事項違反行為により懲罰となったが、ここに送られた他の受刑者と話したとき、羽生受刑者のイジメの被害者は自分だけではなかったことを知った。

「懲罰にあがると皆、どこの工場から来たか、聞き合うんです。そこで僕が『新入工場の衛生係』って言うと『なんで衛生係が?』と聞かれます。まず衛生係は懲罰に上がってこないからです。そして、懲罰の理由を聞かれるので『いや、精神的に追い詰められて』って言うと、全員が『羽生でしょ』って言ってきたんです」(同)

羽生受刑者が自殺に追い込んだのはBさんだけではなかったこともわかった。服役して4年で、Bさん以外にも複数の受刑者が羽生受刑者と揉めたことによりBさんと同じような道を辿っているという。

「でも羽生は直接手を下してないので不問なんです。刑務所は何もしない。たとえ被害を訴えても、現行犯じゃないから。『お前の考え方次第だろう』と言われたりもする。刑務所自体は事なかれ主義なので」

何人もの受刑者が、羽生受刑者からの攻撃により心を病んできた。この刑務所は、彼が出所するまで、他の受刑者らに我慢を強いて、やり過ごすつもりだろう。

  • 取材・文・写真高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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