「実はもう行ける」日本人の海外旅行…最新リアルレポート | FRIDAYデジタル

「実はもう行ける」日本人の海外旅行…最新リアルレポート

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旅行ジャーナリストがヨーロッパを取材

新型コロナウイルスの感染拡大で、ここ2年ほど海外旅行へ実質「行けない」状況となった。しかし、感染状態がやや収束し出したことで、ヨーロッパをはじめアジアの国々も次々と国境を開放し始めている。

日本でも、現在はワクチンの3回接種などを条件に帰国後の隔離免除となるなど、入国規制の緩和が進む。外務省が発出する感染症の危険レベルも最近、ほとんどの国・地域が「3  渡航中止勧告」から「2 不要不急の渡航は止めてください」へ引き下げられた。

関西空港の国際線出国後エリア。人がほとんどおらず、開いている店舗もわずか

ただ、外国人の観光ビザはいまだ停止したまま。コロナ前に訪日(インバウンド)人気の中心だったにもかかわらず、その国境を閉ざし続けている。今やっと入国できるようになったのはビジネス関係者や留学生らに限られ、実際のところ「以前とほとんど変わっていない」のが現実だ。

筆者は4月半ば、所用でヨーロッパを訪れた。コロナ禍での海外渡航は、昨年9月のアメリカ西海岸以来、2度目。この時、アメリカで見た「コロナで取り残されていく日本の悲しき姿」という現地リアルレポートの記事を掲載した。今回、ますます世界から置いて行かれていく日本の現状を目の当たりにした。

■「アメリカで見た『コロナで取り残されていく日本の悲しき姿』」はコチラ

ヨーロッパは入国時の陰性証明不要、日本のワクチン接種アプリは反応せず

最初の行き先はオランダ。乗り継ぎのみだが、EUのシェンゲン圏に入る手続きは、オランダのスキポール空港で行うこととなった。

オランダの入国基準を満たしていないと、その後の乗り継ぎもできない。その基準は当時、ワクチンを規定回数・期間で接種完了した人のみ観光目的であっても入国でき、陰性証明も隔離も不要。一方、ワクチン未接種の場合、現地の滞在許可証などがなければ一切入国不可とのことだった。

筆者はワクチンを3回接種済み。当然ながら、ワクチン接種証明は日本出発時もしくはオランダ入国時に提示しなければいけないと思っていた。しかし実際には、どこでも提示しないままEUのスタンプをパスポートに押された。そしてそのまま、到着口へ。正直、拍子抜けしてしまった。

オランダのアムステルダム・スキポール空港。行き交う人の数はけっこう多かった

乗り継ぎで向かったのは、フィンランド。ヘルシンキ・ヴァンター空港の出口前にブースがあり、ここで初めてワクチンの接種記録を提示するよう求められた。日本政府が発行した接種証明のアプリを立ち上げ、QRコードを表示したものの、どうしても機械で読み込むことができなかった。結局、スタッフと口頭でやり取りし、3回接種を今年2月に終えていたことから無事入国することができたものの、QRコードが反応しないのに一瞬戸惑った。

その後訪れたスイスでは何の確認もなく、そのまま入国。さらに、スイスからフランスへ向かう際もワクチン接種記録のチェックはなく、フランス入国で必要と聞いて用意していた「誓約書」を提示する機会もなかった。

日本入国時の面倒さは変わらず、検査結果の入手に二度手間

最大の難関は今もやはり、日本帰国時だった。

出発の72時間前以内にPCR検査を受け、日本政府が推奨する書式での書面を用意しなければいけない。検査方法やさらに書式まで細かく定められ、書類不備の場合は自国民であっても強制送還されることもあるという。

パリ・シャルルドゴール空港にある検査場。土日祝を含め、年中無休で営業

筆者は、パリ・シャルルドゴール空港で検査を受けた。事前に予約したものの、その予約とは別に、検査場の入口にあるQRコードをスマートフォンで読み込んで「患者」登録をし、番号を発行する必要があった。それを知らずに入口でまず四苦八苦したが、同じような旅行者が周りに大勢いて皆、悪戦苦闘していた。その後、検査料の50ユーロを支払って個別ブースに案内され、鼻の奥に綿棒を突っ込む海外ではおなじみの検査を受けた。

そして、日本の例の「紙」へ記入してもらおうとしたら、受付で「検査結果が確実に出る明日以降にもう一度来て」とのことだった。帰国直前に再び検査場へ行き、紙に記入してもらった。その検査場には日本のその紙が置いてあり、対応してくれたフランス人スタッフも「あぁ、日本のね」と明らかに慣れた様子だった。記入済みの紙をその場で撮って「MySOS」経由で登録すると、ファストトラックの事前審査完了を示す「緑」に変わった。

「MySOS」のファストトラック向け事前登録画面。赤(登録未完了)・黄(検査証明以外完了)・緑(審査完了)に色が変わる

本来の検査結果は検査から約5時間後にメールで届いた。その結果はフランス語と英語の併記で、画面をキャプチャしてMySOSに登録してみたものの、数分後に「書類不備」で差し戻しとなった。理由は「証明書に日本語または英語の翻訳を添付してください(検体採取日時)」との記載。証明書には検体採取日時はフランス語で載っていたが、英語では日付のみで時間の記載はなし。検査方法や記入項目などの基準を満たしていれば日本のその紙でなくてもOKなはずなのだが、見比べてすぐわかるほど簡単な書面なのにすぐ差し戻すところ、日本のお役所仕事ぶりが垣間見られた。

ファストトラック導入で作業迅速に、しかし検査待ち時間相変わらず

アメリカの時は日本へ出発する前にJALのカウンターで搭乗手続き時、陰性証明書の細かいチェックがあった。しかし今回は搭乗直前のゲートで、MySOSの「緑」画面を見せたのみ。日系と外資系、航空会社の差だろうかとも思った。

日本帰国時の空港で渡された「紙」は以前より若干減った。赤い紙は「陰性」の証明

日本到着は前回と同じく、関西空港。前回は一連の確認作業および抗原検査に3時間近くかかったが、今回は1時間半で到着口を出ることができた。確認ブースの数は変わらないが、MySOSを使ったファストトラックができた分、確認作業などは早くなったように感じた。

ただ、検査結果が出るのに1時間以上かかり、ひたすら待たされた。この待ち時間がなければもっとスムーズになるだろうと思った。しかも相変わらず精度の低い抗原検査のまま。出国前の検査すらない国が増えている現状で、いつまで続けるつもりなのかと疑問に思った。

ファストトラックの導入で待ち時間が早くなったのはありがたいが、スマホを使いこなす必要がある。しかも、アプリのMySOSがフリーズし、一時使えなくなったこともあった。ブースの多さと人間によるチェック、「紙」の数は若干減ってもまだ健在だ。

関西空港の国際線出発便。1日でこれだけだが、今後増えると検疫のひっ迫が懸念される

ウィズコロナのヨーロッパ、すでに「マスクなし」の世界

今回の渡欧で最も驚いたのは「マスク」だった。

EU圏に初めて入ったのがオランダ。そこでは空港内でもマスクをしている人はごくわずかで、大半の人がマスクなしで歩き、普通に話していた。他国でも同様で、唯一フランスのみ公共交通機関でのマスク着用義務がまだあるために全員が着用していたが、外では店舗内を含めて皆無。立ち寄ったスターバックスのレジに立つ店員ですら、マスクなしで接客していた。

フランス・パリのマレ地区。マスクを着用する人はほぼいない

店舗などの入口には消毒液が置いてあったり、マスク着用やソーシャルディスタンスを促したりする張り紙は見かけた。しかしながら、コロナ前の世界が既に戻りつつある。

イースター休暇の時期だったので、旅行客もとても多かった。空港のカウンターや保安検査場は長蛇の列で、ショップやカフェなども行列。ホテルの価格も高騰していた。各国の入国規制が緩和され、マスクやワクチンパスなどの義務も撤廃されて「やっと旅行できた!」という開放的な雰囲気にあふれていた。以前と大きく違うのは、ロックダウン中の中国人と、日本人がまだいないこと。アジア系では韓国人のみよく見かけた。

スイスのチューリッヒ空港。航空会社のチェックインカウンターは長蛇の列だった

円安の今、外国人旅行者への国境開放は必要なのだが…

日本で、観光目的の外国人旅行者に国境を開くことなく、いわば“鎖国”状態が今も続くのは、新型コロナの感染が海外から入ってきたことで、日本人に警戒心が強いことに配慮する政府の姿勢もあるだろう。しかも今夏には参議院選挙が行われる。今、国境を開いて感染者がまた増えると非難を浴びることは必至で、与党の支持率に影響しないとも限らない。そんな事情も垣間見られる。

チューリッヒ空港で見かけた注意書き。歩く時はマスク着用、テーブルは6人まで、など

しかし、そんな日本国内だけを見ている場合かと思うほど、世界の動きは早い。日本人の海外旅行は、以前よりしやすくなったものの、空前の円安かつ燃油サーチャージが高騰し、航空券の価格も高止まり状態。もし、帰国時の検査で陽性になると、数日の待機も強いられる。日本では“旅行=遊び”というイメージが根強く、寛容な社会と言い難い。まだしばらくは誰もが気軽に海外旅行できる状況ではない。

外国人旅行者が入国できるようになれば、円安の割安感もあって大いにお金を落としてくれ、値上げラッシュで消費が落ち込む日本経済にはプラスになるはずだ。「GoTo」を再開したところで、国内客だけでは費用対効果はたかが知れている。

しかし、日本の訪日客対策は、すでに準備万端なのだろうか。ヨーロッパの観光地が外国人で賑わうのを見ると、半ば鎖国を続けて主に国内向けしか対策できていない日本は、その対策すらまだ着手する段階に来ていないのではという気すらした。遅きに失する、すでに手遅れかもしれないと思わざるを得なかった。

■記事中の情報、データは2022年4月26日現在のものです。

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  • 文・写真(特記以外)Aki Shikama / シカマアキ

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