熊本「10人兄妹TikToker」 の動画がバズるリアルな理由 | FRIDAYデジタル

熊本「10人兄妹TikToker」 の動画がバズるリアルな理由

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芸歴20年の20歳! 10人きょうだいの末っ子

「芸歴20年の20歳」というTikTokerがいる。

現在公開中のドキュメンタリー映画『人生ドライブ』の被写体の一人で、熊本県民テレビ(KKT)が21年間追い続けてきた熊本県の岸英治さんと信子さん+7男3女の子どもたち一家の末っ子。現在は専門学校でwebデザインを学びながら、四男・五男の兄たちと共に「岸野郎(10人きょうだい)」と題して「大家族あるある」動画を投稿し、15万人超のフォロワーを抱えている岸不動さんだ。

岸一家の物語は温かく、素敵だが、生まれた瞬間からテレビカメラに追われてきた当事者にとっては大変なこともあったのではないか。映画公開を機に、率直な思いを岸不動さんに聞いた。

「最初の頃は、(取材されるのは)親戚のおじちゃんが遊びに来たぐらいの感覚で気にならなかったんですよ。運動会とか行事のときにも何回か学校に取材が来たので、小学生の頃は『うぇ~い』みたいな感じで、ちょっと人気者気分で、悪い気はしなかったです。ただ、ちょっと恥ずかしいなという感覚は中学生くらいの頃はありましたね」

思春期など、撮影を拒否したいと思った時期もあったのでは、と問うと。

「撮らないでほしいと思ったときはないですが、僕はいつも夏などには上半身裸で寝ているので、朝起きて降りていったらカメラがあって『えっ!?』みたいにビックリはしたことはあります。あまり気にはならないですけど。 

ただ、僕も含めて、男の兄弟はみんな恥ずかしいから、頑なに自分の部屋は映さないでくださいと言っていましたね。それに、僕が生まれたばかりの頃の映像を見返すと、僕自身は当然記憶にないですが、長男と次男は16~17歳くらいで思春期だったので、『うわ~、お兄ちゃん、嫌がってるな~』みたいに思うことはあります(笑)」 

3女の結婚式のときの集合写真。現在、信子さん・英治さん夫婦と、10人の子どもたちの5人の配偶者や13人の甥姪を入れて、岸家は30人! 撮影場所は、きょうだいがピクニックをしたり、早朝にきょうだい全員で水鉄砲大会をした公園(不動さんは、左から4番目)

OAは録画して、後でこっそり一人で…

番組が放送されるときは、「恥ずかしいからリアルタイムでは見ない。録画して、後でこっそり一人で見る」という不動さん。

しかし、自身が見る前に、「赤ちゃんの頃とか裸で出てくるから、『フルチンやん』みたいに、友達にはめっちゃいじられました」と笑う。すごく大人……と感想を漏らすと、こんなコメントが。

「小学生の頃は大人びているねとか先生によく言われました。それに、自分で言うのもなんですけど、失敗しない子だったというか。お兄ちゃんたちが成功したところは同じ道を通って、失敗したところは行かないようにしていたので、社交性も鍛えられたし、世渡り上手だったのかなあと。下の子は上の失敗を見て育つから要領が良いとよく言われますけど、僕は上9人分の経験を間近で見てきたから」

では、大家族で良かったこと、大変だったこととは。

「今では比べることじゃないなと思うんですが、以前はよその家と比べたこともありました。良かったのは、やっぱり賑やかだったこと。思春期・反抗期のときにはひねくれていて、お母さん1人に対して子どもは10人だから、愛情も10分の1になっちゃうんじゃないか、一人っ子の子達より僕は親から愛されていないんじゃないかと思ったんです。 

でも、うちの両親はそういうことを感じさせないように、一人一人に愛情を注いでくれましたし、兄弟もみんなお互いのことが好きだったので、愛情にあふれた家庭で過ごせたな、と。 

逆に、嫌だったのは、貧乏だったこと(笑)。両親は貧しいと思わせないようにしてくれていましたが、僕のランドセルは小学校1年生からボロボロでしたし。きょうだいの影響で、僕も当時はボロボロのランドセルをかっこいいと思っていたんですけどね(笑)。それに、僕が1年生のとき、同じ小学校にお兄ちゃんが2人いて、かっこいいお兄ちゃんでいてくれたのが良かったのかな」 

700万回以上再生された動画は、「僕が外に出て行くときに、全身兄弟の服を着て出て行こうとしたら『いや、それはおかしい』みたいなツッコミをされた」もの。写真は8歳の頃、一番左が不動さん

兄弟げんかは味方を多くつけたほうが勝ち、「下の子あるある」…

また、きょうだいの「下の子あるある」で、使い走りの時期ももちろんあった。

「僕が喜んでやっていたんですが、お姉ちゃんが『のど渇いたな~』と言うと小学生の頃の僕は、急いで水をつぎにいくみたいな。すごく従順でした。その分、ゲーム機とか服とか漫画とかは自分で買わず、全部お下がりをもらえるのは、すごい強みですが」

子どもが10人もいると、常に誰かはケンカをしていそうなイメージだが、きょうだいゲンカはあったのだろうか。

「僕は世渡り上手だったので、あんまりケンカはしなかったですけど、7番目と8番目とかはすごくケンカしていました。きょうだいが10人もいるから、兄弟げんかは、味方を多くつけたほうが勝てるんですよ。僕はそれぞれに味方につけられそうになっていました(笑)。どちらかに良い顔をすると、もう一方を敵に回すので、そこは難しいところでした」

また、反抗期はあったのかと聞くと、

「僕を母が産んだときが、46歳だったんですよ。だから、中学や高校の頃には、授業参観のときなどに母が来ると、周りのお母さんは30代40代くらいなのに、うちの母親だけおばあちゃんぐらいの感じで、恥ずかしいなと思っていました。その頃は全然知識がなく、高齢出産の危険性とかも知らなかったので。でも、大人になるにつれて、10人一人一人に愛情を注いでくれたことが分かるから、母にはこれからお返ししていかなければと今は思います」 

TikTokの投稿で多いのは「仲いいね」というコメント。また、「イケメン」と書かれると、「兄弟同士で『イケメンだねって俺は言われたぜ』みたいにお互いに自慢しあってます(笑)」。一番右が不動さん、19歳の時
「『それは大家族だからできること』とか『私もきょうだいが多いから、お姉ちゃんの一緒に着てます』『一人っ子だからうらやましいです』みたいなコメントがたくさん来ます」。こちらは20才のときの写真、不動さんは左から3番目

父は「見習いたい人、尊敬する人」

また、父・英治さんについては「見習いたい人、尊敬する人」と一言。

「映画は僕の記憶にない頃からの映像ばかりなので、客観的に岸家を見ることができて、両親や兄弟に感謝したくなりましたし、家族のあり方など、参考にすべきだなと思いました。 

僕が岸家を自慢に思うところは、辛いこととかつまずくことがあっても、絶対に下を向かないこと。家が全焼したときもそうでしたが、何かを失ったときも、これがダメだったとか思うより、『まだ〇〇は残っている』『一番大事なものが残っているから、それを大切にしよう』『今思うと、なくなったものなんてそこまで大事じゃなかったのかもしれない』とか、ポジティブに考えられるところです。 

両親の影響で、兄弟もみんなそういう考え方で生きていけているのは、岸家全員で、自慢できるところだなと」

現在は両親と四男・五男の兄たちと共に実家で5人暮らし中。寂しさもあるのだろうか。

「今はだいぶ静かですね……。人が減って思うのは、洗濯物と皿洗いの量、夜ご飯を作る量がだいぶ減ったこと。小さい頃から家事分担があったので、家事の労力が減ったのはだいぶ楽ですが、食べ終わったお皿の少なさを見ると寂しさもあります(笑)。 

それに、友達と将来子どもがどのくらいほしいかという話になったときに、『俺は大家族じゃなくていいや』と言ったんですけど、『何人ぐらい?』と聞かれ、『5、6人』と答えたんですよ。どうやら一般的には5、6人って多いらしいです(笑)。 

でも、変な話、一人での過ごし方が分からないんですよね。いつも兄弟と同じ部屋にいて、僕は漫画を読んで、もう一人はスマホを触っているとか、特に何するわけでもないんですけど、ひとりぼっちだと何をしたら良いか分からなくて」

ちなみに、両親+10人の子どもたちによる「岸」という名の12人のグループLINEもあるそうだ。 

「福岡に姉が3人いて、コロナで会えない間は姉たちがそれぞれ甥姪の写真や動画をアップしてくれているんですよ。12人もいるから、誰かが1つの動画を上げるだけでも他の11人がみんな反応するので、通知が鳴り止まない(笑)。だから、僕、今は通知オフにしています(笑)。半日放置していただけで100件以上来ていますから」 

■岸不動さんのTikTok「岸野郎(10人きょうだい)」はコチラ

  • 取材・文田幸和歌子

    1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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