空母「エイブラハム・リンカーン」が横須賀初寄港の衝撃的意味
中国の海洋進出を警戒するアメリカ海軍の中心艦
雨が降りしきる中、巨大な船体が静かに姿を現した――。5月21日朝10時半、神奈川県・横須賀基地に米軍の原子力空母『エイブラハム・リンカーン』が接岸した。
「全長333mで世界最大級のニミッツ級空母です。約80機の攻撃機などを搭載し、世界最強。目に見える脅威を示す抑止の観点で、空母は米軍の主役と言えます」(防衛ジャーナリスト・半田滋)
常駐する『ロナルド・レーガン』以外の原子力空母が横須賀に寄港するのは、12年ぶりだった昨年に続き2年連続。今回の寄港は、どのような意味を持つのか。
「『ロナルド・レーガン』が横須賀を出港して間もなく本艦が入港した。この寄港を見せつけることで中国に対し、米軍は即応体制にあることをアピールしています。大統領の訪日により、日本に注目が集まる中、横須賀に別の空母が来れば、目立ちます。寄港が長期に及ぶ場合、艦載機は岩国基地(山口県)に降ろされますが、今回は載ったまま。短期間で出港する計画だったということです」(同前)
6日間寄港した船は、26日に同基地を出港した。ここ30年で国防費を42倍以上に増やし、海洋進出を行っている中国に対するアメリカの警戒姿勢が窺(うかが)える。ロシアのウクライナ侵攻に注目が集まる中、日本近隣の緊張は高まっている。
『FRIDAY』2022年6月17日号より
- PHOTO:田嶋健一 吉永陽一