初の全国ツアーに挑むカミナリ「中堅を前にした僕たちの危機感」 | FRIDAYデジタル

初の全国ツアーに挑むカミナリ「中堅を前にした僕たちの危機感」

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<2016・2017年の『M-1グランプリ』で決勝に進み、力強いドツキ漫才で旋風を巻き起こしたカミナリ。現在では数々のレギュラー番組を持っている彼らが、今年8~9月に初めての全国ツアー『カミナリ 単独ライブツアー2022 心電図』を行う。この単独ライブにかける意気込みと、これまでの芸人人生にお笑い評論家・ラリー遠田が切り込んだ――>

勢いのあるドツキ漫才で着実に人気を掴んでいる「カミナリ」のまなぶ(写真左)とたくみ(同右)。男の渋みが出てきた

東京で覚えたようなことはやらない

――今回が「初の単独ライブツアー」だと聞いて驚きました。カミナリぐらいのキャリアと人気があれば、毎年のように全国を回っていたんじゃないかと思っていましたから。

まなぶ:満を持して……と言えばカッコいいんですが、今まで全国を回る機会がなかったんですよ。事務所の先輩のサンドさん(サンドウィッチマン)がやっているから、俺たちもおんなじように全国を回れたら格好良いよねっていうイメージはずっと持っていたんですが、自信がなかった、とも言えるかもしれない。

それが、最近は地方ロケに行くと、おじいちゃん・おばあちゃんが僕たちのことを知っててくれていて、「自分たちが思っているよりも知名度があるな」と思えるようになってきたので、もうやっても大丈夫かな、みたいな。

たくみ:うちの事務所の出張ライブが各地で行われていて、それに出る形ではいろんな地方の劇場には出ていたんですが。サンドウィッチマンさんといった先輩や仲間と一緒に回っていく中で、一度、自分たちだけで全国ツアーをやってみたいなという気持ちが出てきたんです。これまでなじみが薄かった地域でもウケるのかどうか、少し不安はありますが、楽しみで仕方ないですね。

――芸人の中には『M-1グランプリ』などのコンテストを意識して作ったネタを単独ライブで試してみる、といった考え方をする人もいるようですが、お二人はどう考えていますか?

まなぶ:今回の単独に関しては、賞レースで勝負できるネタという方向では作っていなくて、「幅広い層にウケるけど、そこに寄せすぎず、自分たちも満足できる」というラインを目指しています。その中で結果的に賞レースっぽいネタができればいいですけど、そこに全振りはしていないです。

たくみ:そうですね。そこを意識すると、何のために茨城から上京したのかを見失っちゃうと思うので。

まなぶ:僕たちは「みんなにウケたいん」ですよ。ネタを作るときには、うちのじいちゃん・ばあちゃんや地元の友達は笑うかな? という目線をずっと入れているんです。東京で覚えたようなことはやらないようにしよう、みたいな部分があります。

たくみ:僕らは養成所に入っていない。だから、養成所に入っていない理由をちゃんと出したいというか、そういうところをネタで表現できたらな、というのはあります。

上京して出会った永野という「やべえ先輩」

――芸人を目指すために上京したお二人ですが、芸人になる前には相当な自信があったそうですね。

たくみ:そうですね。自信しかなかったです。

まなぶ:「芸人になったら次の日にはもう売れるぞ」、って思っていました。

たくみ:すげえ気張っていましたね。それが自信なのかやる気なのかはわからないですけど。自分たちが一番面白いってめっちゃ勘違いしていました。

まなぶ:だから、今の事務所のオーディションを受けるときにも、履歴書を書いて直接手渡しで持っていったんですよね。

たくみ:直接顔を見せた方がいいかと思って。そこでほかのやつらと差別化を図ろうとしたんです。

まなぶ:手土産を持ってくるやつはいねえだろうと思って、目黒駅で菓子折り買って持っていって。ところが、「事務所に入りたいなら、ネタを見たいから映像かなにかを送ってください」って言われてしまった。当たり前なんですが(笑)。

それで、それまでお笑いのネタを作ったことがなかったので、僕らが作っていたラップのDVDを焼いて送ったんです。そのPVに登場人物が4人出ていたので「どれがカミナリですか?」ってメールが来ました(苦笑)。それぐらい、なにもこの世界のことを知らなかったですね。

たくみ:トガってるとかじゃなくて、本当にそうするのがいいと思っていたんですよ。ほかのやつらはこんなことしないだろ、って。それまでは、ナマで会った人間で僕らより面白いと思う人間ってなかなかいなくて、そんな勘違いした状態で事務所に入ったんです。でも、初めて自分たち以外で面白いと思ってパンチを食らったのが、事務所の先輩の永野さんだったんです。ちょっとこの人やべえぞ、って。

まなぶ:永野さんと虹の黄昏さんね。

たくみ:そうそう。当時、その2組はテレビに出ていなかったから、なんだこの業界は……って衝撃を受けまして。本来はその人たちに勝ってテレビに出なきゃいけないんですけど、考え方を変えて、俺たちと永野さんは別モノだからもう勝負しない、って思うことにしたんです。

まなぶ:あと、僕らは養成所に行っていなくて、基礎が全部抜けていたので、自分たちが面白いと思うことをそのままやってスベったりしていたんですよね。でも、事務所には養成所に通っていた経験のある先輩もたくさんいたので、その人たちに基本的なことを教えてもらいました。

たくみ:フリ・オチとかね。たとえば、舞台上で「ウンコ!」っていきなり言ってもウケないよ、「好きな食べ物は?」とかフリがないとダメ。それでも、ウンコじゃウケないけどね……とか。そもそもたとえも間違っている気がしますが(笑)。

お前ら、ツカミで食パン食べてたけど、基本的に舞台上では物は食べない方がいいよ、とか、先輩のシオマリアッチさんに基礎から丁寧に教えてもらいました。

――今ではカミナリは漫才師というイメージがありますが、最初はコントをやっていたんですよね。

たくみ:そうです。でも、ガチで向いていなかったですね。コントって、たとえば医者役と患者役とかだったら、2人とも敬語を使わなきゃいけない。そこにすげえ窮屈さを感じていて。やってみたらやりづらいなというのは続くし、ウケねえなというのもあって。

まなぶ:サンドさんの近くにいるから、コントをやるとだんだんサンドさんっぽいテンポになってくるし、富澤(たけし)さんっぽいボケ方になるし。

たくみ:そしたら永野さんに「ウケてたけど、あれはサンドウィッチマンみたいだったからウケたんだよ」って言われて。その頃、永野さんに「それがカミナリっぽくていい」って褒められたのが、2人が茨城弁で話すコントだったんです。コント自体はスベッてたんですけど、永野さんはそれが俺たちに一番合っているって見抜いていた。それで訛りを大事にした方がいいなと思って、茨城弁で漫才をやることにしたんです。

漫才スタイルの誕生秘話

――その後、たくみさんがまなぶさんの頭を強く叩く漫才で『M-1』の決勝に進んだわけですが、あのネタはどうやって生まれたんですか?

たくみ:2014年に地元・茨城で単独ライブをやったことがあるんです。僕らの親戚や友達とか知り合いが300人ぐらい集まってくれて。でも、そこでめちゃくちゃスベったんです。

――ホームなのに。

たくみ:そう、スーパーホームなのにスベッて、ムカついたのでコント中にアドリブで僕がまなぶの頭をひっぱたいたんです。そしたらめちゃくちゃウケたんですよ。ただ頭叩いただけなのに。

それで、これって何かあるのかな……? ってなって、漫才の中にその動きを入れたんです。その後、次長課長さんと一緒にゲストで出たサンドウィッチマンさんのラジオで、今の漫才の原型となるネタをやったら、その場にいた全員、息ができないくらい笑ってくれたんです。

まなぶ:「お前ら、今年絶対(『M-1』の)決勝に行けるよ」とまで言っていただいて。

――叩いてから少し間を置いてたくみさんがツッコミのセリフを言うのも斬新でした。

たくみ:最初は叩きながらツッコんでいたんですけど、たまたま見たお客さんのアンケートで「パーンっていう音が強すぎてセリフが聞こえません」っていうのがあったから、叩いた後に言うようにしたんです。そしたら、周りの人にそのやり方が「斬新だね」って褒められるようになって。中には「だからカミナリっていうんだね」って言う人もいて。どういうことか聞いたら、雷ってピカッて光った後にゴロゴロって鳴るじゃないですか。

――そこまで深読みされたんですね。

たくみ:それで、このスタイルでウケるようになってきたから、いろいろなライブに呼ばれるようになって、ちょうどいい感じのときに2016年の『M-1』の予選が始まったんです。

あの年には僕たちが何かしたというよりも、周りの芸人とかお客さんに恵まれていて、みんなが神輿をかついでくれた感じはしました。

まなぶ:ただ、僕らがライブシーンにちゃんといたのって、2016年の1年間だけなんですよ。だから、ファンがあんまりいなくて苦労しているんです。単独ライブも集客が不安で。

たくみ:自分たちがテレビを見ていた頃って、認知度と人気がイコールというか、みんなが知っている人が好きだったんです。でも、今は認知度なんて関係なくて、あまり世間には知られていないアーティストが武道館を埋めちゃうこともあるじゃないですか。だから、そういう意味ではいままでのカミナリは間違った動きをしていたな、自分たちの「牧場」を作っていなかったな、と思いました。

テレビにたくさん出るのが正解で、そうすればいろんな人が知ってくれる。知ってくれさえすれば全部うまくいくんだろうなと思っていたんですけど、そうでもなかった。だから、このツアーはカミナリの新たなスタート地点なんです。

――なるほど。長年ライブシーンの最前線にいた人が最後にテレビに出るという形だと、土台がしっかりしていてファンの方もたくさんいたりしますよね。

たくみ:そうなんです。俺たちは、テレビにさえ出たらライブのチケットとかグッズもすぐに全部売れると思っていたんです。でも、そんなことなかった。そんな時代じゃなかった。テレビに出ることが悪いという意味ではなく、テレビに出るだけじゃ、自分たちの思い描く芸人にはなれなかった。

――たしかにお二人が最初に『M-1』に出た翌年は、テレビに出た本数もすごく多かったですよね。いっきに人気者に駆け上がったはずですが。

たくみ:そのときに、たとえばTwitterをがんばったり、YouTubeチャンネルを作ったり、ファンクラブを作ったりとかやっていれば良かったんですけど、テレビに出ただけで満足していたんですよね。というか、それでいいと思っていたし、それにあこがれていた。それで食えてはいるんですけど「あれ?」ってなってきて。

まなぶ:僕らのことを好きという人をほとんど聞かないんですよ。そこに危機感を覚えていますね。

――そんなことないとは思うんですけど。

たくみ:最近ライブに出ると「カミナリって、ライブに出てくれるんだ」みたいなことを言ってくれたりするんですけど、出待ちのファンは誰ひとりいないですからね。

――では、理想としてはこの単独ライブを続けていくことで、もう1回お客さんと向き合って、ファンを増やしていきたいと。

まなぶ:そうですね、ちゃんと熱があるファンを生んでいきたい。そのファンを生み、ファンとつながるための全国ツアーなんです。とにかく一人でも多くの人に、いまのカミナリを観てもらって、新しくファンになってもらいたいと思っています。

(インタビュー後編「カミナリが明かす M-1の後に僕らが見つけたゴール」に続く)

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  • 取材・文ラリー遠田撮影丸山剛史

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