“銀河系軍団”大阪桐蔭の決定的瞬間をスクープ写真で振り返る
史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭のチーム作りは、入学の何年も前からスタートしていた。全国の中学硬式野球に眼を光らせ、未来ある才能と出会ったら、その動向を追い、早い段階から声をかけ、入学に導いていく。とりわけ’16年春に入学してきた今年の3年生は、スカウティングに力を入れた代だった。
エース番号を背負う柿木(かきぎ)蓮(佐賀出身)は、入学を決めた理由をこう話す。
「中学時代に(硬式野球の)ボーイズジャパンを経験して今のチームメイトとも同じチームで戦ったんです。将来を語り合う中で、良い選手が集まり、良い環境の大阪桐蔭で甲子園優勝を目指そうと。プロ野球を目指すうえで、アピールにもなる場所と思いました」
副キャプテンを務める根尾昂(あきら)は、中学時代に146キロを投げ、スーパー中学生として鳴り物入りで入学。1年夏から投手と野手の二刀流を貫いてきた。
金足農業との決勝では、5回にバックスクリーンに飛び込む一発(今大会3本目)を放ち、吉田をマウンドから引きずり下ろすきっかけを作った。
今秋のドラフトでは、上位指名が予想されるが、気になるのは投手と遊撃手のどちらを志望するかだ。
「それに関してはあんまり深く考えていないんですけど、ショートとしての割合のほうが大きいので……。いずれにしても自分の意志で決断したいと思います」
その根尾をチーム内でライバル視してきたのが、やはりドラフト1位候補である外野手・藤原恭大(きょうた)。入学当初から、「将来は柳田悠岐さん(福岡ソフトバンク)のようなプロ野球選手になりたい」と公言してきた。甲子園決勝でもあったように、センター前への当たりを二塁打にしてしまう50メートル5秒7の脚力も武器だ。
「もちろん、上のレベルで頑張りたい。将来はトリプルスリーを記録できるようなプロ野球選手に」
根尾、藤原らと共に高校日本代表に選出されたのは、この夏の胴上げ投手となった、柿木だ。昨夏の甲子園の3回戦・仙台育英戦では9回二死までゼロに抑えていたが、味方のミスもあってサヨナラ打を浴びた悲運のエースである。西谷浩一監督が「気持ちで投げる投手。抑えとしての適性もある」と評価する柿木は、この夏、球速がとうとう151キロに達し、不安定だったコントロールも安定した。
「あの負けから、一球の大切さをテーマに頑張って来た。ようやく報われました」
こうして名門・大阪桐蔭の”最強世代”は完成した。
甲子園100回大会の感動ドラマ
撮影:霜越春樹(根尾) 写真:時事通信社