<figure id="attachment_254293" aria-describedby="caption-attachment-254293" style="width: 1384px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ddddf051"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/07/564A3766-1.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-254293" class="wp-caption-text">精神鑑定も受けるという山上容疑者。公判は日本中から注目されるだろう</figcaption></figure>
ガラ空きとなっていた背後から、男は元総理へ約８m近づき１発目を発砲した。さらに警護の手薄さから５歩前進して、３秒後に約５mの距離から２発目を発射。銃弾は元総理の胸に大きな穴をあけ、命を奪ったーー。
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安倍晋三元総理（享年67）が、奈良市内での街頭演説中に銃で撃たれ亡くなるという痛ましい事件から10日余り。徐々に、犯行の全貌が明らかになっている。
「事件に使われたのは長さ約40cm、高さ20cmの手製の銃です。２本の金属パイプから６個の銃弾が発射される散弾銃式で、電池を使って火薬に着火させる仕組み。１m近く離れたコンクリート製の壁に向かって撃っても、大きな穴が空くほどの威力です」（全国紙社会部記者）
<h2>母親の入信による破産</h2>
逮捕された山上徹也容疑者（41）は元海上自衛隊員で銃の知識があり、警察の調べに対し犯行に使用した銃について淡々と説明しているという。動機については、次のように話している。
「家庭を壊した団体を国内に広めたのが、安倍氏だと思った。その団体を日本に招いたのが（安倍氏の祖父）岸信介氏で、孫の安倍氏を狙うようになった」
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山上容疑者が語る「団体」とは、「世界平和統一家庭連合（旧統一教会）」のことだ。母親（69）が約30年前、同会に入信。少なくとも１億円を献金し、02年に自己破産したことがわかっている。家族の生活は困窮し、山上容疑者も海上自衛隊に在籍中の05年１月に自殺未遂を起こす。旧統一教会に相当な恨みがあったようだ。
<div data-friday-nextpage-lead="死刑にならない驚愕の理由"></div>
<figure id="attachment_254295" aria-describedby="caption-attachment-254295" style="width: 5472px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1bdefd10"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/07/AA4I1893.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-254295" class="wp-caption-text">発生直後の物々しい事件現場。近鉄「大和西大寺」駅前</figcaption></figure>
旧統一教会との関係を疑い、元総理を殺害するという前代未聞の犯行におよんだ山上容疑者。公判の日程は未定だが、どんな量刑が科されるのだろう。事件に詳しい、加藤博太郎弁護士が解説する。
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「ポイントになるのが、山上容疑者に民主主義の基本である選挙を妨害する意図があったかどうかです。国家の根本を脅かすような犯罪は、死刑に値する重罪になります。参考になるのが、07年４月に起きた長崎市長銃撃事件でしょう。伊藤一長市長が、市長選中に暴力団系の男に狙撃され命を落としました。
『民主主義の根幹を揺るがす』として、一審で下されたのは死刑判決。しかし控訴審では『動機は被害者に対する恨みであり選挙妨害そのものが目的ではない』とし、無期懲役となります（最高裁が検察と加害者側両者の上告を棄却し刑が確定）。
今回、山上容疑者が犯行動機として語っているのは、家族が入信した宗教団体とのトラブルです。つまり民主主義への挑戦とは言いがたく、私恨と判断されると思われる。検察側は死刑を求刑するでしょうが、長崎市長銃撃事件同様、主張は通らないでしょう」
<h2 class="p3">警備の甘さが判決に与える影響</h2>
次にポイントになるのが、安倍元総理以外に死傷者がいたか。もしくは、その可能性があったかだという。加藤弁護士が続ける。
「例えばＳＰ（セキュリティポリス）や奈良県警の警備員にケガ人が出ていれば、殺人未遂の罪にも問われ容疑者にはより重い罪が科されます。しかし今回、安倍元総理以外には銃撃による直接的な死傷者はいなかった。ＳＰにケガ人がいなくて良かったですが、反面、事件当日の警備体制に不備が多かったからと言わざるをえません。
そのため容疑者は、容易に元総理の背後に近づき銃弾を２発も発砲しました。他の人に危害を加えることなく、目的を達成できてしまったんです。裁判で争点になるのは、安倍元総理一人を殺害した罪となります。いくら社会的な影響力が大きい事件で被害者が最重要な要人とはいえ、人の命の尊さは平等です。個人の殺害事件では、死刑までには問えないでしょう」
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弁護側は、山上容疑者の責任能力の無さを主張すると考えられる。認められれば、無罪もありうるのだ。しかし加藤氏は「その可能性は極めて低い」と考える。
「山上容疑者に責任能力がないとは、とても言えないでしょう。安倍元総理の遊説日程を調べ殺傷能力の高い銃を用意する計画性や、本来は宗教団体のトップを狙うべきだったと罪の意識を持って犯行におよんでいる訳ですから。無罪の可能性はかなり低いと思います。状況から考え、おそらく無期懲役の判決が下るのではないでしょうか」（加藤氏）
私恨による犯行動機、警備体制の不備、事件の計画性……。元総理の命を奪った重大事件の判決には、さまざまな要素が考慮されることになる。

加藤 慶　有村拓真

安倍晋三元総理が銃撃され命を落とした事件から10日余り。事件の詳細が明らかになってきた。一国の最要人を殺害した山上徹也容疑者にはどんな量刑が科されるのか。意外な判決の見通しを紹介する。

警備の不備、動機…”安倍氏銃撃”山上容疑者の「無罪の可能性」

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