バイきんぐ激賞!「なんて芸風だ!」とベタ褒めする3組のコンビ
今年で芸歴25年を迎える二人が明かす、「今、見るべき芸人」とは
「芸歴1〜2年目の新人でも、よくそんなネタ作ったなって思う子はごろごろいますからね。この10年間でも、全体のレベルは格段に上がってきていますよ」
若手の台頭に舌を巻くのはお笑いコンビ『バイきんぐ』の小峠英二(46)だ。相方の西村瑞稀(45)とともに『キングオブコント2012』で優勝して以来、お笑い界のトップを走り続けてきた。今年でデビューから25年を迎えた『バイきんぐ』の二人に最近のお笑い事情について水を向けると、コント業界の最新トレンドや注目の芸人について明かしてくれた。
小峠「トレンドは確実に変わってきていると思います。昔だったら4分ネタなら強いキャラクターを作れば持たせることができた。変なキャラにバシバシ突っ込んでいくという、言い方は悪いですが単純な笑い、分かりやすい笑いでよかった。ただここ数年はキャラに全振りしたコントは減ってきていますね。いまはキャラクターに加えて、設定なり展開がないとウケない。一つの武器だけでは笑いが取れなくなってきていると思います」
西村「やっぱりYouTubeの影響が大きい。無料で見られる教材がいっぱいあるから、お笑い全体のレベルが数年前よりもぐんと上がっていると思います。僕たちが『キングオブコント』で優勝した10年前は、YouTubeが市民権を得るギリギリ直前のタイミングでしたから。だからその存在の大きさはむちゃくちゃ感じますね」
小峠「あーー確かに。俺らの時代はDVDとか借りてたな。それこそダウンタウンさんの漫才とか、当時はレンタルして勉強してましたね」
西村「今はお金を使わずに勉強できるんだもんなぁ。すごい時代になったよね」

小峠は昨年から『キングオブコント』の審査員も担当するようになった。ネタを作る側も、採点する側も経験する中で改めて感じた「いま見るべき芸人」を挙げてくれた。
小峠「やっぱり『空気階段』はすごい。鈴木もぐら(35)っていうキャラクターの塊みたいなやつがいるのに、それだけで終わらずにネタにも展開を作って、舞台の設定もうまく使っている。去年の『キングオブコント』の決勝でやった、『火事』のネタなんかはまさにその最たる例だった。
あとは『ジェラードン』も注目してますね。こっちもアタック西本(35)が演じる癖のあるキャラクターだけでも成立しているけど、ちゃんと構成も作り込まれている。YouTubeでもネタをどんどん上げていて、何十万回も再生されて……。ほんと、なんてヤツらだ!」
西村「さすが、よく見てるね。僕は最近全くチェックできてないんだよな。とくに去年子供が生まれてからは。夜は早く寝て、朝早く起きる生活リズムだからネタ番組が全然見れてないんですよね」
小峠「なんでだよ! 録画しとけば見れるだろ。お前はもうちょっとほかのコンビのネタも見ろ!(笑)」

ほかにもコントではないが、二人が注目するコンビがいる。小峠が「双子ネタの新しいパターンを発見した」とベタ褒めするのは、兄・吉本大(37)と弟・拓(37)が組む漫才コンビ『ダイタク』だ。
小峠「普通は双子ってお互いの共通点に注目して、双子あるあるネタに着地すると思いがちですけど『ダイタク』は違うんです。2人の上にまだお兄ちゃんがいるんですけど、そのお兄ちゃんをめちゃくちゃイジるんです」
西村「俺は親父をイジってるのは見たことある」
小峠「新しいパターンだなって思った。あるあるネタにせずに、口癖とか変な習慣とか、ひたすら家族をイジるんですよ。それを『双子キャラが霞むだろ!』って言って弟が止めようとする。双子をネタではなくツッコミに使うなんて、いい方法を見つけたなって思いました。他のパターンも見てみたいですね」
8月26〜27日に控える単独ライブ『キャバレー』の準備で多忙な中、1時間にわたり「お笑い界のいま」について語ってくれた2人。10月には『キングオブコント』が、12月には『M―1グランプリ』が控える中、今年はどんなヒーローが誕生するのか。賞レースの行方が、今から待ち遠しい。
小峠英二 Twitter:https://twitter.com/viking_kotouge
西村瑞樹 Twitter:https://twitter.com/vikingnishimura

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写真:結束武郎