妻の攻撃と彼の保身…社内不倫に溺れた女性が受けた「仕打ち」 | FRIDAYデジタル

妻の攻撃と彼の保身…社内不倫に溺れた女性が受けた「仕打ち」

【実録シリーズ】「不倫にはワケがある」亀山早苗レポート

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<職場の上司にアプローチ、交際が始まった。一人暮らしの部屋にやってきて泊まったり、ふたりだけで旅行をしたり。「妻とは不仲」と言う彼にどんどん魅かれていったが…。【前編】「社内不倫に溺れた27歳女性が見た『妻の強さ』と『地獄の反撃』に続いて、亀山早苗氏がレポートする。>

職場の上司と不倫の関係に陥った27歳。なりふりかまわない妻の攻撃と彼の保身。彼女の「愛」は終わった
職場の上司と不倫の関係に陥った27歳。なりふりかまわない妻の攻撃と彼の保身。彼女の「愛」は終わった

知らない女性が、乗り込んできた

2度目の旅行から帰ってきたその日のことだ。自宅マンションのエレベーター前で、40代くらいの女性がうろうろしていた。見たことのない人だなと思ったが、そのままエレベーターに乗った。彼女も一緒に乗り込んできた。

「なんだか殺気を感じたんですよね。彼女は『カリンさんですよね』と低い声で言った。とっさに『違います』と言って自分の住まいの階で降りたら、彼女はついてきた。何ですか、警察呼びますよと言ったら、『こっちが訴えてやるわ!』と叫んでいきなり突き飛ばされました。荷物もろともひっくり返ったけど、私、彼女の足元にしがみついて靴を片方、奪い取ったんです」

騒ぎを聞きつけて近所の人が110番してくれた。彼女は頭を打っていたこともあり救急車で病院へ搬送された。

「気づいたら、ベッドの脇に彼が座っていた。何が起こったのか把握するのに時間がかかりました。彼は私を見て、『被害届を出さないでほしい』と一言。大丈夫かの言葉もない。ああ、私の体調より妻と自分の保身がすべてなのねと理解しました」

ケガはなく、彼女は1日休んだだけで職場に復帰、周りもその一件は知らないようだった。彼も素知らぬ顔でいる。数日後、昼休みの誰もいない会議室で、彼から「治療費」という名目で100万円を手渡された。「治療費以外は口止め料ってことですか」と言ったら、「迷惑をかけたから」と言われた。妻のことには言及せず、ただ「ごめん」と頭を下げる彼に、こんな人を好きになったのかとがっかりした。同時に、「婚姻届の効力」と「妻の座の強さ」を感じたという。

「片方、裸足で帰ったんですかね」と精一杯の皮肉を

「その数日後、あの日奪い取った彼の妻の靴を袋に入れて渡しました。彼は中をチラッとみて、すまないと一言。片方、裸足で帰ったんですかねと皮肉を言うと、彼は無言で去っていきました」

カリンさんの知っている彼は、もういなかった。あんなにしゃべって、あんなに抱き合って、すべてを共有してきたつもりでいたのに…。気持ちが晴れない。いっそ会社に暴露しようとも思ったが、自分の身も危ういと気づいた。仕事を失いたくはなかった。

彼女は地方出身で、地元では母がひとり暮らしをしている。奨学金の返済もまだまだ残っている。とても無職にはなれないのだ。

「それから半年間、仕事上で彼に徹底的に反抗しました。それまでも私は仕事をすごくがんばってきたので、自分で言うのもヘンですが、周りから一定の評価は受けていた。そんな私が、いちいちマツオカさんの言うことに反論するから、なんとなく部内もギクシャクして。それがたたったのか、半年後に彼は、遠方の営業所に転勤になりました。私の顔色をうかがって、あまり仕事に身が入らないようだったので、転勤になって彼自身もホッとしたかもしれません」

騒動の後、しばらく見なかった彼女のSNSは、かなり荒らされていた。それも妻の仕業だろう。自分のポジションを守るためには手段を選ばないのもまた、「妻」の強さなのだと彼女は痛感したという。

最後の愛情で、被害届は出さなかった

「なりふり構わず保身に走れるってすごいなと、これは皮肉でも何でもなく思いました。私はやはり職場での反応などを考えてしまいますから。大きなケガがなかったから結局、被害届は出しませんでしたが、暴行罪は親告しなくても成立します。一応、警察から連絡は来ました。彼のことも考え『暴行はされていない、揉めた際に自分で転んだ』と言っておきました。それが私の最後の愛情です」

彼女はメンタルが強い女性である。もう少し弱かったら、もっと悲惨なことになったかもしれない。そんな彼女でさえ、しばらくの間はカウンセリングに通ったという。本気でのめり込んだ人の、あっけない手のひら返しと妻の攻撃に、心は悲鳴を上げていた。

それでも彼女を支えていたのは、「彼に対する自分の愛情」だった。彼を憎みたくなかった。彼を憎んだら、彼を愛していた自分をも憎むことになるからだ。あのときの100万円に、彼女は今も手をつけていない。

どちらかが醒めたら「恋」は終わるもの

ただ、独身であれ不倫であれ、「恋」と名のつくものは、片方が終わりにすると決めた時点ですべてが終了する。理不尽だが、理不尽だから恋なのだ。

「結婚は契約だから保護されていますが、恋はお互いの気持ちひとつ。何の保証もないんですよね

身も心も燃えさかった月日を振り返っても、今となっては何も残っていない。それも「恋」の特徴かもしれない。きれいな思い出だけに浸れる日は来るのだろうか。

「私の愛情がこんな結果になったのがせつない。既婚男性と不倫したのだから自業自得なんでしょうけどね。当分、恋愛はいりません。今は仕事に没頭しています」

カリンさんは泣き笑いのような複雑な表情でそう言った。

  • 取材・文亀山早苗

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