実際に「台湾有事」が勃発した際、中国軍の主力となるのが３隻の空母だが、実は国際社会では、「米国空母の相手にはならない」との見方が圧倒的だ。今年６月に完成した「福建」は推進装置で艦載機を発進させる「電磁カタパルト」を搭載した最新型だが、「山東」と「遼寧」はそり上がった甲板から発艦する「スキージャンプ式」。特に’12年に完成した中国初の空母「遼寧」は、時代遅れの”骨董船”なのだ。
<figure id="attachment_261859" aria-describedby="caption-attachment-261859" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2322dc34"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_76737216.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261859" class="wp-caption-text">中国の軍事演習に参加する「遼寧」。実は空母としては旧式で、米国の最新型と比べると性能は雲泥の差だ　写真：ロイター／アフロ</figcaption></figure>
「’98年に私はウクライナから空母『ワリャーグ』を２０００万ドル（約27億円）で購入しました。２年間にわたりウクライナ政府の担当者とウォッカを飲み交わし、粘り強く交渉しましたよ」
そう語るのは、香港では知らぬ者はいない大資産家の徐増平(シュウズンピン)氏(69)。「遼寧」の購入者その人である。
元人民解放軍のバスケットボール選手で、除隊後は不動産業やホテル経営で財を成した徐氏は、「ワリャーグ」を海上ホテルにするつもりで購入した。黒海から地中海、インド洋を経て’02年頃に中国の大連まで曳航し、その費用は購入代金と合わせて約１億２０００万ドル（約164億円）もかかったという。
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しかし、苦労して曳航した矢先、徐氏にとって予期せぬ出来事が待っていた。大連の港に到着した「ワリャーグ」が、すぐさま中国政府に接収されてしまったのである。海上ホテルになるはずだった「ワリャーグ」は改造され、’12年に「遼寧」として進水した。しかし、現在にいたるまで中国政府から徐氏へは１元たりとも支払われておらず、’15年頃には裁判にまで発展したという。
「相手は中国政府ですからね。裁判はウヤムヤにされ、結局は『国に寄付した』という形で決着したそうです。自国空母の建設は’80年代、鄧小平の時代から中国の悲願でした。それをもたらしたということで、習近平主席はメディアを通じて、『空母の父』『真の愛国者』と徐さんを称賛しています」（徐氏の友人）
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中国政府の事情を理解し、徐氏もいまでは「遼寧」建造を喜んでいるという。ウクライナから中国へわたり、数奇な運命を辿って空母になった「遼寧」。その運命の結末が、実戦投入ということにならなければいいが……。
<figure id="attachment_261860" aria-describedby="caption-attachment-261860" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5b57478b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/DSC_5116.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261860" class="wp-caption-text">’98年、ジャッキー・チェンとともに記念撮影をする徐氏（右端）。中央はジャッキーの父・チャールズ氏</figcaption></figure>
「FRIDAY」2022年９月９日号より

ロイター／アフロ　 徐氏の友人提供

実際に「台湾有事」が勃発した際、中国軍の主力となるのが３隻の空母だが、実は国際社会では、「米国空母の相手にはならない」との見方が圧倒的だ。今年６月に完成した「福建」は推進装置で艦載機を発進させる「電磁

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