<figure id="attachment_261893" aria-describedby="caption-attachment-261893" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c8dae227"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_195916388.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261893" class="wp-caption-text">終戦に向け態度を軟化させているプーチン。８月の国際会議に合わせ開戦後初めて公に「核戦争に勝者はいない」という姿勢を示した</figcaption></figure>
<p>ロシア軍のウクライナ侵攻から半年が経過した。依然として戦闘は続いており、ウクライナ側は兵士・民間人合わせて約１万４５００人が死亡。一方のロシア側は兵士だけで約１万５０００人が死亡し、４万５０００人以上が負傷したとされる。</p>
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<p><span class="strongInContent">「第２次世界大戦以降、ロシア軍の戦争被害で最大のものはアフガニスタン戦争で、10年間で１万５０００人の兵士が犠牲になったと言われています。今回のウクライナ侵攻では、わずか半年でアフガンに並ぶ犠牲者を出している。一方、戦地となったウクライナは各産業にも大きな影響が出ています。特に農業は収穫率が40～50％減少するなど被害は甚大です」（全国紙モスクワ支局記者）</span></p>
<p>８月頃から、戦局は新たなフェーズに突入した。主戦場が東部から南部へ移行。ウクライナはロシア軍に占拠されたザポリージャ原発奪還に向け、軍事作戦を開始したと言われている。さらにクリミア半島への攻撃も本格化。９日にはサキ航空基地で爆発があり、ロシア軍の兵士ら約160名が死傷。20日には軍港都市セバストポリでロシアの黒海艦隊が爆撃された。</p>
<p>ここにきて攻勢を強めているウクライナだが、背景には最新兵器の存在がある。軍事評論家の高部正樹氏が解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「ウクライナは、ロシア軍の補給拠点であるクリミアを攻撃して後方支援を断つ狙いがあります。そのために使われているのが西側諸国から支給されているとされる最新兵器です。主力武器は最新のロケット発射システム『ハイマース』。最大の特長は機動性です。目的地に到着後、数分で発射態勢に入れる。ロシア軍はレーダーが発達していて、攻撃場所をすぐに特定していますが、この高性能砲台のおかげでウクライナはどこからでも攻撃を仕掛けることができています。<br>
他にも誘導型ミサイルの『ＡＴＡＣＭＳ』は、発射後６～13の小型爆弾に分離。その全てが自動で目標を攻撃します。公式発表はされていませんが、クリミアを爆撃しているのはこのミサイルだと言われています。『ＡＧＭ』シリーズの最新型『ＨＡＲＭ』はレーダー攻撃専用。装置を自動で発見、追跡し、破壊します」</span></p>
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<p>ドローン兵器も実戦投入の機会を窺う。</p>
<p><span class="strongInContent">「約50㎏までのミサイルを４発まで積載可能で、最大40時間の飛行が可能という最強のドローン『グレイイーグル』の導入が検討されているといいます。すでに使用されている『フェニックスゴースト』とともに、運用が待たれます」（高部氏）</span></p>
<p>一方、ロシアは支配下に置いた土地で新たな動きを見せている。東部では『マリウポリ・マスタープラン』という計画が始動。３年以内に街をロシアの風土に合うように作り替えるもので、９月からはロシア式の教育が導入予定だという。</p>
<p><span class="strongInContent">「今後、クリミア半島併合を不法に宣言した時のように、形式だけの住民投票が行われると思います。ロシアはその後、同地域への攻撃を自国への攻撃と主張するようになる。そうなれば、より過激な軍事行動を起こす可能性が高まります」（軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="”最悪のシナリオ”もありうる"></div>
<h2>燻（くすぶ）る核汚染の可能性</h2>
<p>とはいえ、両国とも国力は疲弊しており、国民の反戦感情が高まってきているのもまた事実だ。終戦へと向かう動きも出始めており、そこには「３つのシナリオ」が想定されるという。第１の可能性は和平交渉による終戦だ。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。</p>
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<p><span class="strongInContent">「両国とも長く戦争を続けられる状態ではないことに加えて、西側諸国も早期決着を望んでいます。欧州各国は冬場のエネルギー不足を懸念していますし、インフレが止まらないアメリカでは、一因である戦争への批判が高まっている。危篤説まで流れたプーチンについて、先日ＣＩＡのバーンズ長官が『健康すぎるくらいだ』と発言したのも、和平交渉ができる状態だと念押しするためでしょう。<br>
焦点は領土問題。親ロシア派が実効支配しているドネツク、ルガンスク以外からは事実上撤退するというのが、ロシアの落とし所だと思いますが、ウクライナが受け入れるかどうか。ただ遅くとも年内には決着するのではないかと思います」</span></p>
<p>第２のシナリオはロシア国内のクーデターによるプーチン政権の崩壊である。</p>
<p><span class="strongInContent">「今月20日に『プーチンのブレーン』である思想家アレクサンドル・ドゥーギンの娘が暗殺されました。ウクライナは関与を完全否定しており、国内の反プーチン勢力の犯行と言われています。側近中の側近が狙われるほど、国民の不満はピークに達している。いつ爆発してもおかしくないんです」（ロシア情勢に詳しい筑波大学の中村逸郎名誉教授）</span></p>
<p>クーデターは一方で最悪の結末へと向かう危険性もはらんでいる。権力の座を守るため、プーチンは欧州全土を巻き込む「第３の道」を選ぶかもしれない。</p>
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<p><span class="strongInContent">「ザポリージャ原発爆破による核汚染です。プーチンはウクライナに攻撃されたという体（てい）で、原発を攻撃する可能性があります。季節風に乗れば、汚染物質は遠くはドイツまで、ヨーロッパ各国にばら撒かれることになります」（中村氏）</span></p>
<p>ウクライナとロシア、両国がたどるシナリオはどれになるのか。双方の国民が望んでいるのは間違いなく、平穏な日常を取り戻すことだろう。</p>
<div class="expapp-no-provided-scope expapp-no-provided-scope-start"></div>
<h3>上：爆撃前　下：爆撃後</h3>
<p>爆撃前後のサキ航空基地の衛星写真。最新兵器により点線部分の航空機だけがピンポイントに破壊されている。</p>
<figure id="attachment_261892" aria-describedby="caption-attachment-261892" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="afcf890d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_195549895.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261892" class="wp-caption-text">上：爆撃前　下：爆撃後</figcaption></figure>
<div class="expapp-no-provided-scope expapp-no-provided-scope-end"></div>
<h3>高機動ロケット砲システム<br>
ハイマース</h3>
<p>精密誘導爆撃できる６発のロケット弾を搭載。導入された６月以降、司令拠点など20ヵ所以上の破壊に成功。</p>
<figure id="attachment_261891" aria-describedby="caption-attachment-261891" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9b91c99e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_193876824.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261891" class="wp-caption-text">高機動ロケット砲システム「ハイマース」</figcaption></figure>
<h3>対レーダーミサイル<br>
AGMシリーズ</h3>
<p>レーダーを撃滅できれば航空機を使った戦闘も可能になる。戦況を一変させる切り札として期待が集まる。</p>
<figure id="attachment_261894" aria-describedby="caption-attachment-261894" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="33b74913"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_195989383.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261894" class="wp-caption-text">対レーダーミサイル「AGMシリーズ」</figcaption></figure>
<h3>地対地ミサイル<br>
ATACMS</h3>
<p>自動追尾式の最新型。アメリカは提供を明言していないものの、戦闘の痕跡から導入が指摘されている。</p>
<figure id="attachment_261890" aria-describedby="caption-attachment-261890" style="width: 1780px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="859035e0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_188354911.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261890" class="wp-caption-text">地対地ミサイル「ATACMS」</figcaption></figure>
<h3>大型軍用ドローン<br>
グレイイーグル</h3>
<p>前線への導入が待たれるドローン。高い性能に加え、一台あたり2100万ドル（約28億円）という値段でも話題に。</p>
<figure id="attachment_261889" aria-describedby="caption-attachment-261889" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fa9ba346"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/08/aflo_38645202.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-261889" class="wp-caption-text">大型軍用ドローン「グレイイーグル」</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2022年9月9日号より</p>


アフロ

ロシア軍のウクライナ侵攻から半年が経過し、両国の死傷者は増え続けている。犠牲は多く、両国の国民感情から終戦へ向かう可能性も…。その場合、どんな終わり方を見せるのか。平和的なものだけではないと見られる

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