<figure id="attachment_263134" aria-describedby="caption-attachment-263134" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c7fa2ec8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/IMG_0296-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-263134" class="wp-caption-text">対談にのぞんだ小松氏（右）と小林氏</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent"><em>〈中田英寿、イチロー、YOSHIKI、浜崎あゆみをはじめとした各界を代表する超大物を描いてきた作家・小松成美氏。「2022年 Yahoo!ニュース　本屋大賞 ノンフィクション本大賞」に ノミネートされた<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E3%80%81%E9%87%8E%E5%8F%A3%E5%81%A5%EF%BC%88%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB%EF%BC%89-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E5%85%83%E5%96%9C-ebook/dp/B0B1M8QLQ1/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&amp;crid=360Y64G198UIU&amp;keywords=%E3%80%8E%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E3%80%81%E9%87%8E%E5%8F%A3%E5%81%A5%E3%80%8F&amp;qid=1662466682&amp;sprefix=%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89+%E9%87%8E%E5%8F%A3%E5%81%A5+%2Caps%2C190&amp;sr=8-1">『さよなら、野口健』</a>の著者・小林元喜氏。二人の作家はいかに“超人たち”と向き合ってきたのか。前編に引き続き、後編をお送りします〉</em></span></p>
<p><span class="strongInContent">小林　</span>数多くのスーパースターから小松さんに本を書いてほしいとオファーがきています。たとえばYOSHIKIさんも小松さんにご自身の本を書いてほしいとオファーされました。はじめてお会いされた日にはYOSHIKIさんが待ち合わせの時間から3時間遅れでいらっしゃったとご著書で目にしましたが。</p>
<p><span class="strongInContent">小松　</span>そうです。スターは時間通りに来られないんですよ（笑）。21時集合だったんですけど、いらっしゃったのが午前0時で。最初は雑誌のためのインタビューでした。スーツにサングラスのYOSHIKIさんに3時間くらいお話を伺って、帰り支度をしていたところYOSHIKIさんが「小松さん、もう少し時間ありますか？」と言ったんです。私が「もちろんです」と告げると10分もの沈黙があり、その後、「実は小学校5年生の時から誰にも話していないことを言います」と、お父様を自死で亡くされたことを語り始めました。</p>
<p>幼い日、突然に最愛の父親が自らこの世を去ったことに耐え難い悲しみを背負った彼は、永遠にその悲しみから逃れられないこと、その苦しみがX JAPANの楽曲創作の原点であること、を泣きながら話してくださいました。そして、『このこともファンの子たちに伝えたいから、小松さん原稿に書いてください』と仰って。そのインタビューきっかけに、10年かけて<a href="https://www.amazon.co.jp/YOSHIKI-%E4%BD%B3%E6%A8%B9-%E5%B0%8F%E6%9D%BE-%E6%88%90%E7%BE%8E/dp/4048836870/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&amp;crid=K27RP7L1SN9H&amp;keywords=YOSHIKI%2F%E4%BD%B3%E6%A8%B9&amp;qid=1662540710&amp;sprefix=yoshiki%2F%E4%BD%B3%E6%A8%B9%2Caps%2C200&amp;sr=8-1">『YOSHIKI/佳樹』</a>という本に仕上げていきました。</p>
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<h3>こっそり電話番号を拝借する</h3>
<p><span class="strongInContent">小林　</span>YOSHIKIさんがお父様の自死のお話を打ち明けたのは小松さんが初めてでしたね。彼のような究極にナイーブな感性の持ち主であろう方が心を開いてしまうところに小松さんの真骨頂があるような気がしています。</p>
<p>それに10年もの長い歳月を取材して描き切る小松さんの胆力に敬服しますし、その結果生み出された作品を目にされて様々な方が「俺も、私も書いてほしい」となるんでしょうね。</p>
<p><span class="strongInContent">小松　</span>ありがとうございます。大好きな、また尊敬する方に出会い、その方の人生を活字にして伝えたい、という思いが私の胸の奥にあります。そうした思いの強さが執筆に繋がっている、と感じることはあります。小林さんも出会いたい、その方と仕事をしたい、という強烈な思いの持ち主ですよね。野口健さんとの出会いの前に、村上龍さん、石原慎太郎さんという偉大なお二人に会いたいと思い立ち、本当に会いに行って、チームメンバーとなって仕事をしてしまうエピソードは衝撃でした。</p>
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<p><span class="strongInContent">小林　</span>学生時代に村上龍さんの作品の虜になって「何がなんでも会いたい」と思ったんですね。その時、自然と頭に浮かんだのは「同じ地球に住んでいるわけだから本気を出せば会える」というものでした。</p>
<p><span class="strongInContent">小松　</span>長崎のご実家を突然訪ねてお父様と仲良くなって、お父様がお手洗いに行かれている隙に村上さんの横浜のご自宅の電話番号を拝借するって、大胆不敵（笑）。さらに石原慎太郎さんにも会いたいと田園調布のご自宅に突撃されたと。</p>
<p><span class="strongInContent">小林　</span>当時私は大学4年生で、石原さんは都知事（1期目）をされていました。「この人と会って一緒に仕事をしたらどんな景色があるだろう」と想像するとワクワクして。</p>
<p>それで石原さんの公式サイトの企画書をつくって持ち込もうと。でも、ご自宅の前に行くとポリスボックスがある。警官は『預かる』と言うわけですけど、他の郵便物と一緒になってしまうから意味がない。交渉してご自宅のインターホンを押せるかどうか、そこが運命の分かれ道だと思ってました。押させてくれないなら毎日来ますと粘りました（笑）。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="イチローが「10打席連続安打」でも苦悩していたワケ"></div>
<h3>“超一流の人間”に共通すること</h3>
<p><span class="strongInContent">小松　</span>いや、素晴らしいです。常識の壁をものともしないクレイジーさ（笑）。でも、振り返って実際にこうした超人ともいえる方々と時間を過ごされてどうでしたか？</p>
<p><span class="strongInContent">小林　</span>実はお三方と過ごした時間について肯定的に捉えられない時期があったんです。すべて自分のせいなのですが、経済的に困窮し、心身を病み、転職を繰り返す時期がありました。「ちゃんと就職しておくべきだった」と後悔したこともありました。</p>
<p>でも、今更そんなことを言っても始まらない。過去の自分を肯定できるようにするしかない。そんな時にお三方に言われた言葉を思い出したんです。村上さんには「自分はこれだけは誰にも負けないってものがなければダメなんだよ」と言われました。石原さんは「人生は情熱を演じる劇場だ」と仰っていました。そして野口さんは「『やりたい』と『やる』は違う。小林、コツコツのコツを大切に」と。</p>
<p>お三方に共通していたのは「一度しかない人生を真剣に生きる姿勢」でした。だからラストチャンスと決め、もう一度だけ書いてみようと思い、今回かたちになり、オセロの黒が全て白になるように周囲の反応も変わりました。そして、自分自身もいろいろあった過去を肯定することができたと思います。</p>
<p>最後に同じ質問になりますが、小松さんは超人たちの人生を描く中でどのような影響を受けてこられましたか？</p>
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<p><span class="strongInContent">小松　</span>自身の内なる声や内なる違和感に正直になることができる、いわば「自分を信じる力」を感じましたね。たとえばイチローさん。彼が10打席連続でヒットを打って絶好調の時があったんです。でも、彼に話を聞いてみると「最悪のコンディションです」と苦悩している。「ちょっとした打球の角度やグラウンドの状態が作用してヒットになっているだけであって、僕自身は最悪です」と言うんです。普通は10打席連続ヒットなら、結果がすべてだということで、どこか違和感があったとしても無視してしまうでしょう。でも、イチローさんは絶対に自分の中から湧き出る小さな声を無視しないんですね。</p>
<p>そして、逆に凡打が続いて大スランプになった時のこと。その時は「小松さん、こんなに気持ちよく野球ができるのは1年のうちに何週間もない。少しのタイミングでヒットが生まれていないけど、今の打撃を続けていければまだまだ成長できると自信が持てました」と、笑顔で仰るわけです。そんな言葉を聞いた私は、「どうしてこんなにも強い自分を持っていられるのだろう」と、息をのみました。</p>
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<p>このように、イチローさんに限らず超一流の方々に共通するのは、確固たる自身のロジック、セオリーを持っていることなんですね。誰に何を言われようが絶対に曲がらない。それが自分自身の真実だからです。そして、自分を信じる力があるから次のチャレンジがうまれ、上昇のスパイラルに入っていく。</p>
<p>彼らはこうも言っていました。「誰一人、本当の自分を知らない」と。その孤独に打ち克つ強さが、限界の壁を破るためには必要なんです。そうした孤高の人の言葉を受け止め、これからも本を書いていきたいと思っています。</p>
<figure id="attachment_263175" aria-describedby="caption-attachment-263175" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="de29c7ef"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/IMG_0300.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-263175" class="wp-caption-text">互いの著書を持つ二人</figcaption></figure>


1978年、山梨県生まれ。登山家・野口健の計10年にわたるマネージャー業を経て描いた『さよなら、野口健』（集英社インターナショナル）が「開高健ノンフィクション賞」の最終候補にノミネート

小林元喜

1962年、神奈川県生まれ。広告代理店勤務などを経て89年より執筆業に。『中田英寿 鼓動』（幻冬舎） 、『YOSHIKI/佳樹』（角川書店）、『Ｍ 愛すべき人がいて』（幻冬舎）など著書多数

小松成美

対談にのぞんだ小松氏（右）と小林氏 〈中田英寿、イチロー、YOSHIKI、浜崎あゆみをはじめとした各界を代表する超大物を描いてきた作家・小松成美氏。「2022年 Yahoo!ニュース　本屋大賞 ノンフ

村上龍、イチロー、石原慎太郎…”超一流の人”が持つ「共通点」

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