同窓会不倫に落ちた既婚女性の「突然の電話」から始まった地獄 | FRIDAYデジタル

同窓会不倫に落ちた既婚女性の「突然の電話」から始まった地獄

【実録シリーズ】「不倫にはワケがある」亀山早苗

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<思い切って参加した高校時代の同窓会。大学進学で上京して以来、東京に在住していたマサミさんにとって、久しぶりの地元の集まりだった。そこで再会した彼と…。【前編】地元で開催され…”同窓会不倫”に燃え上がった既婚女性の後悔に続き、一夜の出来事が招いた恐ろしい「現実」は…>

同窓会で会った、かつての憧れ男子と「大人の恋」に落ちてしまった。真面目だった彼女を変えたのは…。喜びと苦悩に引き裂かれる思い…不倫の恋の結末は?
同窓会で会った、かつての憧れ男子と「大人の恋」に落ちてしまった。真面目だった彼女を変えたのは…。喜びと苦悩に引き裂かれる思い…不倫の恋の結末は?

「ごく普通」にまじめな人生を送ってきたのに

「同窓会不倫」に突入してしまったマサミさんの「これまで」を聞いた。職場の3年先輩と結婚したのは28歳のとき。「ごく普通の社内恋愛からの結婚」だった。第一子を妊娠すると同時に会社を辞めた。30歳で長女を、32歳で長男を産んだ。

「私の実家は遠方なので、子どもがふたりになったとき夫の実家近くに越しました。新婚当初は夫の実家から少し離れたところに住んでいたんです。義父母の近くだと気詰まりだろうという夫の配慮でした。でも本当は、彼の実家近くのほうが会社にも近い。引っ越してからは義母がよく手伝ってくれました。昔ながらの子育て論を押しつけてくるので、我慢しきれずに言い返して大げんかになったこともありますが、それでも義母の手を借りなければならなかった。夫はあまり手伝ってくれませんでしたから」

 マサミさん自身、義母との関係は、「そんなもの」と割り切っていた。下の子が2歳になったころ、保育園に預けてパートで仕事を始めた。夫に遠慮なく使えるお金を確保したい一心だった。

 「夫はいい人なので、自分が稼いだお金を『マサミが家事や子育てをやってくれているから、オレは外で働ける。だから給料はふたりで稼いだものなんだよ』と言ってくれたけど、私は夫に養われている負い目が重くてたまらなかったんです。だからパートに出た。少しでも外で働いて賃金を得ることは私にとって重要でした」

 子どもたちが小学校に入るころには、マサミさんはパートながらチーフに任命され、ますます仕事が楽しくなっていった。もちろん、家庭にも義父母にも全力で尽くしたと自認している。

「がんばる自分」が好き

「がんばらなければといつも思っていました。報われたいと思っていたわけではないんです。ただ、がんばっている自分が好きだったし、がんばらない人生は考えられなかった」

 ところがマサミさんががんばればがんばるほど、家族がうまくいかなくなっていくようになった。

「上の子が中学に入るなり不登校になり、それを見ていた下の子も体調不良になって…。私は自分ががんばるタイプだから、がんばらない子を許せないところがあったんですよね。夫はとにかく見守ろうと言い、義母は『あなたが働いているからこんなことになるのよ』と言い出して。今までの自分の人生を否定されたような気がしました」

 そんなふうに迷ったり悩んだりしていたとき舞い込んだのが高校時代の同窓会の知らせだった。実家に届いた葉書を親が送ってくれたのだ。

 「私は実家にもめったに帰っていなかった。両親は元気でしたが、帰ると兄嫁がいい顔をしなくて。私も気持ちがわかるからあまり帰らないようにしていたんです。でもそのときは実家に帰りたい、同窓会に出たいという気持ちが強くなってしまって」

幸い、長女は少しずつ学校に行けるようになっていた。保健室登校ではあったが、保健の先生との間に固い信頼関係ができつつあったのだ。家では保健の先生の話ばかりしていた。それを夫は表情豊かに聞いて受け止めていた。マサミさんもなるべく笑顔で接するようにしていたら、長女はマサミさんにも話しかけてくるようになっていた。

 「そうしたら長男も体調がよくなり、学校に行くようになりました。きっと何かが怖かったんでしょうね。家の中の雰囲気とか親や姉の間に漂うピリピリした感じが。でも夫のおかげで私も『見守りながら待つ』ことを少し覚えました」

 状況がよくなったこともあって、彼女は実家に行ってきたいと家族に言ってみた。3人とも「いいよ、行っておいでよ」という態度。もしかしたらたまには自分がいないほうが、みんな羽を伸ばせるのかもしれないと少し寂しかったとマサミさんは言う。そうして参加したのが、高校時代の同窓会だった。

 自然な流れで、行ってしまった

そうして参加した同窓会で、再会した彼と夜を過ごした。それから2週間後、東京へ行くと彼から連絡があった。

「迷いました。でも、彼に会えなくなると考えただけで泣けてくる。その2週間で、すでに本当に寂しかったから」

マサミさんは迷ったあげく、この関係を続けるかどうかは彼に会ってから決めようと思った。流れに任せることにしたのだ。そう思いながら、当日、彼女はおしゃれな下着を選んでいた。自分の本当の気持ちを優先させるのか、リスクを考えて踏みとどまるのか。本当は、「会ってから決めよう」とした時点で恋に取り込まれているのだが、渦中にいる人は自分は冷静だと思い込みたがる。

 「パートでもたまに残業があるので、その日は残業だと言って出かけました。彼の顔を見たら自分の気持ちを止められないと気づいた。来なければよかったと彼の胸で泣きました。どんどん好きになる、苦しいと訴えた。彼は『僕も』って。いっそ離婚を考えてみようかと話し合ったけど、それは現実的とは思えなかった」

 結婚ではないから燃えるのだ。それがわかっていながら、マサミさんは彼に会うと泣けてたまらなかった。だが会えるのはうれしいと笑いもした。笑ったり泣いたり忙しいねと彼は彼女を抱きしめる。

「結局、関係は続きました。精神的に不安定になりましたが、半年ほどたったころ、お互いに家族優先でがんばっていこうと言えるようになった。現実を見ながら、それでも関係を続けることを決めた時期でした」

 予定が合わず会えないこともあった。それでも彼への気持ちは冷めなかった。マサミさんは先を見据えて、下の子が中学生になったときに、かねてから請われていた正社員への道を選択した。

 「彼もお祝いしてくれました。『やっぱりマサミちゃんはがんばり屋だね』と。仕事に家庭に義父母の介助、そして彼との時間。全力でした、なにもかも。彼はそんな私を常に温かく包んでくれた。毎日、がんばれば彼に会える日が近づくと思えたから、やってこられたんだと思います」

 彼はたびたび「小さなプレゼント」をくれる人だった。「マサミちゃんに似合うと思ったから」ときれいなスカーフをくれたり、使いやすいペンをくれたり。大きな金額のものではなかったからこそ、彼女は彼の「気持ち」を感じた。

 「彼のところもうちと変わらない年齢の子がふたりいると聞いていました。奥さんのことは聞かなかったし、彼も話さなかった。だけど、高校時代の友人と電話で話していて彼の話題が出て、『ユウくんって中学生の同級生とずっとつきあって結婚したんだって』と」

 よほど大恋愛だったんだねという友人の言葉が耳から離れなかった。それでも彼女は、彼との関係を断ち切ることはできずにいた。

「コロナ禍でも、回数こそ減ったけど、彼は出張と偽って会いに来てくれた。彼の気持ちを信じていました」

夜にかかってきた電話 

だが、半年ほど前。いつもならかかってこない夜の時間に、彼から電話があった。

 「夫や子どもたちもいたので、会社からの電話のふりをして廊下に出て、『どうしたの』と言ったら『ごめん。とにかくもう会えない』と。電話の向こうからごちゃごちゃ声が聞こえたあと、『もともとうちの人、あんたに興味なんてなかったそうですよ。あなたが無理矢理関係を強要したんでしょ。訴えられたいの?』と女性の金切り声が飛び込んできました。バレたんです、奥さんに」

 震える手で電話を切り、リビングに戻ったが「ふだん通りにふるまう」ことのむずかしさが堪えた。翌日、彼に連絡をとろうとしたが電話もメッセージもつながらない。彼の会社に何度もかけたが、外回りだの会議中だのと言われた。居留守を使われているようだった。

 「いざというとき、彼は私を選ぶのではないかと漠然と自信をもっていたんです。もし彼が離婚するなら私も…とさえ覚悟していた。でも結局、彼は妻の言うことを聞いて私を見捨てた。その事実に耐えられなくて、いっそ関西の彼の会社に乗り込もうかと考えました」

 毎日が苦しかった。自分がとんでもないことをしでかしそうで怖かった。明日こそ、関西に行ってやろうと思いながらも、マサミさんは不眠と食欲不振で、気力も体力もなくなっているのを実感していた。

 「私がどこかおかしいのは家族にもわかっていたと思います。子どもたちに心配をかけてはいけない。それだけは考えていました」

 そんなある日、近所の親しくしていた家の前に引っ越しのトラックが止まっていた。別のご近所さんが「奥さんの不倫で一家離散ですって」と小声で教えてくれた。

 「うちもこうなるところだったのかと冷や汗が出ました。考えれば、夫に知られなかっただけよかったのかもしれない。彼がすぐにあらゆる連絡を断ったのも、私のためを考えてくれたのかもしれない。もちろん実際は彼の保身だと思うけど、私は彼が今も私を好きだと信じたい。いつかまた会える。そう思って乗り切るしかないんです」

 彼女はそう言ってまた涙をためた。いつか別れが来ると覚悟していようと、いつか一緒になれると信じていようと、納得のいかない「突然の別れ」はつらい。自分を鎮める手立てがない、身を裂くようなこの苦しみはいつ終わるのかと、彼女は小さくつぶやいた。

  • 取材・文亀山早苗

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