『六本木クラス』ほか…芸能事務所がリメイクドラマを敬遠するワケ | FRIDAYデジタル

『六本木クラス』ほか…芸能事務所がリメイクドラマを敬遠するワケ

連載 スタッフは見た!週刊「テレビのウラ側」Inside story of Television

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韓国ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』の日本版リメイク『六本木クラス』(テレビ朝日系)の視聴率が5週連続で右肩上がりにアップ。第8話では初の二桁となる10.0%をマークして話題を集めている。

「コンプライアンスに関わるシーン以外は、ほぼ完コピ」(制作会社)という『六本木クラス』。主演・竹内涼真(29)は髪型まで本家に寄せている
「コンプライアンスに関わるシーン以外は、ほぼ完コピ」(制作会社)という『六本木クラス』。主演・竹内涼真(29)は髪型まで本家に寄せている

「放送開始直後は本家版と比べて安っぽいと不評でしたが、オリジナルを見ていない層に受けているようで、ベタな復讐劇にハマる視聴者が増えています」(テレビ誌編集者)

ここ数年、日本のドラマで海外の作品、とくに韓国ドラマのリメイクが増えている。キー局プロデューサーは背景に「原作不足」があると指摘する。

「動画配信サービスが定着して、海外ドラマが日本でも話題になるようになったのもリメイク人気に一役買っていますが、やはり原作不足ですよ。どこの局も配信で収益化しやすいドラマに力を入れているから、枠自体は増えているんですが、ある程度数字が見込める作品じゃないとスポンサーが納得しない。

一部の大物脚本家以外はオリジナル作品の企画が通らないから、人気マンガや小説の版権は争奪戦になっているのです。最近はウェブ漫画をドラマ化する動きもありますが、それでも原作が足りないから、海外作品のリメイクが増えている」

いわば苦肉の策なのだが、「海外リメイクは成功例が少ないので、タレントを出したくないというのがホンネ」と芸能プロ幹部が苦笑する。

「日本でリメイクすると制作費は削減されているわ、ロケの撮影制限が厳しいわで、どうしても安っぽくなる。海外ドラマのようなスケール感を出せないんです。『六本木クラス』はテレビ朝日の局内や周辺を駆使して、どうにか撮影している状況。同じテレ朝が制作した『24 JAPAN』なんて、チープすぎて話題にもなりませんでしたから。

オリジナル版と比べられて俳優陣がバッシングされるので、芸能プロからするとデメリットのほうが大きい。メリットがあるとすれば、役作りがしやすいことぐらい」

つまり、海外ドラマのリメイクを成功させるためには、大掛かりなロケが必要ない作品を選ぶのが肝要となる。

「視聴率的には苦戦しましたが、近年なら『知ってるワイフ』(フジテレビ系)が、高い評価を得ました。’06年に放送された長瀬智也主演の『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系)は、本家のバイオレンス部分をコメディ色に変更することで、日本独自の面白さが出た好例です。成功させるためには、キャスティングも含めて、本家ドラマへのリスペクトが感じられることが大前提。手を抜いていると原作ファンに猛バッシングされます」(制作会社ディレクター)

それでも、広告代理店関係者は「海外リメイク作品は今後、ますます増えるでしょう」と予想する。

「TBSはNetflixと共同でドラマを配信しています。海外資本の動画配信メディアで世界配信する局が増えている。海外の視聴者の獲得が期待できるため、人気作品は争奪戦になっていますよ。日本のドラマの海外でのリメイクはヒットするのに、その逆が少ないのは制作能力の違いでしょう。食材が一流でも料理人が三流では美味しい料理はできない」

「木を見て森を見ず」では、リメイク作品での超ヒットは望めないのだ。

『FRIDAY』2022年9月16日号より

  • PHOTO近藤裕介

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