1974年、埼玉県生まれ。大学卒業後にITメディア等でスポーツ取材を開始し、現在はフリーランスとしてサッカー、ラグビーを中心としたスポーツ、芸能を取材。週刊誌やスポーツ誌に寄稿。2000年代のW杯、ユーロ、五輪はほぼ網羅。欧州を中心とした海外取材の経験豊富

栗原 正夫

<figure id="attachment_264281" aria-describedby="caption-attachment-264281" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f692fb7e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/bc9ef0b091ecb51a3d979ec72d9ba8eb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-264281" class="wp-caption-text">あくまで芸能が本業だが、プロ雀士として牌に触れる機会を増やしている。「食事を作っている合間にリビングに牌を並べて『どれを捨てるべきか』などと考えています。娘や旦那さんには『片づけて』って、言われ続けています（笑）」</figcaption></figure>
「どこに行っても人だかりができて、電車にもバスにも乗れない。食事もちゃんと取れず、撮影と取材の合間の３分間でおにぎりを食べるのがやっとでした。当時は『ザ・ベストテン』（ＴＢＳ系）に『歌のトップテン』（日本テレビ系）、『夜のヒットスタジオ』（フジテレビ系）と歌番組がたくさんあって、歌いながら『いま、どの番組に出ているんだっけ？』と自分がどこで何をしているのかわからなくなっていましたね（笑）」
&#8220;日本一忙しいアイドル&#8221;と呼ばれた浅香唯（52）は、往事をそう振り返った。
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だがそれは『スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇』（フジ系。’86～’87年）と出会って以降の話で、デビューから約１年半は不遇の時代を過ごしていた。
「初めてのテレビ出演はつくば万博の会場から生放送されていた『ＥＸＰＯスクランブル』（ＴＢＳ系）という番組。司会の男性アナウンサーのアシスタントを務めたのですが、一言もしゃべらずに番組が終わってしまったのを鮮明に覚えています。新聞広告で見た副賞の『赤いステレオコンポ』が欲しくてオーディションを受けただけで、元々アイドルになろうと思っていたわけではなかったので、自分の置かれた状況がよくわかっていなかったんですね。デビュー曲の『夏少女』はオリコンチャート100位台でした。普通はガッカリするところだと思いますが、私は『レコードを買ってくれた人がいたんだ』って喜んでいましたから（笑）」
浅香は「デパートの駐車場の隅で、段ボールを並べただけの&#8221;ステージ&#8221;で歌ったこともあります」と苦笑いする。
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「周囲にいるのは主婦の方ばかりで『なんで私、ここで歌っているの？』と思うこともありました。それでも、すぐ隣でやっているタイムセールや北海道物産展の声に負けてたまるか！　って気持ちで頑張っていましたね（笑）」
キャリアの転機になった『スケバン刑事』のオーディションでは、宮崎訛りが功を奏したと回想する。
「監督やプロデューサーさんの前で『スケバン刑事Ⅱ』の台本を読んだのですが、南野陽子さん（55）の土佐弁のセリフを見たら宮崎弁のスイッチが入ってしまって、なぜか宮崎訛り全開でしゃべってしまったんです（笑）。それを面白いと言ってくださって、その後も『木登りは得意ですか？』『むしろ、それだけが得意です！』なんてやりとりが続きました。初代の斉藤由貴さん（55）や南野さんみたいな&#8221;カッコいいお嬢様&#8221;とは違う山猿みたいな子を求めていたみたいで、無理がなかったのがよかったのかもしれません」
当初、放送は半年間の予定だったが、好評のため１年に延び、映画化までされた。アクションシーンも多く、撮影は過酷で生傷が絶えなかった。
「第１話から家を吹き飛ばすシーンがあったんですけど、ＣＧではなく本当に爆破していて、スタントマンも使わなかったんです。しかも、爆破は１回きりで、リハーサルもなかった。安全対策と言えば、地面に線が引いてあって、『この線を出たら危ないですから』と注意されたぐらい（笑）。演じているときに下なんて見てられないのに！（三姉妹を演じた）大西結花（54）と中村由真（52）の３人で爆破される家に近寄るシーンだったんですけど、想像以上に爆破が大きくて、カットがかかった直後に『前髪、燃えてない!?』って確認し合いました」
’88年にカネボウ化粧品のＣＭソングとなった『C-Girl』が大ヒットしたほか、『セシル』などヒット曲を連発。歌番組でも常連となり、中山美穂（52）、工藤静香（52）、南野陽子とともに「アイドル四天王」と呼ばれた。
「歌番組に出ると、周囲のアーティストさんたちがピリピリしている感じはありましたね。そうじゃないと生き残れない世界だと言われていましたから。たとえば、女の子が何人かいるところにカメラが向けられると、みんな一歩前に出るんですよ。私は『ま、いっか！』と引いて見ていたから、後で映像を見ると顔がまったく映ってなかったことがありました。
収録中に男性アイドルから電話番号の書かれたメモを渡されたことは……なくはなかったですが、私は一度もかけませんでした。当時は携帯もないし、家電ってハードル高いじゃないですか。しかも、あのメモって基本的に番号しか書いてなくて、あとで見ると誰のだかわからなくなっちゃって（笑）。私の場合、事務所が男女問わず共演者との交流禁止みたいな方針で、それを真面目に守っていましたね。結花と由真も、いまでこそグループＬＩＮＥで繋がっていますけど、当時は連絡先を知らなかったので、『スケバン刑事』が終わるとそれっきりになっていました。アイドル同士での付き合いって、ほとんどなかったですね」
<div data-friday-nextpage-lead="あの中森明菜との秘話も…！"></div>
歌番組では先輩アイドルや大御所歌手とも共演した。なかでも、印象的だったのは中森明菜（57）だった。
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「オーラがあって自分からはとても話しかけられなかったんですけど、明菜さんから『唯ちゃん、大丈夫？　緊張しないで』とあのハスキーボイスで声をかけてくださって。私のほうに近づいてきてくれるだけで心臓がバクバクでした。
いつだったか、『ザ・ベストテン』で寺尾聰（あきら）さんの『ルビーの指環』の連続１位記録（12週）を記念して赤い特別な椅子が作られたことがあって、リハーサル前に誰もいないときにコッソリ座ってみたら、明菜さんに見られていて（笑）。『ちょっとくらい、いいんじゃない？』と笑ってくださったのをよく覚えています」
慎重で、物事を考え過ぎてしまう性格。新しいことにチャレンジするのは苦手だったが、年齢を重ねて、変化が現れた。’20年夏には『ＲＩＺＡＰ』のＣＭに出演。約９㎏の減量に成功した身体のビフォー＆アフターを披露。世間を驚かせた。
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「昔の私だったら、ビフォーを人様に晒すなんて絶対にできなかった。実際に一度、出演をお断りしています。ただ、新しい自分に出会えるかもしれないと考えたんです。あのダイエットは極秘で進めなくちゃいけなくて、周りの人たちには痩せていく姿を心配されたりもしました。知らせてＯＫになって『ジャッジャーン！』って報告したときには、家族や知人もみんな喜んでくれた。身体を作ったことはもちろん、私自身の気持ちが前向きになれたことが嬉しかったですね」
今年８月には日本プロ麻雀協会のプロテストに合格したことが報じられた。
「50歳を過ぎると、人生の先が見えてくるじゃないですか。すると、あれもしたいこれもしたいと欲張りになってきて、『いろいろ吸収したい』と思ったうちのひとつが麻雀でした。23歳から打ち始めたんですけど、最初は年１回、父と打つくらい。井出洋介さんの計算に計算を重ねた難解な数式を解くような知性派の麻雀の打ち方に憧れて著書を何冊も読みましたが、その先を勉強することはなかった。ただ、麻雀の世界をもっと知りたいという想いはずっとあったんです」
シンガーとしての活動でも新しい挑戦をした。デビュー37周年を機に、これまで発表したほぼ全楽曲（157曲）をサブスク解禁したのである。
「同世代の人に懐メロとして聴いてもらうだけでなく、10代や20代の人に『C-Girl』や『セシル』、『Believe Again』などを聴いてもらう機会が広がればと思っています」
９月には初のビルボードライブ公演も開催（３日大阪、11日横浜）。今後も出会いを大切にしながら面白いと感じたことを楽しみ、挑戦していきたいと話す。
「最近は『C-Girl』を歌いながら、『もうガールじゃないし』とか、『いつまで歌えるかな』なんて考えています（笑）。でも、何事も限りがあるからこそ、愛おしさとか切なさとかを感じたりするもの。限られた時間を大切にしていきたいですね」
<figure id="attachment_264278" aria-describedby="caption-attachment-264278" style="width: 1654px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="700b9c16"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/09f2f184756011198df229681ce226a9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-264278" class="wp-caption-text">中学卒業後、15歳で上京。’85年に『夏少女』で歌手デビューした。写真は’88年、カネボウのキャンペーンガールに選ばれた際のもの</figcaption></figure>
<figure id="attachment_264280" aria-describedby="caption-attachment-264280" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cb5e6239"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/eca10889c1bd7fa1dd27531acbb8d463.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-264280" class="wp-caption-text">サブスク解禁に期待大だという。「昭和のキラキラした音楽が大好きですし、『ふたりのMoon River』や『ヤッパシ…H！』など日の目を見なかった隠れた初期の名曲もあるので、様々な世代の方に楽しんでもらえたら嬉しいですね」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_264279" aria-describedby="caption-attachment-264279" style="width: 1662px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bcb7e5a7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/L1050369.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-264279" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　浅香唯「50を過ぎて、いろいろ欲張りになっちゃって」スペシャルインタビュー</figcaption></figure>
<figure id="attachment_264282" aria-describedby="caption-attachment-264282" style="width: 1686px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9566964e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/L1050511_r.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-264282" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　浅香唯「50を過ぎて、いろいろ欲張りになっちゃって」スペシャルインタビュー</figcaption></figure>
『FRIDAY』2022年9月23日号より

栗原正夫

村上庄吾

"日本一忙しいアイドル"と呼ばれた浅香唯にインタビュー！ドラマ「スケバン刑事」やヒット曲『C-Girl』など、成功の裏話を明かしてくれた。また前向きで真面目な性格の彼女が、今後目指すものとは――？

浅香唯が告白「50を過ぎていろいろ欲張りになっちゃって」

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