<figure id="attachment_265390" aria-describedby="caption-attachment-265390" style="width: 1837px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a239e18b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/20220920_PICU7369.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-265390" class="wp-caption-text">10月10日にスタートする『PICU 小児集中治療室』主演の吉沢亮は、金城氏が「ずっとご一緒したいと思ってた」俳優だという©フジテレビ</figcaption></figure>
<p>9月26日、上野樹里（36）主演の人気シリーズ『監察医 朝顔』のスペシャルドラマが放送される。そして、同じスタッフが集結した吉沢亮（28）の「月9」初主演となるドラマ『PICU 小児集中治療室』（以下、『PICU』）が10月10日にスタートする。</p>
<p>解剖医と小児科医という違いはあるが、どちらも現場で苦悩や葛藤を抱えながら仕事と向き合う医師が主人公。この2つのドラマを手掛けるのが、フジテレビのドラマプロデューサー金城綾香氏だ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「『今の日本の医療の問題は』とか、『ドラマを観て医療現場の大変さを知ってください！』とか大きなテーマを掲げているわけではなくて……あまり大きなことは言えないといいますか……すいません。なかなか自信がない性格なもので……」</span></p>
<p>かつて『グッド・ドクター』に携わっていたことも交え、医療ドラマを手掛け続ける理由を問うと、金城氏はそう苦笑した。</p>
<p>医療ドラマに限らず、江口のりこ主演の『SUPER RICH』、4月クールの月９『元彼の遺言状』など、話題作を次々と世に送り出し、業界内でも大きな注目を集めるプロデューサーだが、言葉は控えめで謙虚な印象を受ける。その手腕とのギャップには、原作や実際の医療現場で働く人々への強いリスペクトと、ドラマ制作者として大切にしている視座があった。</p>
<p><span class="strongInContent">「2019年に放映した『監察医 朝顔』は人気コミックがベースになっています。原作者の先生方がとても寛大で、ドラマ化にあたって主人公が被災した震災を阪神淡路大震災から東日本大震災に変更し、津波の被害でご遺体を探し続けているご家族が8年経って――という物語にアレンジすることを許可してくださいました。“2019年に放送するのだからこそ”というこちらの意図を尊重して、応援してくださいました。『PICU』を制作するキッカケとなったのは、『グッド・ドクター』で医療監修していただいた杏林大学医学部教授で日本小児救急医学会理事の浮山越史医師たちから、『子どもの集中治療室、PICUをドラマにしてみてはどうか』とのアドバイスでした。PICUの存在すら知らない状況からドラマ化できたのは、先生方のおかげです」</span></p>
<p>制作準備にあたっての取材、金城氏のチームでは、コロナ禍の状況に加え、PICUという子どもの命がかかる医療現場への配慮が最優先された。</p>
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<p><span class="strongInContent">「一部、TwitterなどでPICUへの訪問をオープンにしていますが、基本的にはそっと取材させてもらっています。治療中のお子さん本人やご家族、現実の医療現場で働く方々、その苦しさや大変さ……ドラマは作りものであり、真似ることはできても、遠く及びません。リアルとフィクションの違いという面は、頭を悩ませるところです。現実をそのまま伝えるなら、ドキュメンタリーが一番で、ドラマはドキュメンタリーになってはいけない。私たちが、現場で感じたことや、話を聞かせてくださった方の心の動きをドラマにする――だからこそ、我々はそこで働く方たち、病気やケガでつらい状況のお子さん本人や、ご家族のお気持ちを、損なわないように、傷つけないように努めています」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="普通の人間が、神様じゃない人が、治すということ"></div>
<p>『監察医 朝顔』では上野樹里演じる主人公・万木朝顔は死因を究明する解剖医であり、『PICU』で吉沢亮が演じる志子田武四郎は、自分の非力さに打ちのめされる、若く経験の浅い小児科医だ。ともに飛びぬけた技術や知識で患者を救うスーパードクターではない。</p>
<figure id="attachment_265391" aria-describedby="caption-attachment-265391" style="width: 2544px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1fd8c71d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/20220920_asagao_01.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-265391" class="wp-caption-text">監察医として死因を究明する朝顔（上野樹里）の姿勢は、今回の『監察医 朝顔2022スペシャル』でも変わらない©フジテレビ</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「素晴らしい腕をお持ちで、どんな病気もその人が手術すれば治るような医師がいたら理想だし、実際にいらっしゃるとは思います。ただ、医療ものに限らず、スーパースターが全ての問題を解決してしまったら、周りの人たちは要らないじゃないか……と。実際の医療現場はとても地道ですし、“その人だけ”が治せるみたいなことは、たぶん許されません。普通の人間が、神様じゃない人が、治すということ。それがどんなに大変なことか――を強く感じますし、描きたいと思っています。主人公についても、スター選手じゃない。これからという人が一生の仕事として、医師であり続けると決めるまで……。私が大テーマにしたいのは、そういうストーリーや人物ですね」</span></p>
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<p>金城氏は<span class="strongInContent">「本来、医療ドラマというジャンルはないと思っている」</span>と続けた。</p>
<p>恋愛要素があればラブストーリーだし、青春ものであれば、青春ドラマ。医師が登場するドラマだけが記号化されがちな現状に抗（あらが）いたいと言う。</p>
<p><span class="strongInContent">「北海道にも、PICUはもちろんありますが、そのPICUは術後管理をメインとされた集中治療室です。ドラマとして、フィクションとして、『今、突発的な事故や災害、病気などの救急にも対応するPICUがないところに、それができるまで』を描く意味で、北海道を舞台にしました。モデルとなる病院は存在しません」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「吉沢さんのセリフはアテ書きしていました」"></div>
<p>『PICU』の主人公に起用した吉沢亮は「ずっとご一緒したいと思ってた」俳優だという。</p>
<p><span class="strongInContent">「同世代にはたくさん、素敵な俳優さんがいらっしゃいますが、吉沢さんは20代の若さで、お芝居が図抜けて上手だと思います。ビジュアルの美しさに、注目が集まることが多いですけど、抜群のお芝居をされる。今回ようやく、念願が叶った感じですね」</span></p>
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<p>今回の取材前に脚本を読ませてもらった。吉沢の浮かべる表情や、どんな間でそのセリフを口にするのか、頭の中で映像が立ち上がるシーンが度々あった。</p>
<p><span class="strongInContent">「吉沢さんについてはアテ書き（担当する役者を想定して脚本を書くこと）しているところがありますね。脚本家の方と『こうやってくれたらいいな』『こうしたら面白くなるし、してくれそうだな』という感じで相談しながら、書いていただいています」</span></p>
<p>主人公に次いで重要な登場人物、志子田が働く病院にPICUを新設するため、東京から着任する小児科医・植野元役を安田顕（48）が演じる。</p>
<p><span class="strongInContent">「安田さんは強いお芝居をされる印象もありますが、そこに暮らしている人の自然な姿を演じるのも、すごく上手な方です。植野先生は百戦錬磨で、いろいろなことがありながら、“慣れず”に現場に向き合える医師。そういう細やかさを表現してくれるのは、やはり安田さんだと思いました。安田さんもご一緒したい役者さんの一人だったので、本当に良かったです」</span></p>
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<p>『監察医 朝顔2022スペシャル』の脚本を読むと、まるで先週も観ていたような気分を味わった。</p>
<p><span class="strongInContent">「Season2のラストから、1年半が経った設定の物語です。朝顔のように自分が親になったからこそ、自分の親を思って悩んでしまう時もあれば、だからこそ穏やかな決断ができる時もある。『続きがあるとしたら、こういうことだろう』というのがスタッフの中にあって、割とすんなり今回のストーリーができた感じがあります。『監察医 朝顔』シリーズをずっと観てくださっている方だけでなく、飛び飛びにご覧になっていた方も、初めて観るという方も、楽しんでいただけるようになっています。リラックスしながら『この人たちはこの人たちで、元気にやっていた。良かった良かった』と思って、ご覧いただければうれしいです。『PICU』は、『監察医 朝顔』とほぼ同じ制作チームが、力を入れて作っています。吉沢さんも初めての月9主演で気合が入っていますし、がんばって撮影しますので、オンエアされたらぜひご覧ください！　もっとアピールした方が、いいですかね？　なんか、やっぱり気弱なもので……（笑）」</span></p>
<figure id="attachment_265393" aria-describedby="caption-attachment-265393" style="width: 2544px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="aa3c302d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/20220920_asagao_02.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-265393" class="wp-caption-text">Season2のラストから1年半が経ち、つぐみ（加藤柚凪）の成長した姿も楽しみな『監察医 朝顔2022スペシャル』©フジテレビ</figcaption></figure>
<p>ドラマへのスタンスについては熱量を感じさせる話ぶりだったものの、作品アピールを求めると、とたんにシャイさが再発動。<span class="strongInContent">「こんな感じで、本当に大丈夫ですか？　すみません……」</span>と言いながら、佳境を迎えている撮影現場へ金城氏は去って行った。</p>
<p>この控えめな視点があるからこそ、原作やリアルな現場へのリスペクトを持ち続け、キャストやスタッフへの目配りも、行き届くのだろう。人は自信がない時、過剰に言葉を重ねるという。アピールが控えめなのは、むしろ作品がしっかり仕上がっている、自信の表れなのかもしれない。</p>


1987年、兵庫県出身。2012年フジテレビジョン入社、ドラマプロデューサー。2019年よりチーフプロデューサーとして『監察医 朝顔』シリーズをはじめ、2021年『SUPER RICH』を担当。2022年は4月期の『元彼の遺言状』に続き、10月期には『PICU 小児集中治療室』が放送される。

金城綾香（かねしろ・あやか）

鍬田美穂

フジテレビ

フジテレビで話題作を連発する注目プロデューサー・金城綾香。10月クールでは吉沢亮主演の月９『PICU』を手掛ける。『監察医朝顔』など医療ドラマを多く手掛ける彼女は本作で吉沢に託したある想いがあった。

フジ注目プロデューサーが月９『PICU』で吉沢亮に託した想い

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