【前編】若い女性と既婚男じゃない「今どき」不倫交際15年の実態 | FRIDAYデジタル

【前編】若い女性と既婚男じゃない「今どき」不倫交際15年の実態

「不倫にはワケがある」〜亀山早苗レポート

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既婚同士の恋愛が増えている。もはや「不倫」は、短期間の火遊びではなく、人生に不可欠な要素になっているのかもしれない
既婚同士の恋愛が増えている。もはや「不倫」は、短期間の火遊びではなく、人生に不可欠な要素になっているのかもしれない

「不倫の恋」というと、配偶者にバレて別れるか離婚問題に発展するか…いずれにしても1〜2年で恋は終わるというイメージが一般的のようだ。ドラマでは、若い女性と既婚の男性、という組み合わせが「普通」。そう、たしかに取材を始めた30年ほど前はそうだった。だが今は「ふたりとも既婚」のダブル不倫が圧倒的多数なのだ。

かつては珍しかった長期間にわたる不倫関係。有名なところでは、たとえば女優の山口果林さんが、既婚だった作家・安部公房氏との20年以上におよぶ恋愛を公表して話題になった。

「不倫」と呼ばれる恋の経験者から取材を続けているなかで、関係が10年、20年と続くケースは、決して少なくない。その理由は、単に相性がいいからなのか、あるいは結婚という「制度」にとらわれないからなのか。いずれにしても、世間のイメージする「不倫」と現実の間には、ずいぶんと隔たりがある。

「適当な結婚」後に現れた「恋人」

15年にわたる「恋」のただ中にいる女性に話を聞いてみた。

15年ですからねえ、いろいろありましたよ。彼の妻とのバトルは本当に怖かった」

苦笑しながらそう言うのは、真梨恵さん(44歳・仮名)だ。彼女が結婚したのは27歳のとき。大卒で入社して5年目に、3歳年上の先輩と職場恋愛をし、いわゆる「できちゃった結婚」をした。

「私はキャリア志向でもなかったし、いい意味で、適当な時期に適当な人と結婚した。恋愛経験も豊富とはいえず、それまで本当に『ほどほどの人生』だったけど、それでいいと思っていたんです」

退職して専業主婦となり、子どもが生まれて「ママ」となった。想定外だったのは、子どもが2歳になったころ、夫が社内の人間関係に疲弊して心身に不調をきたし、休職に追い込まれたことだった。

「まさか夫がそんなことになるとは思ってもみなかった。でも、そうなったら私が働きに出るしかないですから。夫は子どものめんどうは見られたので、派遣社員になってフルタイムで働くことにしました。

それまで、子どもとべったり一緒にいた時間も楽しかったけど、外に出れば出たで仲間もできたし、仕事をしてみると、私、意外と仕事が好きかもと思いました」

前職と同じ、人材育成業務に携わった。仕事から離れていた期間があったためか、妙に新鮮で楽しかったという。

そんなとき知り合ったのが同業他社の道孝さん(仮名)だ。7歳年上の彼は、小さいながらも自身で会社を経営していた。

「スキルアップのための小さなセミナーで彼と出会いました。初日に隣の席になって、翌日には帰りに飲みに行っていたので、気が合ったんでしょうね。セミナーが終了してからも、ときどき連絡を取り合っていました」

それが恋に発展したのは、ある日、食事をした帰り道、彼が「事務所に忘れ物をしてきた」と言ったからだ。

「彼の事務所を見てみたいとも思ったので、一緒に行ったんです。誰もいない事務所のソファで酔い覚ましのコーヒーを飲んでいたら、ふたりともほろ酔いだったこともあり、なんだか妙な雰囲気になっちゃって

夫とは、子どもが生まれてからまったくそういうことをしていなかった。前に私から迫ったら『母親なのに、そんな欲求ばかり強いんだね』と言われて愕然とし、それ以来、夫とは触れあっていなかったんです。夫に悪気はなかったみたいなんですが、母親であることと性的欲求をもっていることとはまったく別のはず。こんな人なのかとがっかりしました。そこから私たち夫婦の間では性がタブーになってしまった」

だから、酔った勢いで道孝さんに触れられたとき、真梨恵さんは全身に電流が走ったように震えた。自分がいかにこういう行為を望んでいたのかがはっきりとわかったと言う。

「誰でもよかった」が「信頼」に変わるまで

「正直、あの時点では誰でもよかったのかもしれない。モヤモヤとくすぶっていた欲求を満たしたかったんだと思います。逆に言えば、彼が私の欲求に火をつけたともいえますけどね」

真梨恵さんはそう言ってチャーミングな笑顔を見せた。

それから三日にあげずふたりは会った。ほとんど事務所のソファでの逢瀬だ。時間がなくても「したかった」と彼女は言う。3か月ほどたって、ようやく「体の奥底からの火種」が少しおさまり、恋のスタート地点に立てたそうだ。

「相手の人間性を見たり、いろいろなことを話しながら、彼と意見が一致したりしなかったり。一致しなくても話ができるのが楽しかった。夫は考えが違う人とは話しても無駄というタイプだから、すぐに会話が途切れてしまう。彼は違いこそがおもしろいと」

夫に「すべて」を求めないから

彼の事務所と彼女の勤務先が近かったこともあり、一緒にランチをとることもあった。

その後、真梨恵さんの夫は回復して職場復帰した。夫婦関係も子どもを仲介として一見、穏やかではあったが性的な関係は戻らない。

「でも私には道孝さんがいたから、家庭内は平穏に保てていればいい。夫にすべてを要求しても満たされないから、父親としての役割を果たしてくれればそれでいいと思っていました。そして実際、外で恋をしてセックスもして、家では私も母親役割だけしっかりやっていることでバランスが保たれていた」

道孝さんにも子どもがいたし、お互いに多忙で会えなかったり、親が病気になって間があいたりした時期もある。だが率直に伝えることで、ふたりの間には「不安はなかった」と真梨恵さんは言う。

「子どもが成人したら、結婚を視野に入れようと話し合っていました。恋が始まったとき、彼の子は5歳と2歳、うちが2歳。先は長いから結婚を目的とするわけではなく、いつかそんなときが来たらいいねという話ですけど。結婚を意識しなくても、私たちはずっとつきあい続ける、運命のふたりなんだからと根拠のない自信がありました。彼も同じ気持ちだといつも言ってくれていた」

不倫といえども、ふたりの関係は盤石であり、信頼関係が完璧だと思っている人は少なくない。だからこそ継続していけるのだろう。

ところが、今から1年前のこと、非通知で真梨恵さんの携帯が鳴った。出ると、押し殺した女性の声が「真梨恵さんですか」と、問うてきた。

「はい、と答えたら『道孝の妻です』と。私、びっくりして電話を切っちゃったんですよ。そうしたらもう一度かかってきた。『人の夫を盗っておいて、電話をたたき切ることはないでしょ』と言われました。地の底から響くような低い声が怖かった」

<非通知でかかってきた電話は、恋人の妻からだった。交際15年のダブル不倫カップルの恋の行方は…。【後編】「ダブル不倫で15年…。人生最期のときに幸せを感じる予感」に続く>

  • 取材・文亀山早苗

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