【後編】ダブル不倫で15年…人生最期のときに幸せを感じる予感 | FRIDAYデジタル

【後編】ダブル不倫で15年…人生最期のときに幸せを感じる予感

「不倫にはワケがある」〜亀山早苗レポート

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<20代で知り合った既婚のふたり。お互い家庭を保ちつつ、いい関係を続けてきたが…。ある日、非通知でかかってきた電話は、彼の妻からだった。【前編】交際15年のダブル不倫カップルの恋の行方は…。>

非通知でかかってきた「妻」からの電話

今から1年前のこと、非通知で真梨恵さんの携帯が鳴った。出ると、押し殺した女性の声が「真梨恵さんですか」と、問うてきた。そして、数日内に会いたいと言われた。ためらっていると、「ダンナさんやお子さんに言ってもいいけどね」と脅され、真梨恵さんは会うことを了承せざるを得なかった。

一方の当事者である道孝さんに連絡がとれないまま、翌日、真梨恵さんは会社を早退して指定されたホテルのロビーに行った。時間通りに着くと携帯が鳴り、部屋番号を伝えられる。心臓が音を立てて鳴っているのを聞きながらエレベーターに乗ったという。

「とにかく怖くて。部屋をノックすると中からガチャッと鍵があいてドアが開かれました。私が中に入ると、すぐに鍵がまた閉められた。私の前に立った女性は170センチはある背の高い人で、筋肉隆々という感じ。154センチの私が飛びかかっても勝てないなと思いました」

道孝さんの妻は、「謝ってよ」といきなり言った。すみませんとつぶやくと、「はあ? それが謝ってることになってんの」と大声を出した。

真梨恵さんは土下座し、頭を足で圧迫された。もちろん、妻は靴を履いたままだ。「何年つきあってんの」と言われて、「1年くらい」と答えたら、大きな手でビンタされた。

「道孝は5年って言ってたわよって。彼はそういう設定にしていると知りました。その時点で14年つきあっていたんですが。すみません、5年ですと彼の設定に話を合わせました」

妻は「300万でどう」と言い出した。そんなお金はないというと徐々に下げて「200万、これ以上は無理。払わないなら裁判を起こして、ダンナと子どもにも言うからね」と投げやりな口調で言った。

「本当に怖かった。逆らうと、手が飛んでくる。だから200万で合意するしかありませんでした。200万は一括でも分割でもいい、と。分割だったら私に手渡しで、毎月持ってきてよねとニヤニヤしているんです。毎月この人に会うなんて怖すぎるから、借金して一括で払うと約束しました。すると彼女はすぐに書類を出して、ここにサインしてと言いました。もう覚え書きみたいなものを作っていたんです。もちろんそこには、今後は彼には会いませんという内容も含まれていた。その書状はこれから弁護士に見せて適正に処理するからと言っていました」

交際期間中に、彼は離婚していた⁉︎

妻は満足したのか、「あなたが知らないことを教えてあげようか」と言った。

「『私、3年前に道孝と結婚したの』って。最初、何を言っているのかわからなかった。よく聞いたら、彼、7年前に離婚していたんです。そして3年前に今の妻、ユウコさんと結婚したらしい。信じないと困るからと彼女は婚姻届のコピーを見せてくれた。『バカよね、あんたは。結局、彼が選んだのは私だったの』と鼻で笑われました。これには本当にショックで、床に座り込んでしまった

彼女の目が潤んでいく。信じていた彼が、自分の知らないところで離婚して再婚していたとは。不倫が夫婦にとっての裏切りなら、離婚再婚は不倫の恋における最大の裏切りかもしれない。

「私たちの関係は何だったのと思いますよね。ホテルを出て、私、その日はどこをどうやって歩いていったのか記憶がありません。気づいたら彼の事務所近くにいました」

偶然ビルから出てきた彼が、「あっ」と叫んで真梨恵さんの腕をつかみ、物陰へと引きずり込んだ。

「妻にバレたんだ、携帯も取り上げられた、と。だから『今、ユウコさんに会った』と言ったら彼はひきつった顔をしていました。ごめんと頭を下げるので、『それ以上に謝らなければならないことがあるんじゃないの』と言うと、さらに深く『ごめん。どうしても言い出せなくて』って。ユウコさんは彼の事務所にいた人だそうです。酔って迫られて、1度だけ関係をもってしまったら彼女が妊娠したって。もう、どこまで本当かわかりません。ただ、あなたが私を裏切ったことだけは確かだよねと言いながら、私、号泣してしまいました」

お金の件はオレが出すからと言ってくれたが、お金の問題じゃないと彼女は泣き続けた。

「とにかく今から、新しい携帯を手に入れるから、あとでゆっくり話そうと彼に言われて」

一方で妻のユウコさんは、真梨恵さんに会ったことを一言も道孝さんには言わなかった。その日、道孝さんが帰宅したときも、いつもとまったく変わらなかったという。

「でもユウコさんは、道孝さんのことは大事にしているみたいでした。今も柔道のコーチなどをしているさっぱりした女性なんだと彼があとで話していたから、いや、こんなふうに怖かったよとその日の様子を伝えたんですが、『曲がったことの嫌いな女だからなあ』って。まったく他人事みたいに言うんです。怖かったのは私なんだからと言ったら、ごめんねって半分、笑ってる。なんだかもう、怒る気持ちさえなくなっていきました」

そんなひどい仕打ちをされたのに、結局、真梨恵さんはほとぼりが冷めるのも待たず、また道孝さんと会っている。裏切られたとショックを受けたはずではなかったのか。

「ショックだったしバカにされていると落ち込んだし。もちろん別れるつもりでした。でも1ヶ月と続かなかった。やはり彼に会いたいんです。彼に会っていない自分は自分ではない。子どもに八つ当たりしたり、夫につっけんどんになったり。だから久々に彼から連絡が来たとき、『会いたい』と言ってしまいました」

もともと妻にバレたのは、彼が自宅の共有パソコンを使って真梨恵さんに連絡をとったからだ。パスワードは簡単に見抜かれていた。

現在、彼は真梨恵さんとのやりとり専用の携帯を取得した。パソコンや、妻も使うタブレットとは同期させていない。

バカだとわかっているけれど

「ときどき、どうしてまたつきあってしまったんだろうと思うこともありますが、たぶん、私と彼は結婚するには相性がよくないんじゃないかと考えて自分を納得させています。あんな不倫ばかりする夫は嫌ですし(笑)。彼と私は結婚ではなく、恋愛する運命。恋愛関係ならうまくいく」

結婚と恋愛は違うので、それぞれ相性のいい相手は異なるのかもしれない。もし真梨恵さんが若いときに道孝さんに出会ったとしても、やはり結婚には至らなかったのではないだろうか。タラレバを言ってもどうにもならないが、人はそうやって自分を納得させ、現状を肯定しながら生きていくしかない。

つきあって15年を迎えた今年、真梨恵さんと道孝さんはしみじみと「よく続いたね」と称え合ったという。

「バカップルもいいとこですよね。自分でもわかってる。だけど離れてはいられない。もう、自分たちの愚かさを受け入れながら、好きでいる限りはつきあっていたい。そう思っています」

誤解を恐れずに言えば、こういう「運命の人」に会えたのは、人生最後のときに僥倖だったと思えるのではないだろうか。何があっても離れたくないと感じる人に出会うこと自体が、レアなことだから。結婚しているのに他に好きな人ができてつきあうなんてとんでもないと「世間」が叩くのは理解できる。だが、それをも蹴破るように、「この恋がないと私は私でいられない」と言う人を非難はできない。むしろ本音では羨ましいと思う人も多いのではないだろうか。「不倫」と、一言では括れないそれぞれの理由や思いがある。それを赤の他人がとやかく言うことに、なんの意味があるだろう。数十年にわたり不倫の恋をする男女に話を聞いてきて、その思いは深まるばかりだ。不倫には、ワケがあるのだ。

  • 取材・文亀山早苗

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