<h3>なぜ今、怪談ブームが来ているのか？　若手のホープの答えは…？ </h3>
<figure id="attachment_268402" aria-describedby="caption-attachment-268402" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9c5c6b67"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/55A8214.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268402" class="wp-caption-text">「怪談家ぁみ」としても活動する「ありがとう ぁみ」さん（撮影：番正しおり）</figcaption></figure>
何度目かの怪談ブームが来ている。コロナ以降、YouTubeでは都市伝説や怪談チャンネルが急成長。それに伴って、新しい怪談師が次々と生まれ、大小様々な怪談ライブが日本のどこかで、毎週のように開催されている。 
ほかに目をやると、映画界では、事故物件芸人の松原タニシさんのベストセラーノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を原作にした『事故物件 怖い間取り』が大ヒット。コンプライアンスが厳しいといわれるテレビ界では、怪談や都市伝説などの不思議な話に特化した『初耳怪談 FIRST TAKE』（テレビ大阪）が昨年スタートしている。 
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静かな盛り上がりを見せる怪談界の実情を知るため、怪談の若手ホープともいえる「怪談家ぁみ」さんに話をうかがった。 
<h3>怪談界はコロナで急成長したと思いきや…</h3>
<figure id="attachment_268405" aria-describedby="caption-attachment-268405" style="width: 1500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5dfc978f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/ad7eaa60086bb750f19773b4ef781c74.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268405" class="wp-caption-text">吉本興業所属のコンビ「ありがとう」（右：ありがとう ぁみ、左：細野哲平）</figcaption></figure>
「たまに、コロナのおかげで怪談がブームになったと思われている方がいると聞きますが、僕的には、むしろコロナのせいで足踏みをしている印象です」
そう言うのは、「怪談家ぁみ」としても活動する吉本興業所属の「ありがとう ぁみ」さん。小学校低学年の頃から怪談にハマり、卒業する頃にはお泊り会などでストーリーテラーをはじめたという人物だ。高校卒業後は介護士として老人ホームで働くかたわら、東京NSCに入学。芸人デビューすると、すぐにライブに怪談を取り入れた。
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2010年のテレビ出演で怪談を披露して以降、怪談ライブ・ツアーを開催したり、怪談の書籍を多数執筆したり、YouTubeなどでは、自身に寄せられた怪談を語っている。
<div data-friday-nextpage-lead="続々と怪談が集まってくる"></div>
<figure id="attachment_268406" aria-describedby="caption-attachment-268406" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2d5221d0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/2_55A7983.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268406" class="wp-caption-text">数々の怪談コンテストで優勝を飾り、アマプロ関係なく参加できる「怪談最恐戦」の本年度大会の二次審査員もつとめた</figcaption></figure>
「2010年に出演した『不可思議探偵団』（テレビ朝日）をきっかけに、怪談の活動が増えてきたんですが、あの頃は怪談本の作家さんやタレントさんなどの怪談専業の人ばかりが公の場で怪談を話していました。どの番組・イベントも、ほぼ同じメンバーで、それを変えたいと思って、怪談ライブを主宰するようになりました」
自身の怪談を、少年時代のお泊り会の延長から生まれた「ファスト怪談」と定義して、尊敬する稲川淳二氏とは別のアプローチ方法で、怪談界のすそ野を広げることを決意。初めての怪談ライブは最大キャパ70人のライブハウスで行ったが、早々にスタンディングで最大1300人まで収容可能な「O-EAST」にジャンプアップした。
「2014年に、怪談の専業じゃない人歓迎という風にハードルを下げて、『ありがとうぁみの渋谷怪談夜会』というライブを始めました。声色を作って『この話は……』って、いかにも怪談風な怖い雰囲気でやるのではなく、世間話をしているように語るスタイルでやりました。そうしたら、アイドルやモデルなど、たくさんの方が『出たい！』と言ってくれて。今年で９回目になるんですが、ありがたいことにチケットは毎年完売します」 
<figure id="attachment_268407" aria-describedby="caption-attachment-268407" style="width: 1200px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5db8f5af"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/e33f6faeebb646826c4e86f0b306250a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268407" class="wp-caption-text">芸人、ミュージシャン、アイドル、格闘技など、幅広いジャンルから怪談好きが集結する</figcaption></figure>
「怪談作家や怪談芸人以外も、自由に公の場で怪談を話していいんだ」という風潮を、地道に広めてきたぁみさん。そのほかに、松原タニシさんたちが賞レースを立ち上げたりと、確実に怪談界のすそ野は広がっていった。 
「専業じゃない人たちの表に出る機会が増えてきたと感じるようになったのは、５・６年ほど前です。個人的には、僕たちの頑張りも影響していたらいいな、という感じですね。ただ、コロナ前からいろいろと考えていたものが、コロナでストップしてしまいました。これがなかったら、もっと成長していたと思います」
<h3>怪談家ぁみの魅力とは？ </h3>
誰もが参加しやすいように怪談のハードルを下げたことも大きな功績だが、10年以上も怪談を語り続けてきた労力も並ではない。怪談家ぁみの元には、日々、たくさんの怪談が集まるという。
「メディアに出てから、『自分の持っている怪談を話してほしい』と言ってくれる人が出てきたんです。僕に怪談を伝えるために、ライブやツアーで出待ちしてくださる方もいました。あと、オフィシャルサイトのメールフォームにも、何かしらの怪談が毎日のように届くという感じです。基本的には電話取材をさせていただきますが、近場の方は直接お会いして話を聞いたり、実際に怖い体験をした現場に連れて行ってもらうこともあります。
僕は、聞いた話を文字に起こさずに、絵で覚えます。疑似的にですが、体験者の目線に立って、怪異現象を体験した場所や行動を頭の中で想像しながら、現場を一緒に歩かせてもらうんです。だから、現場に連れて行ってもらえる場合は、細かい質問や想像するのを省けるので、めちゃくちゃ助かりますね（笑）」 
体験者から授かった話を自分事として捉え、詳細までを脳裏に刻みつける。それを自分の中できちんとまとめてから話すため、聞き手は自然と深みを感じる。怪談をひとつずつ大切に扱っているから、提供者は後を絶たないのだろう。 
<div data-friday-nextpage-lead="怪談をより身近にしたい"></div>
<h3>誰でも怪談を話せる世の中に </h3>
<figure id="attachment_268408" aria-describedby="caption-attachment-268408" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="11d71194"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/4_55A8103.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268408" class="wp-caption-text">「お笑いも怪談も、目の前にいるお客さんに楽しんでもらうことを前提に繰り広げるので、実は共通点が多いし、どちらも奥が深くて面白いんですよ」</figcaption></figure>
専業以外の人々の活躍には目を見張るものがあると、ぁみさん。
「今、相棒のようにしょっちゅう一緒にいるDJ響さんという方がいます。もともとは世界的なDJで、プライベートで怪談好きの友人に声をかけて、お泊り会でやる怪談みたいなのをされていました。なので、『（ステージに）出ちゃいましょうよ！』って公の場に引っ張り出したんです。そうしたら、少しずつ怪談の活動もするようになっていって、気づいたら、去年の『稲川淳二の怪談グランプリ』（関西テレビ）で優勝されていました（笑）」 
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ほかにも、吉本興業所属のヤースーや風来坊 伊山など、注目の若手の語り手は数えきれないほどいるという。
「あと、個人的には、怪談好きを公言しやすい空気感になってきていると思います。誰でも参加できるようにハードルを下げて、ポップなカルチャーとして広げていけば、『実は俺、恐怖体験したことあるんだよ』って言い出しやすくなる。そうすれば、より多くの怪談を聞けます。怪談をよりポップに、より身近に。そのための戦略をコロナ前から温めているので、ぜひ注目していただきたいですね」

WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

安倍川モチ子

番正しおり

何度目かの怪談ブームが来ている。コロナ以降、新しい怪談師が次々と生まれ、大小様々な怪談ライブが日本のどこかで、毎週のように開催されている。怪談の若手ホープともいえる「怪談家ぁみ」さんに話をうかがった。

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