<figure id="attachment_268914" aria-describedby="caption-attachment-268914" style="width: 800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e152ba6e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/4f26f44295e5caf24fa6e327ae070141.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268914" class="wp-caption-text">師匠の四代目三遊亭圓歌（左側）と、弟子の三遊亭天歌（右側）（一般社団法人落語協会ホームページより）</figcaption></figure>
<p><em>〈憧れの落語家に入門したら、そこから始まったのは「暴力と暴言」の毎日だったーー。前編<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/268892">「落語界の名跡『三遊亭圓歌』”壮絶暴言＆暴力”を弟子が実名告発！」</a>に引き続き、落語家・三遊亭天歌が師匠・圓歌から受けた壮絶な日々をお送りする〉</em></p>
<h3><span class="strongInContent">破門を受け入れると決めた2022年2月20日</span></h3>
<p>そして、運命の2022年２月20日がやってきた。</p>
<p>四代目三遊亭圓歌(63)は浅草演芸ホールでの10日間の寄席興行でトリを務めていた。この間、本来であれば、三遊亭天歌(40)と弟子たちは何日か楽屋に顔を出さなければならない。しかし、当時、東京都は『まん延防止等重点措置』に指定されていたため、協会からは「楽屋で待機しないように」と通達が出ていた。圓歌は協会の理事であり、当然そのことを知っている。その直前の興行でも、圓歌がトリを務めたが、コロナ禍のため弟子たちは１日も楽屋には行っていない。</p>
<p><span class="strongInContent">「それでも不安だから、興行が始まる前に女将さんに『師匠に僕たちが楽屋で待機していた方がいいのか聞いていただけますか？』と伺ったんです。そうしたら、女将さんは『残らなくていい。帰っていい』、そう仰いました。念のため、５日目の前日にも女将さんに確認を取りました。圓歌はかなり亭主関白で、女将さんも怒られたくないので毎回師匠に確認を取ってくださっていた。つまり、師匠も知っていたはずです。ところが、８日目のことです。師匠から電話があって『千秋楽は残っていろ』とだけ言われました。これはなんかあるなと嫌な予感はしたんです。それで千秋楽楽屋に行ったら、いきなり頭を殴られて、破門を言い渡されました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">噺家にとって初日が一番大事なんですが、初日に弟子がいないと思ったなら、その時に言えばいいじゃないですか。それをあえて放っといて８日目まで黙っていて、キレる。これはもうキレるために意図的に仕組んだなと気づきました。人を試す人なんだと。随分前から心は離れていましたけど、初めて『はい、わかりました』と、破門を受け入れました」</span></p>
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<h3><span class="strongInContent">師匠との戦いの日々</span></h3>
<p><span class="strongInContent">「そもそも圓歌の理不尽で破門させられたわけです。だから、どこか別の師匠のもとについて再起を図ろうと思いました」</span></p>
<p>ところが、２月24日、圓歌本人から天歌の携帯にショートメールが届く。内容は、</p>
<p><span class="strongInContent">「２月中に詫びがない時は破門とす」</span></p>
<p>とある。</p>
<figure id="attachment_268916" aria-describedby="caption-attachment-268916" style="width: 1532px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7169a58f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/045de1816104d0eca2ee889d37069d7c.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268916" class="wp-caption-text">２月24日に圓歌から天歌に届いたショートメール。まだ破門してないことになっている</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「あれ？と、思いました。まだ破門されてないのか？って。正直、意味がわからなくて、少し頭が混乱しました。というのも、破門を言い渡された際、僕は受け入れましたから。僕側に非はないので謝罪もしていません。当然、師匠は落語協会に僕の『破門届』を出したとばかり思っていたので」</span></p>
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<p>師匠が弟子に「破門」を言い渡し、落語協会に「破門届」を出して協会が受理することによって、初めて弟子の「破門」が成立する。つまり、「破門届」が出されない限り、師弟関係は続いているのである。そして、26日には弟弟子より天歌にメールがくる。その内容は、</p>
<p><span class="strongInContent">「師匠からの伝言です。『俺は、２月中にとは言ったが、今年とは言ってない。来年も再来年も２月は来る』　師匠は来年も再来年も待つそうです」</span></p>
<figure id="attachment_268964" aria-describedby="caption-attachment-268964" style="width: 502px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6d334aed"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/5c1c03ae343aecf9e0cee98785867933.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268964" class="wp-caption-text">弟弟子から天歌に届いたメールでは、「破門」の話がまるで冗談だったかのような言い訳が書いてある</figcaption></figure>
<p>これは、どういうことを意味するのだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「つまり、最初から破門にする気なんてなかったってことです。暴力で支配して、弟子が辞めそうになったら『破門』を盾に弟子を黙らせる。そういうことをずっと繰り返してきただけだったんです」（天歌）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="今度は数々の嫌がらせが..."></div>
<h3><span class="strongInContent">訴訟を決意</span></h3>
<p>そうして天歌は、訴訟を決意する。12年間にわたる暴言、暴力に対する謝罪と慰謝料の請求。さらに、破門を言い渡しているにもかかわらず、協会に破門届を出さないのは、『偽計業務妨害』にあたるのではないかと訴えた。３月30日付けで、圓歌と一般社団法人落語協会に対し、内容証明郵便を送付した。落語協会には、</p>
<p><span class="strongInContent">「圓歌の暴言、暴力、そして『破門』を何度も宣告するようなやり方を『後進の育成方法』として承認・黙認しているのか否か」</span></p>
<p><span class="strongInContent">「パワーハラスメント等の防止に関する普及・教育活動を行うことについてどのように考えているのか」</span></p>
<p>の２点を問う内容となっている。</p>
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<h3><span class="strongInContent">落語協会会長へ告発</span></h3>
<p>４月12日、圓歌の弁護士から天歌の弁護士に電話が入り、「圓歌の元に戻る気はないか？」と問い合わせが来たが、天歌の弁護士は「戻る気はない」と返答。その二日後に、内容証明の質問事項に対する回答書が届く。だが、その内容は、師匠と弟子の精神論を書き連ね、話し合いで解決するよう『お願いする』という内容になっており、過去の暴力行為に対する謝罪は一切なかった。</p>
<p>５月10日、今度は、落語協会からの回答書が届く。それによると、</p>
<p><span class="strongInContent">「会員に対して、夏の寄合などの場で、パワーハラスメントの防止を含むコンプライアンスの遵守を呼びかけている」</span></p>
<p>との回答であった。しかし、「夏の寄合」は、会員が揃いの浴衣を着て行われる親睦会に過ぎず、天歌自身も何度も参加しているが、パワーハラスメントに関する講義などは一切行われたことはないという。</p>
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<p>その後、６月10日に協会会長の柳亭市馬（60）と、協会事務局長、協会弁護士、そして天歌と、天歌の代理人弁護士の５人で話し合いが行われた。その席で、市馬は、</p>
<p><span class="strongInContent">「（圓歌が）言うことを聞くかどうかは、わからないよ。ただ、まあ、弟子を持つ師匠たちは…まあ…ゲンコツみたいなこういうことしたらね、そりゃあもう、あり得ないことだよ。今の世の中ね」</span></p>
<p><span class="strongInContent">「我々が圓歌さんに『行き過ぎでしょ。ちょっと』と、言うことはできる。できるんだけれども。うーん。それを再三再四聞かなければ、そりゃまた、えー…理事としての資格を、資格がないと考えるよ」</span></p>
<p>と、天歌に語っている。加えて協会弁護士は、天歌の主張は「法的に見ても正しい」と発言。つまり協会弁護士は、圓歌が天歌に対し２月に「破門」を言い渡したにもかかわらず、現在に至って破門届けを協会に提出しないのは、「偽計業務妨害にあたる」と認めているのである。しかし、現時点で協会がこの件について具体的に対応をしている様子はない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="落語協会の答えは…"></div>
<h3><span class="strongInContent">圓歌による数々の嫌がらせ</span></h3>
<p>その１週間後、圓歌から直接、天歌の携帯にメールが届く。</p>
<p><span class="strongInContent">「廃業届を私に出してください。それがないと破門届が出せません」</span></p>
<p>とある。これは落語界に詳しい人であればわかるのだが、明らかな嘘である。</p>
<p>本来「廃業届」とは、落語家を廃業し、協会から脱退するときに出すもの。もし廃業届を出してしまうと、協会には残れず、落語家としての再起は困難になる。それに対して「破門届」は、師匠が弟子の「破門」を協会に出すもので、受理されれば師弟関係は解消されるが、協会員として残ることができる。ハードルは高いが、他の師匠のもとで再起を図る道もある。</p>
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<p>その事実を協会理事の圓歌が知らないはずはなく、圓歌は天歌を協会から追い出そうとしたのではないかと考えられる。さらに圓歌は、</p>
<p><span class="strongInContent">「宮崎の親御さんに会いに行きます」</span></p>
<p>と、天歌にメール。この件に関し、事前に天歌の弁護士が「当人同士連絡を取らない」「天歌の実家に通知を行なわない」ように、内容証明で通知している。それにもかかわらず、その翌日、圓歌は天歌の実家へ直接電話をかけている。そこで圓歌は天歌の父親に、</p>
<p><span class="strongInContent">「今回の天歌の動きは、小さい頃にいじめられていたからではないか」</span></p>
<p>と、いたずらに親を不安に駆り立てる発言をしたという。</p>
<figure id="attachment_268917" aria-describedby="caption-attachment-268917" style="width: 506px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8420799e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/8120a6424be69c703123f1c83a269845.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-268917" class="wp-caption-text">圓歌と天歌のメッセージのやりとり。「廃業届けがないと破門届を出せない」とあるが、そのような事実はない</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">最後に訴えたいこと</span></h3>
<p><span class="strongInContent">「僕はこの12年間、ことあるごとに暴言を吐かれ、暴力を振るわれてきました。圓歌から破門と言われるたび、人生が終わったという絶望感を何度も味わった。それでも歯を食いしばって圓歌についてきました。今回の件の後、僕のことを慰めてくれる先輩もいます。でも、その言葉は、『お前、十何年も我慢してきたじゃないか。頑張ってたじゃないか。どうして、もっと我慢できないんだ？』といったものです。</span></p>
<p><span class="strongInContent">立場が上の者に逆らえないから、業界は被害者の我慢を当たり前とするんです。でもいい加減、指導の名のもと手を上げ続けた加害者を非難すべきです。でも落語業界にいる人間は、立場が上の者に逆らえないんです。もちろん、落語家は続けたいです。でも、一度、師匠に反旗を翻した弟子をとってくれる他の師匠がいるとは思えません。改めてですが、師匠と弟子の関係だから、暴力は当たり前というその考え方は絶対に間違いだと思います。落語業界もこの事実に真剣に向き合うべきでしょう」</span></p>
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<p>落語協会会長の柳亭市馬の事務所は、取材に対し、</p>
<p><span class="strongInContent">「他の師匠と弟子の関係についてコメントを出すことはない」</span></p>
<p>と、回答。</p>
<p>落語協会事務局も返答を避けた。</p>
<p>いまだ圓歌は、天歌の「破門届」を提出している形跡はなく、落語協会の理事の座にもとどまっている。天歌の本当の戦いはこれから始まる。</p>


師匠の四代目三遊亭圓歌（左側）と、弟子の三遊亭天歌（右側）（一般社団法人落語協会ホームページより） 〈憧れの落語家に入門したら、そこから始まったのは「暴力と暴言」の毎日だったーー。前編「落語界の名跡『

三遊亭圓歌の「壮絶パワハラ」を弟子が実名告発しようと思ったワケ

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