新宿・花園神社「酉の市」がホスト&ホス狂いの”狩り場”なワケ | FRIDAYデジタル

新宿・花園神社「酉の市」がホスト&ホス狂いの”狩り場”なワケ

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和4年、歌舞伎町はいま……第34回

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昨年の「酉の市」の様子。歌舞伎町住人も毎年多数参加する
昨年の「酉の市」の様子。歌舞伎町住人も毎年多数参加する

11月3日から、新宿・花園神社で計6日間にわたって「酉の市(大酉祭)」が開催される。歌舞伎町の住人たちにとってもこの祭りは一大イベントで、キャバクラ嬢が客と同伴で出かけるだけでなく、ホストクラブでは幹部総出で熊手交換の儀式を行い、そのまま祭りでの飲酒になだれ込む。

コロナ渦で過去2年間は縮小気味だった酉の市だが、今年はかなりの盛り上がりが予想される。歌舞伎町ホスト歴6年目のダイ(27、仮名)が言う。

「酉の市ってホスト、キャバ嬢、ホス狂が一堂に会する場なんですよ。店舗の違うホスト同士が再会を喜んだりもするし、昔のお客さんとか、前に仲良かった女の子に再び会えるチャンスでもある。言うならば、歌舞伎町住人の同窓会みたいな感じすね」

ホストにとって酉の市は、「狩りの場」でもあるという。

「売掛(うりかけ)(店への借金)を払わずに飛んだ客の女を見つけることもあります。俺のLINEに『〇〇の母です、娘は事故で亡くなりました』ってメッセージを送ってきて以来、音信不通だった客がいたんですけど、ピンピンして祭りでたこ焼き食べてました(笑)。そういう奴を捕まえて売掛を回収するのも、酉の市では見かける光景です」

祭りという非日常空間で飲む酒で気が大きくなり、可愛い子をホストがナンパし、その様子を自分の客に目撃され喧嘩が始まる……というのも毎年恒例だ。

一方、ホス狂にとっても、酉の市は重要なイベントだという。

「酉の市で、担当(指名しているホスト)を尾行したことあります」

そう語るのは、ホス狂歴3年になるユミカ(21、仮名)だ。

「勤務先のデリヘルには出勤していることにしてもらって、酉の市に行ったんです。担当はSNSに『男同士で酉の市来ました!』って投稿していたけど、怪しいなと思って。前からプライベートで付き合っている女がいるって噂も聞いてたんで……。花園神社を歩き回って探し出したら、やっぱり店で見たことない女と一緒でした(笑)。私がデリやって貢いでいるのにカネにならない女と会ってるんだな〜って思ったら一気に冷めたんで、後ろ姿写真に撮って店の掲示板にアップしてやりました」

あっけらかんと笑うユミカは、今年も酉の市に行く予定だという。

「いま指名している担当が誘ってくれたんで、一緒に行きます。今年の酉の市って6日間あるじゃないですか。だからホストも従業員と行く日、女の子と行く日、とか分けてたりするんですけど、女の子との日を勝ち取れたので優越感ですね。前の担当と会うかもしれないと思うと、若干気まずいですけど(笑)」

「トー横キッズ」の低年齢化も最近の歌舞伎町ではトピックとなっている。どう見ても中学生か小学生としか思えない少年少女たちが路上でたむろしている姿をよく見かけるが、彼らもまた、酉の市に足を運びそうだ。

「最近、歌舞伎町に憧れを抱いている若い子はめっちゃ多いですからね。地雷ファッションを着たいかにもな子だけじゃなく、制服姿のマジメそうな女子高生とか、子連れの若い親が普通にいるんですよ。今年の酉の市は、例年以上にいろんな人が来そうな予感がします」(前出・ホストのダイ)

盛り上がりすぎて、何か事件が起きなければいいが。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。

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『FRIDAY』2022年11月11日号より
  • 取材・文佐々木チワワ写真共同通信社

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