<figure id="attachment_273010" aria-describedby="caption-attachment-273010" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="487c39c9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/2bf79b3787bacf6064d9a0bceef53792.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-273010" class="wp-caption-text">育てた品種は’18年に鳥取県で開発された「星空舞(ほしぞらまい)」。見た目が透き通っていて「星のように輝くお米」だ（撮影：西田泰輔）</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「鳥取に移住してきてちょうど１年。今年５月に田植えをした稲を９月に初めて収穫できました。小さな稲穂がついたときは本当に嬉しくて……。思わず写メ撮って、巨人時代にお世話になった原辰徳監督に送りました。収穫したコメも食べましたが、今まではお腹を満たすだけのコメがこんなに甘いと思わなかった」</span></p>



<p>鎌を片手に声を弾ませるのは広島、巨人で左腕として18年活躍した川口和久氏（63）だ。引退後、野球解説者になり、’11年から巨人の投手コーチをつとめた。巨人に移籍してから26年間、神奈川県川崎市に住み、東京を拠点に仕事をしていたが、昨年10月、故郷・鳥取に戻った。</p>
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<p><span class="strongInContent">「女房の何気ないひとことがきっかけでした。２年前の11月、鳥取で私の母の納骨があったとき、お墓の目の前の田んぼを見て、女房が『ここでおコメを作りたい』と言ったんです。 それまでも人生の節目で、女房の言葉に背中を押されてきました。’94年にＦＡ権を取得したときも、私自身は広島に骨を埋めるつもりでしたが、女房の父が当時、ガンに侵されていて『父を近くで看たい』という気持ちに応えたくて移籍に踏み切りました。選手生活の晩年、私が引退を考えたときも『今まで頑張ってきたじゃない』という言葉が決め手になった。今回、彼女が見つけた鳥取の田んぼは私の親戚の持ち物でしたし、私自身もマンネリ化していた関東での生活から離れるのもいいな、と考えました」</span></p>



<p>しかし、移住するまで妻・淳子さん（61）は農業体験ゼロ。川口氏も鳥取にいた18歳までは農家だった母の実家の田植えや収穫時期に手伝う程度。プロ野球では通算139勝の実績を残しても、コメ作りの世界では″新米″だ。農家に婿入りした兄・木村秀明氏（66）のアドバイスを受けながら、野球解説の仕事をつづけつつ、コメ作りをはじめた。</p>



<p><span class="strongInContent">「コメを育てるには水の管理が大切。水を入れすぎてしまうと、太陽の光で温まってしまい、根が枯れる要因になるからです。兄のアドバイスで、暑い日が続いた夏も一時的に田んぼの水を抜き、数日後に水を入れなおすと驚くほど一気に稲が伸び、それを３〜４回、繰り返しました。 ストレスを与えて負荷をかけて、試練を乗り越えたご褒美をあげると、ぐっと成長する。コメも人間も育てる極意は同じだ、とわかったときに奥の深さを感じました。だから仕事で東京にいる時間が続くと、田んぼが気になってね……」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="鳥取で見つけた「新しい夢」"></div>



<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"> </div>
<p>川口氏の自宅は鳥取空港から車で５分ほど。１時間20分も飛行機に揺られれば羽田空港に到着する。関東に拠点があったころは仕事は車移動。千葉にあるＺＯＺＯマリンスタジアムまでの往復だけで３時間かかったこともあった。しかしこの夏は、ナイターの解説の仕事が終わった日に東京で１泊し、翌日の早朝６時台の便で鳥取に戻っても、まだ朝の８時台。すぐに身支度して、日が暮れるまで田んぼにいた日が多かった。</p>
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<p><span class="strongInContent">「鳥取県の平井伸治(しんじ)知事から、移住定住の促進やスポーツ振興に向けて情報発信する大使に任命されたので、野球解説やコメ作りの合間にＰＲの仕事も入る。先日は鳥取砂丘で撮影がありました。東京にいるときより忙しいよね（笑）」</span></p>



<p>鳥取で新しく見つけた夢がある。</p>



<p><span class="strongInContent">「３年前、イチローと同じ時期にアマチュア指導者資格をとれたのでこの夏、初めて鳥取の高校野球の解説をやらせてもらいました。正直、鳥取のレベルは高いとは言えないので、レベルを上げたい。そのために、まずはいい投手を育てたい。いい投手がいるといい打者が生まれてきますから」</span></p>
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<p>鳥取県勢は春の甲子園で’81年に倉吉北がベスト４に入って以来、今年まで春夏あわせても甲子園のベスト８にすら入れない状況が続く。還暦を過ぎて故郷に戻った川口氏の目は現役時代のマウンド上と同じ輝きを放っている。</p>
<figure id="attachment_273011" aria-describedby="caption-attachment-273011" style="width: 699px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ee5d448e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/31d9d984fc7acfd275a224e71973ad84.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-273011" class="wp-caption-text">左腕エースとして活躍した広島時代。FA権を行使せずに残留していたら鳥取に移住していただろうか（写真：共同通信）</figcaption></figure>

<figure id="attachment_273012" aria-describedby="caption-attachment-273012" style="width: 1020px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4149b212"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/f0ddeae4cf2a8538be9f559cc78b5c94.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-273012" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　名投手がコメ作り 川口和久 「東京にいるときより忙しいよ！」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_273014" aria-describedby="caption-attachment-273014" style="width: 975px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="df4014d2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/d474a935d59d22d42f831378ea8a2e01.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-273014" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　名投手がコメ作り 川口和久 「東京にいるときより忙しいよ！」</figcaption></figure>


西田泰輔

広島、巨人で18年間活躍し、神奈川県川崎市で26年間過ごしていた川口和久氏が故郷・鳥取へ移住。コメ作りを始め、この秋、初めて収穫した。移住してはじめて東京では感じることができなかったことに気づいた。

名投手がコメ作り…川口和久「東京にいるときより忙しいよ！」

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