朝ドラヒロイン決定の趣里が向き合った「思い出したくもない過去」 | FRIDAYデジタル

朝ドラヒロイン決定の趣里が向き合った「思い出したくもない過去」

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’23年後期のNHK『朝ドラ』のヒロインに決定した趣里。水谷豊と伊藤蘭の娘としても有名だ
’23年後期のNHK『朝ドラ』のヒロインに決定した趣里。水谷豊と伊藤蘭の娘としても有名だ

’23年後期にスタートするNHK朝ドラ『ブキウギ』のヒロインを女優の趣里(32)が演じることが明らかになり、早くも大きな注目を集めている。

この作品は、戦後の大ヒット曲『東京ブギウギ』などで知られる“ブギの女王”笠置シヅ子をモデルにしたオリジナル作品。大阪の銭湯の看板娘から夢を追いかけ東京へ。明るく陽気に歌って踊るその歌声とメロディは、戦後の日本人に勇気と希望を与え国民的なスターに駆け上がっていく、その激動の生涯を描いている。

「趣里は、オーディションで『東京ブキウギ』を披露。制作統括の福岡利武氏は『歌も踊りも鮮やかで、パッと花が咲くようなステージだった』と絶賛。さらに演技についても『にじみ出るなんとも言葉では表現できない個性と魅力、芯の強さ、そして愛嬌たっぷりの笑顔が印象的でした』とベタ褒めでしたね」(ワイドショー関係者)

脚本を手掛ける足立紳氏も

「趣里さんの猫の目のようにクルクルと変わる豊かな表情と、ちょっとハスキーな声は、我々スタッフたちが考えているヒロインのイメージにピッタリ」

と高評価を与えている。

趣里の朝ドラヒロインへの挑戦は、今回で4回目。しかも年齢制限から、今回がラストチャンスとなるオーディションで見事、栄冠を勝ち取った。

趣里がドラマ『3年B組金八先生ファイナル〜「最後の贈る言葉」4時間SP』(TBS系)で女優としてデビューしたのは、20歳の時。いわば、遅咲き。実年齢よりも5歳下で金八先生に恋する中学生という難しい役どころをオーディションの末に掴んでいる。

「趣里は4歳からバレエを始め、15歳でイギリスのバレエ学校に留学。ところがアキレス腱断絶に足首の剥離骨折と度重なるケガに泣きました。帰国後、高卒認定試験を受け、大学に進学。リハビリをしながら練習に打ち込みますが、バレエを断念せざるを得ませんでした。

絶望に打ちひしがれ、『死んだ方がましだ』と思いつめていた趣里を救ったのが、演技学校『アクターズクリニック』を主宰する故・塩屋瞬さん。彼の存在なくして、女優・趣里は生まれていなかったかもしれません」(前出・ワイドショー関係者)

趣里の両親は、俳優・水谷豊と伊藤蘭。芸能界で生きていくなら、どうしても“二世”という言葉がつきまとう。

そんな趣里の苦悩を理解した上で、塩屋さんは

「お前は大丈夫だから頑張れ。女優を続けていけ」

と励まし、背中を押し続けてくれた。

「趣里は’16年の朝ドラ『とと姉ちゃん』(NHK)に出演して注目を集めると、その後も舞台を中心に演技力を磨き、’17年には話題のドラマ『リバース』に出演。狂気的な妻の役を熱演して爪痕を残すと、’18年には日曜劇場『ブラックペアン』(共にTBS系)でもクールな看護師役で反響を呼ぶ。そして、その年の11月。趣里の名声を不動のものにする映画『生きているだけで、愛。』が公開されます」(制作会社プロデューサー)

この映画は、本谷有希子の同名小説が原作。趣里が演じる寧子は躁鬱病を抱え、過眠に悩まされ引きこもっている主人公。ゴシップ雑誌の編集者である恋人・津奈木(菅田将暉)の部屋で同棲生活を送っているが、自分で上手く感情をコントロールできずに津奈木に当たり散らす日々を送っている。そんな寧子の前に、津奈木の元彼女・安堂(仲里依紗)が現れ、カフェでのアルバイトを無理やり決めてしまうといった展開をみせる。

「脚本を読み、エキセントリックで面倒臭いキャラクターの寧子役を“絶対にやりたい”と思ったと話す趣里。客観的に自分のこともわかっていながら変えられない。でも頑張ろうともがく姿が、“他人事には思えなかった”とも話しています」(前出・制作会社プロデューサー)

趣里の脳裏に浮かんだのは、バレエダンサーを目指すも夢破れ、失意のどん底にあった絶望の日々。クランクインを前に趣里は、関根光才監督を相手に過去の嫌だったこと、苦しかったことについて赤裸々に語り、“思い出したくもない自分自身の過去”と向き合った。

「この作品の後半、寧子が服を脱ぎ捨て感情を爆発させながら商店街を走るシーンは、趣里自身が苦しかったあの時代と向き合うことで生まれた名場面。全裸になり清々しい涙を流すその姿は、まるで後光が差しているようにも見えました。

この作品で趣里は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。女優として新たなステージに立つ瞬間でもありました」(制作会社ディレクター)

そんな趣里が、一体どんな朝ドラヒロインを演じるのか。早くも興味深いものがある。

「朝ドラ『ブギウギ』のモデルとなる笠置シヅ子について趣里は、『ステージの上ではとてもエネルギッシュ。でもその笑顔の裏側には、大変な思いがあった。その振り幅を自分と重ね合わせながら演じていけたら』とコメントしています」(スポーツ紙記者)

再び自分自身と向き合い、波乱に満ちた笠置シヅ子の生涯に挑もうとしている趣里。もし演じきることができたら、もはや“親の七光り”とは誰にも言わせないだろう…。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

  • 写真共同通信

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