1979年、神奈川県出身。幼少の頃からサッカーに親しみベルマーレ平塚（現湘南）の下部組織でプレーした経験を基に、04年からフリーランスのスポーツライターとして活動。サッカー、カーリング、メジャーリーグベースボールなどを中心に取材を続けている。2019年１月に出版された元日本代表・本橋麻里著『0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方 』(講談社現代新書)　では構成を担当

竹田 聡一郎

<figure id="attachment_274197" aria-describedby="caption-attachment-274197" style="width: 768px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7ddcd466"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/KNE4808.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-274197" class="wp-caption-text">ところ常南ビーチにて。「北海道の夏は短いので海に入ることはほとんどないです」という貴重なショット（撮影：長濱耕樹）</figcaption></figure>
<p>カーリングのワールドツアー最高峰のグランドスラム（GS）、「カナディアン・オープン」女子決勝が日本時間16日にカナダ・カムローズで行われた。2018年平昌五輪銅メダル、2022年北京五輪銀メダルのロコ・ソラーレが決勝で世界ランク１位のチーム・エイナーソン（カナダ）を５－３で下し、日本勢として男女通じて初めて優勝を飾った。</p>
<p>試合後、チームのブログで〈厄年メンバーが３人もいるなか、２０２３年が最高のスタートになりました。笑〉と喜びを語ったスキップの藤澤五月は今シーズンが開幕した直後の昨年9月、本誌「FRIDAY」の単独インタビューに応じ、氷を離れた素の自分をさらけ出していた。</p>
<p><span class="strongInContent">「休みは一瞬でした。予定を詰め込みすぎてお母さんに怒られました」</span></p>



<p>笑顔でこのシーズンオフを振り返るのはカーリング女子、ロコ・ソラーレの藤澤五月（31）だ。</p>
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<p>昨年２月の北京五輪で日本カーリング史上最高成績となる銀メダルを獲得し、テレビ中継の視聴率は上位を独占。同５月の日本選手権でも自身７度目の優勝を果たすなど充実のオリンピックシーズンを終えて迎えたオフは、軽井沢でゴルフをラウンドしたり、京都で寺社巡りを楽しんだ。だが、それもつかの間、オフの最中に、ＪＣＡ（日本カーリング協会）のアスリート委員会の委員長に志願して就任し、全国各地のトップ選手と意見を交わす日々。結局はカーリング中心という、彼女らしいオフとなった。</p>



<p><span class="strongInContent">「ＪＣＡには強化委員会、競技委員会、マーケティング委員会など様々なパートがありますが、アスリート委員会はそのすべてに関連してくる重要なセクションです。選手の意見に広く耳を傾けて、ＪＣＡとの架け橋になりたいですね」</span></p>



<p>志願するきっかけのひとつは北京五輪決勝での敗戦だった、と藤澤は話す。</p>



<p><span class="strongInContent">「日本代表として初めてオリンピック決勝まで進むことができて、それは喜ばしいことなんですけれども、そこで失敗もあったんです。前日にどういった過ごし方をするべきだったか、決勝に向けてどんな準備が必要だったか。それを経験させてもらった以上、自分たちだけの財産や反省にしてはいけないな、と。日本代表がまた同じ舞台に立てた時にその経験を活かさないといけないですから」</span></p>
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<p>そう力強く断言した直後、「でも、実際にはまだできていないことのほうが多すぎて……。カーリングだけしかしてこなかった代償を感じています。頑張らなきゃ」と申し訳なさそうに苦笑いするのも、根が真面目な彼女らしい。</p>



<p>一方、今季のロコ・ソラーレは８月からオンアイストレーニングを始め、地元・北見で行われた２大会に出場。ホームリンクの常呂町で開かれたアドヴィックス杯は国内では２年半ぶりの有観客ということもあり、「お客さんがいいショットに拍手で応えてくれて、嬉しかったです」とファンから力をもらった藤澤は好ショットを次々と決め、優勝を果たした。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="カーリング界ではよく知られている酒豪っぷり"></div>



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<figure id="attachment_274201" aria-describedby="caption-attachment-274201" style="width: 768px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4a14d3c4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/KNE6085.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-274201" class="wp-caption-text">地元の行きつけ寿司店「松寿し」にて</figcaption></figure>
<p>その数日後、常呂町にある「松寿し」に藤澤の姿はあった。「祝勝会や忘年会といった、チームで何か行事がある時はだいたいココ」というチームの行きつけであり、勝ちメシダイニングでもある。</p>



<p><span class="strongInContent">「基本的には大棋くんにお任せです。あんまり注文したことないかもしれません」</span></p>



<p>大将の渡辺大棋さん（45）は地産の海鮮や寿司はもちろん、もつ鍋、ドリアのほか、なんと二郎系ラーメンまで提供しロコ・ソラーレの胃袋を支えてきた。</p>



<p><span class="strongInContent">「さっちゃんは日本酒が好きなのでそれに合う肴(さかな)を出すことが多いですね。このオフは北京五輪の銀メダルや日本選手権優勝のお祝いもあって山形の銘酒・十四代を開けたのですが、美味しそうに呑んでましたね。すごく明るいお酒を呑む子です」（渡辺さん）</span></p>



<p>この日も秋田の人気酒・新政の「No.６」と知る人ぞ知る佐賀の能古見(のごみ)を幸せそうに空けたように、藤澤の酒豪っぷりはカーリング界ではよく知られている。</p>
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<p>「日本人たるものやっぱり日本酒です。海外での大会も続くのでなかなかじっくり飲む機会がないんです」</p>



<p>好きな銘柄はこの日飲んだ新政のほかには而今(じこん)、十四代だという。</p>



<p>「いつか酒造見学もしてみたいけれど、仕込みのある冬から春は試合があるから」と笑う。</p>



<p>行きつけの寿司店で英気を養った藤澤はカナダに渡航し、世界ランキング上位チームのみ出場できるグランドスラムに参加した。ベスト４まで勝ち進み、世界トップチームとしての実力を示している。</p>



<p>10月末からは日本代表としてカルガリーで行われるパンコンチネンタル選手権にも出場し、初代王者に輝いた。その後、1月28日開幕の日本選手権で連覇して弾みをつけ、3月にスウェーデンで予定される世界選手権での初優勝を目指す。</p>
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<p><span class="strongInContent">「選手をやっている以上、みんなそうだと思うんですけれど、グランドスラムも日本選手権も世界選手権も五輪も、全部勝ちたい。末っ子なんでワガママなんです、私。なんでも一番を獲りたい」</span></p>



<p>初めてカーリングストーンに触れたのは５歳の頃。家族の中で一番の実力者であった父親にも「根拠もなく、『勝てる。負けたくない』と本気で思っていました」という筋金入りの負けず嫌いだ。</p>



<p>その勝ち気な末っ子がキャリアを積み実績を残し、それらを還元すべくアスリート委員長として迎えた今季。世界一になった暁には、また新たな財産を日本カーリング界にもたらす。</p>



<p>◆藤澤五月　ふじさわ・さつき／’91年５月24日、北海道北見市生まれ。’18年平昌五輪の銅メダル、昨年２月の北京五輪での銀メダル獲得で世界的スキップのひとりとして数えられる存在に。趣味はゴルフと家庭菜園</p>
<figure id="attachment_274199" aria-describedby="caption-attachment-274199" style="width: 768px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="655646fc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/KNE5948.jpeg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-274199" class="wp-caption-text">サロマ湖にて。「都会よりも、お米とお酒の美味しい、自然が多い場所のほうが好きです」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_274200" aria-describedby="caption-attachment-274200" style="width: 768px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a4845644"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/KNE6071.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-274200" class="wp-caption-text">ビールで乾杯してから日本酒に移行するのがいつもの呑み方だとか。好物は寿司、天ぷら、ジンギスカン、あんこ。嫌いな食べ物はほとんどない</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_274193" aria-describedby="caption-attachment-274193" style="width: 768px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="29ba4c58"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/dd8752e29d989e477ed3e876417cfedd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-274193" class="wp-caption-text">北京五輪の表彰式後。初出場だった平昌より「他競技をテレビ観戦するなど楽しむ余裕があった」</figcaption></figure>
<p><a href="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/KNE5948-1.tif"><a href="#" data-ident_hash="48d7732d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/KNE5948-1.tif" alt=""></a></a></p>


竹田聡一郎

長濱耕樹、共同通信社（表彰式）

カーリング女子のロコ・ソラーレが初の快挙だ。カナダで行われたワールドツアー最高峰のGSで初優勝。スキップの藤澤五月は今季開幕、FRIDAYの単独インタビューで氷を離れた素顔を披露していた。

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