<p><a href="#" data-ident_hash="c46b91bd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2022092612587.jpg" alt=""></a></p>
<p>４年に１度のサッカー世界一の国を決めるワールドカップが20日、中東のカタールで開幕する。そんななか日本代表メンバー26選手として選出されたのMF久保建英（21）。今季、スペイン１部リーグのレアル・ソシエダードの主力として起用されているが、代表での評価はトップレベルではなく、森保一監督（54）が定めた「序列」も低い。10月下旬に左肩を亜脱臼しており、代表選出は安泰ではなかったが、周辺を取材していくと、ある「相思相愛関係」が浮かび上がった。</p>
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<h3>21歳で初めてW杯にピッチに立った中田英寿と比べると</h3>
<p>W杯のメンバーに初めて選ばれた久保はチーム最年少の21歳だ。あの中田英寿氏が初出場した1998年フランスW杯で初めて大舞台に立った時も同じ21歳だった。</p>
<p><span class="strongInContent">「久保くんは確かにうまい。フランスの時に２１歳だったヒデ（中田英寿氏）はうまい上に強かった。決して相手のプレッシャーに負けてプレー中に倒れることはありませんでした。だから代表でも認められた。しかし、久保くんには強さを感じません。強い選手だったらレアルマドリードだってレンタル移籍には出しませんから」（W杯出場経験のある代表OB）</span></p>
<p>森保監督はW杯向けたチーム作りを4年間継続して行ってきた初めての日本人監督だ。スター選手や主力を固定しない編成方針を続けた。選手選考における「序列」もブレなかった。それは今回選出された２６選手を見れば明らかだ。久保の技術とドリブルに対しては二重丸をつけているが「もっと突き抜けてほしい」「９０分フル出場をしてほしい」という注文をこの４年間で森保監督は何度もつけた。</p>
<p><span class="strongInContent">「フィジカルが弱い」</span>―。この指摘に久保本人は自分が倒される場面は<span class="strongInContent">「ほとんどファウルなので。今のフィジカルで（十分）やれている」</span>と力説する。</p>
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<p>久保の主戦場のポジションは司令塔と呼ばれるトップ下（攻撃的MF）だ。目前に迫ったカタール大会でこのポジションの「序列」ではドイツ・フランクフルトで活躍を続けてきた鎌田大地がトップに浮上した。２番手は、鎌田の前までトップ下を務めた南野拓実である。レフティの久保にとって、２列目では右サイドの方が利き足の左足でプレーする幅が広がりボールを動かしやすく、久保でなくても左利きの選手は右サイドで起用されることが多い。だが、このポジションは苦戦したW杯アジア最終予選でゴールを量産した伊東純也が勝ち取った。</p>
<p>左サイドの１番手は南野で、２番手として途中出場でゴールを上げ続けている三苫薫の評価が急上昇中。東京五輪世代で同じレフティーの堂安律も右サイド、左サイド両方こなせて、<span class="strongInContent">「久保とプレースタイルがかぶる部分が多い」</span>（ベテラン記者）という見方があり、久保のMF陣での「序列」は６、７番目が妥当だ。</p>
<p>９月のドイツ遠征（対米国戦）で久保は左サイドで先発。久保にとってはこのポジションでの最終試験でもあったが、強豪・米国相手に２−０で完勝したこともあり、そのことが滑り込みで代表に入った理由の一つではある。</p>
<p>ただ、サッカー専門誌の多くは11月１日のW杯日本代表発表前から、久保の代表入りを「有力」ではなく「当確」と書く媒体が目立った。それはなぜか。日本代表のレプリカユニフォームの売り上げと密接な関係があり、久保の代表入りに、このユニフォームの売上の大きさが一役をかった可能性が高いのだ。</p>
<p>W杯にむけて、サッカー日本代表のユニホームは３年ぶりに一新され、日本の伝統工芸「ORIGAMI（折り紙）」を基本にしたデザインが施された。そのレプリカユニフォームは８月29日から販売がスタートした。</p>
<p>販売から２か月あまりが経ったころ、同代表のマーケティングを担当する電通関係者がこう告白した。</p>
<p><span class="strongInContent">「ここまでの売上のトップ３は久保建英、伊東純也、南野拓実です」</span></p>
<p>このレプリカユニホーム販売戦略は、実力で「序列」の１番目を勝ち取ってきた伊東、南野ではなく、「久保建英プロジェクト」といえるほど、久保中心で展開されてきた。試合のパフォーマンスが最終的なメンバー選びに大きく関わるとされた9月のドイツ遠征の前に、スペインの現地から久保だけが早朝にも関わらずオンラインでゲストで出演した。</p>
<p><span class="strongInContent">「僕は本当に申し訳ないですけど、折り紙が苦手で‥手先が不器用なので」</span>と普段の久保よりは肩の力が抜けたトークを自ら展開して会場を沸かしていた。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="2002年W杯のときの売り上げは80億円"></div>
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<figure id="attachment_274704" aria-describedby="caption-attachment-274704" style="width: 1818px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="52ee276a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/1874fd51fa24f34b4d8efa3faf731b1a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-274704" class="wp-caption-text">日本代表の予想フォーメーション</figcaption></figure>
<h3>「僕は腹を括っています」</h3>
<p>レプリカユニホームの売り上げは日本サッカー協会（JFA）にとって今も「ドル箱」の一つである。２００２年日韓大会では今季限りで現役を引退した中村俊輔氏（４４）を販売戦略のPRモデルに立てた。日本初開催となったサッカーW杯とトルシエジャパンの快進撃も重なり、サッカー日本代表のユニホームは６０万着以上売れたと言われ、この年の代表的なヒット商品にもなった。当時１枚・１万４０００円だったレプリカユニホームの売り上げだけで、なんと８０億円を超えた計算になる。</p>
<p>ユニフォームを製造するアディダス・ジャパンは1999年からJFAとサプライヤー契約を結び、W杯２大会ごとに契約が見直されてきた。現在続いている2022年12月末までの契約も約７年間で総額２５０億円を超えるといわれ、各スポーツ団体が羨む超大型契約だ。この金額以上のオファーをライバルメーカーのナイキ社が日本協会に提示したことがあったが、<span class="strongInContent">「JFAとアディダスとの関係は金額だけで繋がっているわけではない」</span>と当時の日本協会幹部がこれを蹴った。それだけ厚い信頼関係が続く、相違相愛の間柄なのだ。</p>
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<p>久保とアディダスとの関係もこれに負けてはいない。２０１４年、１３歳の時のバルセロナの下部組織に在籍していた時に、スペインのアディダス社とスパイク契約を結んでいる。だがスペインから帰国してFC東京に在籍した２０１８年１月から３月末にかけて黒塗りのナイキスパイクを履いて、そのこと自体が話題をさらった。</p>
<p>昨年の東京五輪ではグループリーグで３試合連続ゴールを挙げた。３戦目となった7月28日のフランス戦直後のテレビ中継のフラッシュインタビューで<span class="strongInContent">「（映すのは）上半身だけでいいですか？（足元をさしながら）多分、スポンサー的にまずいんで」</span>と発言。隣にいた吉田麻也主将は「絶対、足は映んないよ」と念をおす一幕があった。アディダス以外のシューズが久保の足元にあり、それが自分と一緒にテレビに映りこむリスクに配慮した発言は、契約するアディダスにとっても有難い話だろう。</p>
<p>W杯日本代表に選ばれる前の8月下旬、ユニフォーム発表会で久保は<span class="strongInContent">「僕は腹をくくってます」</span>と危機感を感じさせるコメントを残した。日本代表にはずっと選ばれ続けてきたものの、文句なしの実力というわけではなく、10月下旬に左肩を脱臼した影響もあり、今も体調が万全でない中での選出だった。置かれている立場は、久保が一番よくわかっているはずだ。その久保がつける背番号は１１番。日本が悲願のW杯初出場となった１９９８年フランス大会の土壇場で選外となった三浦知良が愛してやまない番号である。代表の背番号は選手本人の希望は募るが、拒否権もある。日本協会関係者はこう明かす。</p>
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<p><span class="strongInContent">「代表では誰もがカズさんを特別視する見方もあるのでしょうか、フランスW杯以降、１１番をつけることに恐れ多いと感じてつけることに必ずしも積極的ではない選手が多かったのですが、久保は違いました」</span></p>
<p>久保がW杯日本代表に選ばれたことで、レプリカユニフォームが売れる可能性は続き、結果的に日本サッカー協会も潤う。あとは久保が序列を覆す活躍をピッチ上で見せれば、アディダスとJFAと真の意味で「WinWin」の関係になることは間違いないのだが……。</p>


10歳からスペインの世界的名門バルセロナの下部組織に入り、注目を浴びてきた久保建英がW杯日本代表に初めて選ばれた。だが久保の代表入りに一役をかったのは実力以外のほかの要素が大きく関わっていた。

久保建英が日本代表に滑り込んだ「もうひとつの理由」

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