<figure id="attachment_275439" aria-describedby="caption-attachment-275439" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="16b754b9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2021021805919.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275439" class="wp-caption-text">2021年の春季キャンプで仲良く話す、左から涌井秀章、田中将大、松井裕樹。田中の残留によって涌井の野球人生に転機が訪れた（写真：共同通信）</figcaption></figure>
楽天・涌井秀章投手と中日・阿部寿樹のトレードが15日、両球団から発表された。
先発投手の厚みを増したい中日と、右打者を強化したい楽天の思惑が一致して成立した交換トレードだ。しかし、プロ通算154勝、在籍３球団ですべて最多勝利を飾った初めての投手で2009年には沢村賞まで獲得した年俸１億1000万円の投手とタイトル経験のない年俸3600万円の打者では「格差」がある。戦力的に中日が涌井を欲しがったことと同じぐらい、楽天にも涌井を放出せざるを得ない事情があった。
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あるスポーツ紙記者はこう明かす。
「トレード決定を受けて取材に応じた楽天・石井一久監督によると、中日から楽天側に話を持ち掛けられて、その話をまず涌井に伝えたようです。石井監督は現役時代、涌井と西武で一緒に戦った仲間ですし、ロッテから楽天に金銭トレードで移籍するときも、楽天でGMだった石井監督の存在が大きかった、といわれています。
そういう間柄なので、石井監督は涌井の気持ちを尊重した上で『（涌井が）了承したのでトレードが成立した』と話しています。楽天が中日から獲得した阿部は内、外野両方ともできるユーティリティー選手で楽天の補強ポイントでもある右打者です。おもに主砲のビシエドの前後を打つ３番、５番を任され、今季はチームで２番目となる９本のホームランを打ちました。でも若返りを図りたい中日は、来季４年目を迎える石川昂弥を育て、高橋周平の復調を促したかったので、来年33歳になる阿部は必ずしも積極的に使いたい選手ではなかった。結果的に両者の思惑は一致したんです」
プロ18年目を終えた涌井は今季、開幕二軍スタートだった。右のエース格、則本昂大が新型コロナウイルスに感染したことで急遽、一軍に昇格したものの、５月に右手中指を骨折し、長期離脱。シーズンの登板数は自身ワーストの10試合にとどまり、４勝に終わった。今季の働きぶりだけでいえば阿部のほうが上だが、これまでの実績を比べると、年俸１億を超える涌井と3000万円台の阿部では「格差」があると言わざるを得ない。ただ、パ・リーグの球団関係者はこう明かす。
「楽天の今オフは田中将大の去就に注目していました。アメリカから帰ってきて２年契約の最終年だった田中が残るのか、移籍するのか。田中はアメリカに再び挑戦する可能性も取りざたされていましたが、楽天に残留した場合は涌井は楽天に残れないのではないか、という噂は以前から聞いていました」
涌井が本来の調子を取り戻せれば、田中や岸孝之、則本らとローテーションの一角を争える力はありそうだが、楽天は別の事情を抱えていた。ベテランの野球記者が明かす。
「お金の事情があります。楽天は球団を創設して20年に満たないのですが、今年の選手の年俸総額はソフトバンク、巨人に次いで３番目に多いんです。田中が日本に帰ってきたこの２年間で日本一が期待されましたが、１年目は３位、２年目の今年は４位でした。
この２年間は楽天に限らず、どの球団もコロナ禍で入場料収入が入らず、楽天は思ったような結果を出せなかったことで、グッズの収入も伸びなかった。
日本シリーズに出られていれば第４戦までは入場料や放映権料などのうち、経費をのぞいた金額の一部を「分配金」として割り当てられるため、出場するだけで１億円近い「臨時収入」を見込めたのですが、それも入らなかった。そんな事情が重なって楽天はこのオフ、選手の総年俸をおさえにかかっているんです。浮かせなくてはいけない額は６億円と聞いています」
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先日、楽天残留が決まった田中は３億円を超える減俸という報道があった。さらに、来年18年目を迎える銀次も年俸１億1000万円から4000万円ダウンを飲み、7000万円で契約。中日から加入してきた阿部に対して仮に年俸5000万円払ったとしても涌井との差額6000万円が浮くため、この３人だけで４億円浮かせた計算になるのだ。
<div data-friday-nextpage-lead="囁かれてきた涌井の「素行」"></div>
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<figure id="attachment_275440" aria-describedby="caption-attachment-275440" style="width: 994px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cf3639a3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2022111504949.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275440" class="wp-caption-text">トレードが発表された楽天・涌井と中日・阿部</figcaption></figure>
ただ、涌井の放出はお金の事情だけでなく、未来を見据えたチーム構想の側面もあるという。ある球団OBが明かす。
「涌井以外で今年投げた楽天の右ピッチャーは田中や岸、則本と充実していますが、全員30代。次代を担う右投手を台頭させないといけない時期にきています。左は早川隆久、藤井聖と出てきていますが、右投手は20代の瀧中瞭太や藤平尚真、高田孝一に対する期待はあるものの、『田中のレベルに行ける』と期待できるレベルにはまだ来ていない。
目の前の１勝だけを考えると、涌井は確かにいてほしい選手ではあるけど、あれだけ実績のある選手がチームにいれば、現場の監督は使わざるを得ない。そうしたら若い選手の一軍登板機会を奪うことになります。今回の中日からのトレード話は、まだまだ投げたい涌井にとっても、若手のチャンスを広げるために涌井の環境を変えてあげたいと考えていた球団にとっても『渡りに船』だったと思いますよ」
涌井には球界内で囁かれていた“素行の問題”もあったという。前出の球団OBが明かす。
「よく練習するし、よく走るけど、お酒もよく飲むんです。裏方さんなどともお酒を飲みながら分け隔てなく付き合い、スタッフ用に冷蔵庫を寄贈するような男なので、慕っている裏方さんも多いんですが、ロッテ時代には遠征先でお酒を飲みすぎてしまって翌日の練習に遅刻し、当時の井口監督の心証を悪くした、という話も聞きました。
コロナ禍の２年間はどの球団もキャンプ地や遠征先で選手は外出禁止で、部屋でくつろぐことを強いられてきましたが、お酒が好きな涌井は若い選手を自分の『部屋飲み』に誘っていたこともあったようです。ただ今の若い選手はあまり飲めない子が多いので、戸惑っていた。今回のトレードは、伸ばしたい若手に“悪影響”が出る前に、球団として手を打った、という見方もできるんです」
これまで数々のピンチをポーカーフェースで切り抜けてきた涌井は、ざわつく周囲をこれまで同様、結果で黙らせることができるだろうか。
<figure id="attachment_275441" aria-describedby="caption-attachment-275441" style="width: 768px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c64a2ad2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2019122301119.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275441" class="wp-caption-text">2019年、入団会見で笑顔を見せる涌井と当時の石井一久GM（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_275518" aria-describedby="caption-attachment-275518" style="width: 913px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1bbc99e6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/5119b6ac79198d163630c3b95d96c4f9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275518" class="wp-caption-text">2022年のプロ野球12球団の選手総年俸。楽天はトップ３に入っている（写真：共同通信）</figcaption></figure>

楽天・涌井秀章投手と中日・阿部寿樹のトレードが15日、両球団から発表された。中日から持ち掛けられた話だが、楽天にも実績十分の涌井を放出せざるを得ない裏事情があった

楽天が沢村賞投手・涌井を放出「電撃トレード」が実現した裏事情

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