<h3>『餃子の王将』の原点の味を、ここ『格安王将』で…</h3>
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あなたは、『餃子の王将』派ですか？『大阪王将』派ですか？ 私はどちらでもない、「もう一つの王将」派です。と言っても全国の皆さんは「それどこ？」と思うでしょう。しかしあるんですよ、大阪には『格安王将』という第三の王将が。
<figure id="attachment_275988" aria-describedby="caption-attachment-275988" style="width: 4187px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2da97d04"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/2_IMG_2626.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275988" class="wp-caption-text">「都島店」と書いてありますが知る限り店舗はここにしかありません</figcaption></figure>
場所は「都島」という大阪でも相当マニアックなエリア。大阪メトロ谷町線の都島駅と野江内代（のえうちんだい）という難読駅のちょうど真ん中ぐらいの大通り沿いにあります。
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中に入ると、大型のテレビで外国の映画を放映しています。昼なのにビールを飲んでいる常連らしき人がいますが、大阪では普通の光景なのでさほど驚きません。
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見よ、このメニューの多さを！ 奥さんに聞くと「150ぐらいあるんちゃいますかねえ。数えたことないけど」とのこと。餃子、八宝菜、酢豚…などは普通ですが、「もつ鍋」「ステーキ」「カツオのたたき」「海鮮玉子とじ丼」など王将とはかけ離れた雑多なメニューがズラリと。
「何作りましょう」と奥さんに聞かれたので「とりあえずカツオのたたき」と伝えましたら、奥から「今日のカツオは色が悪い」とご主人の声が。「ほな自分の作りたいもん作ったらええやん」と奥様がブツブツぼやき始めたので、「すいません、いいです」と喧嘩勃発を食い止めた平和主義な私。
<figure id="attachment_275991" aria-describedby="caption-attachment-275991" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="eacab24b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/5_IMG_2510.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275991" class="wp-caption-text">写真は2人前。普通サイズはなく、ジャンボ餃子のみです。あとはしそ餃子、チーズ餃子など変わり餃子も</figcaption></figure>
なのでジャンボ餃子を注文。1皿6個で270円。餃子の王将より少し高いですが、餃子の王将より大ぶりです。ほどよく羽根が付いた焼き加減、実に美しいビジュアルですね。
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アッツアツにかぶりつきますと、くわぁ旨い！バリッとした皮に、肉汁たっぷりニンニクしっかりの餡がみちっと詰まっています。糸唐辛子入りのタレもスパイシーで、餃子の味を引き立てます。大きな声では言えませんが、個人的には間違いなく餃子の王将よりレベルが上です。
<h3>店主の池田さんは『餃子の王将』を長年支えた人物だった！</h3>
<a href="#" data-ident_hash="a047e0e1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/7_IMG_2618.jpg" alt=""></a>
店主の池田善一さん、もちろん勝手に「王将」と名乗っているわけではありません。ご想像の通り餃子の王将出身者、つまり餃子界のサラブレッドです。出身は京都府の北部・宮津市で、15歳から京都市内に出て中華料理の道に。24歳で餃子の王将に入社し、手腕が認められて本部から「京橋店（当時）を出すからオーナーやらへんか」と依頼されて独立。最終的には京橋店、東京橋店、国道163号線沿いにあった163号店を束ねるやり手王将マンだったそうです。しかも163号店はドル箱店だったというから、そのままいれば王将の幹部にはなっていたでしょうね。
当時から元社長の故・大東隆行さんとも関わりが深く、店舗の補償金問題やら何やらで、今の道を選んだそうですが、「大東さんの“あの事件”には、私も思うところがありましたね」と意味深な話をいろいろしてくださいました。
さて、平和な餃子の話に戻りましょう。この餃子、なんと池田さんが入った当時の40年以上前の餃子の王将の味なのだそうです。ミンチは歯応えがしっかりある豚のウデ肉を使い、純正ラード、醤油、塩、山椒などが材料。ニンニク、生姜、ネギといった香味野菜もたっぷりです。「ミンチの形がなくなるまで練り、野菜を入れた後は水分が出ないようにあまり触らない」のが餡作りのポイント。焼き方にも徹底的にこだわり、水を多めにして6分半。餃子の王将では3分30秒なのでほぼ倍ですね。ちゃんと蒸らすってのが大事だそうです。
肝心のタレはゴマ油、白絞油、一味などをブレンドした自家製ラー油と、酢6：醤油4で味を調えます。糸唐辛子がいい仕事しています。
<div data-friday-nextpage-lead="1000円あればお釣りが来る「せんべろ王将」"></div>
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<h3>日替わり定食がなぜか毎日ジャンボエビ </h3>
他のメニューは…と見ましたら、日替わりの「スペシャル定食」が気になって仕方ありません。なぜか「月曜：ジャンボエビマヨ+豚生姜焼」「火曜：ジャンボエビチリ+酢豚」「水曜：ジャンボエビチリ+豚スタミナ焼」「木曜：ジャンボエビ天+鶏の甘酢炒め」…と、毎日、謎の「ジャンボエビ縛り」です。
<figure id="attachment_275994" aria-describedby="caption-attachment-275994" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="63be18e9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/8_IMG_2508.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275994" class="wp-caption-text">8/12号が一般的なサイズらしいですから、相当デカいのだと思います</figcaption></figure>
なぜエビばかり食わせようとするのかと聞きましたら、同店で使うエビは「ブラックタイガー13/15号」という巨大なエビで、特別なルートによって仕入れるレアエビだそうです。
<figure id="attachment_275995" aria-describedby="caption-attachment-275995" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="736805a1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/9_IMG_2572.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275995" class="wp-caption-text">日替わりスペシャルは980円。他にも定食はたくさんあります</figcaption></figure>
で、一番人気の「土曜スペシャル」をオーダーしてみました。「ジャンボエビチリ+チキン南蛮」です。なるほどジャンボエビ、ただでさえデカい上に衣とチリソースも纏ってさらに肥大化しています！ チキン南蛮もゴロッと大ぶり。なかなかの重量です。「そういえばウチに来る人、基本大食いやねえ」と池田さん。今気付いたみたいですが、明らかに普通の店より量が多いですよ。
<figure id="attachment_275996" aria-describedby="caption-attachment-275996" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6e026652"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/10_IMG_2584.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275996" class="wp-caption-text">箸で持つのも疲れるぐらい重量があります</figcaption></figure>
チキン南蛮って、タルタルソースが主役っていうぐらいタルタルの味が大事ですよね。こちらも一から手作りで、玉ネギ、卵、マスタードなどを配合し、シャキッと食感を残したタルタルに仕上げています。
<h3>麺が見えない「麻婆焼きそば」が予想外の旨さ </h3>
他に人気メニューはと聞きましたら、「麻婆焼きそば」とのこと。実は私、何でも食いそうなキャラなんですが麻婆豆腐も焼きそばもあんまり好きではありません。なので内心「えー…」と思っていたのですが、実食してみましたら、カルチャーショックを受けるほどの絶品でした！
<figure id="attachment_275997" aria-describedby="caption-attachment-275997" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0fc3f6d1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/11_IMG_2556.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275997" class="wp-caption-text">麻婆焼きそば800円。麺がどこにも見えません</figcaption></figure>
「ほぼ豆腐やん！」とツッコミたくなる豆腐の山。麻婆ソースは、炒めたミンチに、コチュジャン、甜麺醤、豆板醤、ニンニク、醤油などで味付けし、山椒をたっぷり利かせて、ピリッと辛いながらも旨みたっぷり。豆腐は最後にブッコむため、ほぼ生のような、絹ごしのふるっふる食感がそのまま残っています。揚げ焼きにした麺のお焦げ部分も香ばしい。具がほとんど豆腐なので、ヘルシーフードと言えるでしょう。ダイエット中の女子に喜ばれそうです（麺の量が凄いけど）。
<figure id="attachment_275998" aria-describedby="caption-attachment-275998" style="width: 4144px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c3b41830"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/12_IMG_2566.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275998" class="wp-caption-text">麺も香りが良く、ムチッとしてます</figcaption></figure>
<h3>1000円あればお釣りがくる、「せんべろ王将」なのだ </h3>
<figure id="attachment_276000" aria-describedby="caption-attachment-276000" style="width: 4215px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7382a7e9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/13_IMG_2530.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276000" class="wp-caption-text">麻婆ソースに使うミンチで炒めたメンマ炒め。地味に旨い…</figcaption></figure>
箸休めに「メンマ炒め」をいただいてみました。280円とは思えない量です。ヘタするとハイボール270円＋餃子270円＋メンマ炒め280円で、1000円以下で普通に飲めるってことですよ。
<figure id="attachment_275999" aria-describedby="caption-attachment-275999" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="86f67dfd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/14_IMG_2594.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-275999" class="wp-caption-text">出し巻玉子480円。おかんの作る卵焼きって感じ</figcaption></figure>
トドメに、絶対餃子の王将にはない「出し巻玉子」を注文してみました。卵は4個。出汁、みりん、酒でしっかり味付けた出し巻は、ちょい味濃いめでビールが進む。決してふんわりしていない硬派な食感も、この近辺の客層に合っている気がします。
池田さん、72歳ですがこれまでの人生を聞くと実に波乱万丈。「京橋店で火事を起こした」「4億5000万円の借金があった」「今は5LDKのマンションに住んでいる」など、どこを切り取っても「ヤベー」しか感想が出ないぐらい壮絶な経験をしておりまして、ここに書くとコメント欄が荒れそうなのでやめておきます。
<figure id="attachment_276001" aria-describedby="caption-attachment-276001" style="width: 4320px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="620b7c22"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/15_IMG_2623.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-276001" class="wp-caption-text">波乱万丈すぎる…！</figcaption></figure>
あと池田さん、餃子の王将についていろいろなエピソードをお話ししてくださいましたが、私はただの食いしん坊なので、食べ物の話しか聞いていませんでした（笑）。
ちなみに後日、色が良いカツオのたたきを食べてみたいと思い再訪しましたらまさかの臨時休業…。「あ～、雨だったしお客さん来ないと思って閉めちゃった。ウチそんなんなんですよ」とのこと。「基本的に無休」ですがたまにこういう日があるので、行く前に電話したほうが良さそうです！
■『格安王将』大阪府大阪市都島区都島北通2-1-28

1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。 
猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ！」https://nekotashigeru.site/

猫田しげる

あなたは『餃子の王将』派ですか？ 『大阪王将』派ですか？ 大阪には『格安王将』という第三の王将があるんです。40年以上前の餃子の王将の味を堪能できると評判のこのお店。店主の池田善一さんにお聞きしました

あの事件の深層を知る男…？大阪には第三の「王将」があるんやで

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