「入団テストに落選」「誕生日にヴィトンのバッグ」 堂安律”ヤンチャなエース”の挫折と秘話
もはや伝説!森保ジャパンを目覚めさせたキーマン 「W杯優勝」を宣言したビッグマウスは気迫の2得点
今大会、日本の決勝トーナメント進出の立て役者は、間違いなくチーム最多の2得点を決めた堂安律(24)だった。
試合後のインタビューでの「優勝を目指してます」「俺が決めるしかないと思ってました」などの発言からヤンチャ男とも見られがちだが、堂安はただのビッグマウスではない。その裏にあるのは、数々の挫折を乗り越えて得た自信だ。元ガンバ大阪で、若手時代の堂安を知る解説者の木場昌雄さん(48)が言う。
「堂安は小学校4年生の時にセレッソ大阪の入団テストに落選し、最初の挫折を味わっています。その悔しさをバネに練習を重ね、中学校に上がる頃にはセレッソ含む多くのクラブからオファーがあった。堂安はその中からセレッソではなくガンバを選んだんです。あえて自分を落としたチームのライバルチームに行くのが彼の負けん気を表していますね」
ガンバ大阪を経て、’19年にオランダPSVに移籍。ここでサッカー人生で初めて″試合に出られない″という経験をする。しかしそれでも、堂安が腐ることはなかった。小学生の時に所属した西宮少年SSでコーチを務め、14年来の親交が続く早野陽さん(38)が当時を振り返る。
「律に会いにオランダに行った時、本当は自分のことを話したいはずなのに、僕の誕生日でルイ・ヴィトンのバッグをくれました。昔から自分に厳しい分だけ、人にはとんでもなく優しい奴でしたね」
今年の3月には日本代表から落選。W杯出場は絶望的かと思われたが、堂安は「俺に注目していないなんてもったいないですよ。だって考えてみてください。もし漫画やドラマだったら、3月に代表落ちした時点で、W杯本番で活躍するのは俺、という展開になりそうじゃないですか?」とインタビューに答え、見事に有言実行してみせた。
「律は、一言でいうなら″純粋″。ビッグマウスと取られがちな発言も、彼の純粋さゆえ。W杯優勝も、そこに向けて努力してきた律は、届かない目標ではないと確信していたのでしょう」(早野さん)
数々の壁を乗り越えてきた堂安は、世界の強豪にも臆することなく、その左足でゴールをぶち抜いた。


『FRIDAY』2022年12月23日号より
PHOTO:JMPA代表撮影