<figure id="attachment_280923" aria-describedby="caption-attachment-280923" style="width: 4589px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7998458a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_192604795.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-280923" class="wp-caption-text">7月の日本代表戦で話すリーチ（左）と稲垣（右）。相変わらず、ピッチ上で頼りになる存在だ（写真：アフロ）</figcaption></figure>
サッカー日本代表がカタールでのワールドカップ（W杯）で８強に入り迫った。かたやラグビーの代表チームは、フランスでのW杯を翌年に控える。11月までの活動期間では強豪国を相手に3戦全敗。稲垣啓太とリーチ マイケルが、フランス代表戦直後のスタジアムで今後の課題を語っている。
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2019年のW杯日本大会で初めて8強入りした日本代表は、当時のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制を継続させながら新たなフェーズへと突入している。
この秋の活動では、テーマを「ベースキャンプ」とした。段階的に戦力を入れ替えながら、改めて日本代表が世界と戦うためのプレースタイルを定着させるのが狙いだった。
10月は１日以降に国内で「JAPAN XV」名義で対オーストラリアA・3連戦、29日にオールブラックスことニュージーランド代表とのテストマッチ（代表戦）で31―38と接近。さらに11月12、20日は、イングランド代表、フランス代表と敵地で激突。それぞれ13―52、17―35と敗れたが、来秋のフランス大会に向け貴重なベンチマークを得られた。
「プレッシャー下に慣れるしかないでしょうね」
フランス代表戦に敗れた直後のスタジアム・ド・トゥールーズで、稲垣啓太は言った。長らく日本代表の左プロップに入る32歳は、12月中旬からの国内リーグワンでの過ごし方についてこう言及した。
「リーグワンに身を置きながらも、世界で戦うためには何が必要なのか。改めて今日（フランス代表戦で）、プレーヤーは理解できたと思うんですよ。リーグワンで戦っていく時、リーグワンのレベルに合わせてしまってはいけない。世界で戦うためのスキル、世界で戦うための体、世界で戦うためのマインドセットをリーグワン中に持ち続けないといけない」
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稲垣の実感から伝わる通り、国内リーグと国際舞台とではぶつかり合いの強度、それによって心身にかかる重圧、ひいてはひとつのコンタクトあたりで削られる体力が違う。
ハイレベルでの競技経験のある報道関係者は、今回のトゥールーズでのフランス代表戦をグラウンドレベルで触れて「国内リーグとテストマッチとでは、コンタクトの瞬間の音が違う」と述べた。
さらに今回に至っては雨に降られ、芝もややめくれやすかった。足場に慣れた猛者の圧力は、日本のチームでプレーする国際レベルの選手のそれとは質が違ったか。
もちろん、国内シーンと国際舞台との違いは、全ての関係者が現地に行く前からわかっていたことだ。
だからこそ日本大会までは、日本代表候補が国際リーグのスーパーラグビーでプレーできるようサンウルブズというクラブが設かれた。
<div data-friday-nextpage-lead="W杯の結果いかんで競技人気が左右されてしまう"></div>
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<figure id="attachment_280924" aria-describedby="caption-attachment-280924" style="width: 800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ab4aed1b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_202357131.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-280924" class="wp-caption-text">欧州遠征時に試合前のアップで、坂手淳主将（中央）とともにピッチに飛び出す稲垣（左端、写真／アフロ）</figcaption></figure>
この仕組みは当時の日本協会内部の事情で消失も、現場サイドは活動期間中の試行錯誤をやめなかった。
今回は、ロンドンでイングランド代表に大敗した後のセッションにひと工夫を施す。レギュラー組の攻撃練習中、攻防の境界線より前に立たせた。
その立ち位置でプレーする選手は、本来ならば「オフサイド」という反則を取られる。ただ日本代表としては、練習のうちから相手の圧力、ひいては当日のレフリングが「オフサイド」を取り締まらなかったケースを想定しなければならなかった。
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その他、スキルアップの必要性を含ませる形で、稲垣は続けた。
「精度と遂行力。そこで日本のラグビーは成り立っている」
スピーディーな展開でファンを楽しませる国内リーグにあっても、日本代表入りを目指す選手は世界トップのコロシアムで戦えるだけの肉体、技術を磨きたい。国際レベルで必要な「精度と遂行力」を念頭に置きたい。
稲垣が「リーグワンのレベルに合わせてしまってはいけない」と話したのは、そのためである。
「（代表選手なら）日本でフィジカル通用するのは当たり前だと、僕は思っているんです。じゃあ、海外でそのフィジカルで、そのコンタクトスキルで通用するんですか？　ということです。通用しないのであれば、やり方を変える必要がある。それはスキルを変えるのか、スキルを上げるのか、フィジカルを上げるのか、身体の使い方を変えるのか…（を考える）」
5月下旬までのリーグワンが終われば、9月からのW杯への最終調整に入る。日本大会時はリカバリー期間を含めれば開幕の約9か月間前から準備できたが、今回は当時よりもタイトな日程で強化を進める。
総仕上げの期間で求められるもの何か。この問いに応じるのは、主将経験者のリーチ マイケルだ。
「日本代表に対しての熱がどれだけ作れるか。チーム内に『絆』というキーワードがある。それをどれだけ深められるかが大事になってくると思います。チーム、スタッフとも、チームになっていかないと、日本代表の力は発揮できない」
海外開催での大会では、フィジカルやプレーの「精度と遂行力」といった有形の力に加え、選手間の繋がりに代表される無形の力をも総動員させねばならないのだ。
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2大会連続でのW杯8強入りは不可能ではないと同時に、目標達成にさらなる上積みが必要なのも伝わった。
本番ではこのほど大敗したイングランド代表、そのイングランド代表へ11月に挑んで勝ったアルゼンチン代表と同組となっている。
サッカーの日本代表と同様、W杯で残す結果いかんで競技人気を左右してしまう立ち位置にある通称『ブレイブ・ブロッサムズ』。その構成員たちはまず、リーグワンの舞台で地道に研鑽を積む。

スポーツライター　1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとして活躍。主にラグビーについての取材を行なっている。著書に『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー 闘う狼たちの記録』（双葉社）がある

向風見也

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