<p><span class="strongInContent">「コンプライアンスが重要視されるようになった今、誰でも知っているような大企業も、就活生のバックグラウンドを知るために彼らの“裏アカ”を調査するようになってきています」（企業調査センター・角田博氏）</span></p>
<figure id="attachment_281470" aria-describedby="caption-attachment-281470" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b38d4fa8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/SH532866-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-281470" class="wp-caption-text">現在、多くの企業から就活生のSNSチェックをお願いされるという</figcaption></figure>
<p>採用前に「コンプラリスク」の有無を判断するために、いま、企業の間で就職活動中の学生のSNSを調査する動きが広まっている。特に注目しているのが“裏アカ”と呼ばれる匿名のアカウント。裏アカでは不平不満や悪口など、学生の本心が投稿されているケースが多く、企業にとっては学生の「本性」を知るための貴重な資料になるのだという。</p>
<p>「採用する学生の裏アカが知りたい」――そんな需要が高まるなか、SNS調査のプロによる裏アカ特定サービスが人気を博している。</p>
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<p>企業調査センター（東京・千代田区）の一室では、調査員たちが真剣な面持ちで特定作業に従事していた。ここが、企業からの依頼に基づき学生の裏アカを特定する「調査ルーム」だ。調査員の一人である角田博氏および専務取締役の劔持琢磨氏に話を聞き、裏アカ特定サービスの実態に迫った――。</p>
<h3>表は留学経験のある好青年、裏では暴言のオンパレード</h3>
<p>TOEICは800点台。留学経験があり、実名のSNSアカウントには、留学先で現地の外国人と楽しげに肩を組んでいる写真が投稿されている。爽やかな印象の短髪に、人懐っこい笑顔。筋肉質な体型からはバイタリティーも感じられる。</p>
<p>ある大企業の就職面接を受けた学生の「表」のプロフィールだ。絵に描いたような好青年で、彼のような人材を欲しがる企業は多いだろう。</p>
<p>ところが、彼の「ウラの顔」は全く違った。この企業から依頼を受けて企業調査センターが調査を行ったところ、「裏アカ」が見つかったのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「その裏アカには、彼が接した人に対する悪口ばかりが書かれていました。たとえば大学教授や、企業の面接担当者に対しても上から目線で『ゴミクズ』『クソ』『死んでほしい』と綴っていました。『高学歴の人間と低学歴の人間で生活圏を分けたらいいのに』といった投稿から、強烈なエリート意識も感じられます。発言すること自体は許されるとはいえ、これが彼の本性なのでしょう。集団の中で仕事をしていくことは難しいだろうと感じました」（角田氏）</span></p>
<p>趣味について語るための裏アカならかわいいものだが、こうした「誹謗中傷用の専用アカウント」を持つ学生は少なくないという。</p>
<p><span class="strongInContent">「誹謗中傷系にも、ネットの炎上に乗っかって有名人を叩いているものと、大学やバイト先などの身近な人に対して悪口を言っているものに分けられます。前者も問題ではありますが、特に後者の場合はさらに注意が必要です。入社後は職場の同僚たちがターゲットになる可能性が高い。ちょっとした愚痴くらいだったら可愛いものですが、なかには『●●を殺す』など、危険な兆候を感じられる単語が投稿されていることもある。そのため、内容はもちろん言葉遣いにも注視し、その分析結果を依頼者に渡しています。</span></p>
<p><span class="strongInContent">誹謗中傷系のほかにはエロ系の裏アカも多い。そこでは自慰行為など性的な内容を投稿したり、出会い系のような使い方をしているものもある。今の若者は用途ごとにアカウントを作っているので、本アカ、裏アカあわせて5、6個持っていても不思議ではありません」（角田氏）</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="就活生のSNSを調査する企業が増えているワケ"></div>
<h3>企業からの調査依頼が急増しているワケ</h3>
<p>「企業がそんなことまで調べるとは……」「裏アカを調査するなんて怖いな……」、この話を聞いて、そう思う人も多いだろう。しかし、劔持氏によると「外資系を中心に、雇用する予定の人のバックグラウンドを調査するのは当たり前のことになっている」という。</p>
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<p><span class="strongInContent">「もともと弊社のメインの顧客は外資系企業でした。SNSを含めた学生のバックグラウンドチェック（身辺調査）は海外では当たり前のように行われているので、日本でも同じことが求められるようになった、ということです。海外ではテロやコンプライアンス違反に対する危機意識が高いことから、技能だけではなく、雇用する人間がリスクにならないかもきちんと精査するという文化があるのでしょう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">対して日本では、少し前までは身辺調査は敬遠される傾向が感じられました。</span><span class="strongInContent">潮目が変わったのは3年前のコロナショックです。これまで対面で行われてきた面接や、会社説明会の実施が困難になりました。そんななか『SNSの投稿からも、採用につながる情報が得られないか』という日本の企業からの相談が急増したのです。社員や関係者のSNS上での投稿が大炎上につながるケースが増えてきたことも、影響しているのでしょう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">しかし人事担当者はSNSのプロではないので、匿名の裏アカを探すことは難しいし、採用するか検討段階の新卒にそこまで時間も労力もかけられない。そこで弊社が1人1万6500円で調査を請け負っているというわけです。今では月300～500件ほどの依頼をいただいております。</span></p>
<p><span class="strongInContent">調査するのはSNS上のデータのみですから、法に違反しているわけではありません。SNSを利用するということはある一定のリスクを負うことですので、学生とはいえ、そのリスクは考慮して使う必要があると思います</span><span class="strongInContent">」（劔持氏）</span></p>
<p>裏アカ調査で明らかになる就活生の裏の顔には驚かされるばかりだが、劔持氏は何も学生の粗探しをしているわけではないと強調する。</p>
<p><span class="strongInContent">「調査を実施するとおよそ3割の人に何かしらの懸念点が浮かびあがります。その一方で、溺れている子どもを救助して表彰された、部活でキャプテンを務め関東大会で準優勝した、といったポジティブな情報が見つかることも少なくない。今の若者は『自慢ばかりしやがって』と思われたくないのか、良い事であってもひた隠しにする傾向があるようです。裏アカ調査の目的は、このような良い面も悪い面もひっくるめて、その学生さんがどのような人物なのか明らかにし、企業の採用工程を手助けすることにあります。</span></p>
<p><span class="strongInContent">新卒社員の3割が入社3年以内に辞める時代です。それを『今の若者は堪え性がない』と切り捨ててしまうのは違うと思っています。学生の適性と企業とのミスマッチも少なからずあるのではないか。アカウント調査を通じて学生の適性を見極め、その企業にマッチした人材を採用できれば、離職率もおさえることができ、適性に合った業務を任せられる。それは企業、ひいては日本の社会にとって必ずプラスになると信じています」（劔持氏）</span></p>
<p>新卒採用に裏アカ調査が必須となる時代も、近いのかもしれない。あるいは、こうした調査の実態を知り、学生が裏アカをやめるのが先なのか――。</p>
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<figure id="attachment_281464" aria-describedby="caption-attachment-281464" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="af8a20d4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/SH532824.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-281464" class="wp-caption-text">日本企業の採用現場を変えていきたいと語る角田氏</figcaption></figure>


芳賀慧太郎

「コンプライアンスが重要視されるようになった今、誰でも知っているような大企業も、就活生のバックグラウンドを知るために彼らの“裏アカ”を調査するようになってきています」（企業調査センター・角田博氏） 現

「低学歴は消えろ」…裏アカ特定サービスの調査員が見つけたZ世代就活生のヤバいSNSアカウント

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