<figure id="attachment_286937" aria-describedby="caption-attachment-286937" style="width: 3500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b1e7d14e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_56848694.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-286937" class="wp-caption-text">2017年、ドイツで開催されたG20に出席した中国の習近平国家主席はドイツ・メルケル首相（当時）と並んでU12のドイツ代表-中国代表戦を視察した（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<p>サッカーW杯カタール大会は３６年ぶりとなるアルゼンチン代表の優勝で幕を閉じた。国内でも日本代表・森保ジャパンの快進撃で多いに盛り上がったが、次回２０２６年大会（米国、カナダ、メキシコの３か国共催）は大会出場枠が16か国増え、４８か国で行われる。これは「２００２年大会以来出場していない中国代表を本大会に出場させるため」という声が関係者の間からあがっているが、なぜだろうか？</p>
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<p>国際サッカー連盟（FIFA）と中国はすでに莫大なチャイナマネーで限りない“忖度関係”で結ばれている。今回のカタール大会では中国企業が前回大会の約２倍となる１４億ドル（約１９００億円）近くも出資して、米国企業の１１億ドル（約１４６０億円）抜いてついに世界トップになった。</p>
<p>FIFAにとって中国は足を向けて眠れない国だーー。</p>
<p>２０１５年末、FIFA会長をつとめていたスイス人のブラッター前会長ら幹部数名が、W杯の誘致活動や大陸選手権の放送権をめぐる汚職事件に関与したことが発覚し、停職処分を受けた。そのことを受けて、アラブ首長国連邦（UAE）のエミレーツ航空や、ジョンソンアンドジョンソン(米国)、カストロール（英国）、そして日本ではソニーが契約満了を理由にスポンサー契約の延長をしなかった。「FIFAがこの汚職解明に積極的に乗り出さなかったこと」（日本協会関係者）が大きな理由だった。そしてソニーが契約更新をせず、他の日本企業もスポンサーになることを敬遠したことで、一気にFIFAが財政危機に陥った。</p>
<p>FIFAスポンサー契約は３本の柱で構成されている。トップカテゴリーの「FIFAパートナー」と言われ「一業種一社」による契約が厳守されている。年間スポンサー契約料は年間２０～５０億円と巨額な内容だ。２番目の「W杯スポンサー（年間１０～２５億円）」３番目には大陸別にチケット販売の優先権などが与えられる「リージョナルサポーター（年間５～１０億円）」がある。</p>
<p>この危機に国を挙げてFIFAに投資してきたのが中国だった。トップカテゴリーのFIFAパートナーには大連万達集団が２０１６年から２０３０年まで長期の大型契約を結んだ。さらに家電大手の海信集団（ハイセンスグループ）はカタール大会で元日本代表・カズ（三浦知良）をアンバサダーに起用し、カズのドーハでの観戦を実現させた。さらにスマホメーカーvivo、蒙牛乳業などもカタール大会を支えた。</p>
<p>一業種一社という縛りからFIFAのスポンサー枠から外れた中国企業もサッカーに向けて相次いで資金を投入、蒙牛乳業のライバル社・伊利はアルゼンチン、ポルトガル、スペイン、ドイツ代表とスポンサー契約を結んでいる。またポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドやブラジル代表のネイマールの“世界的２トップ”とはパーソナル契約をする力の入れようだ。</p>
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<p>中国がFIFAへの投資を続ける理由に「歴代の国家主席がサッカー好き」ということが言われ続けている。</p>
<p><span class="strongInContent">「習近平だけではない、胡錦濤や江沢民もサッカーに対する思いがあると聞いた」</span>とコメントするのは日本のサッカーJリーグの創業者である川淵三郎氏だ。同氏は今年７月に中国の新華社通信のインタビューに応じた。</p>
<p>「カタール大会のアジア予選で日本との試合を見て驚いた。中国はかつてないほど弱い」とバッサリ。その理由を「３０年前に中国にプロリーグができた時にアジアで最初にW杯で優勝できるのは中国だと言った。優秀な選手もたくさんいて、人口も多い。それが今、この体たらくだ。中国の選手たちの給料が日本や韓国と比べても最も高い、現状に満足してしまっている」というと直言に対し、中国国内から多くの反発の声があがってもおかしくないが、実際は「仰る通り！」「よくぞ、言ってくれた！」と川淵氏に対し、多くのエールが送られたのだという。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="中国が出ていないカタールW杯を国営テレビが放送"></div>
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<figure id="attachment_286935" aria-describedby="caption-attachment-286935" style="width: 3500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d9bdac19"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_55520000.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-286935" class="wp-caption-text">2017年、北京の人民大会堂で握手を交わす国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）のインファンティノ会長（左）と中国の習近平国家主席。この２人の関係によって、FIFAのスポンサーに中国企業が集まったとみられる（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<p>そんな国民のサッカー熱をさらにあげるため、中国代表は出場していないにもかかわらず、カタール大会の試合中継を国営テレビCCTV（中国中央TV）が無料放送で行い、国内では大きな反響があった。最近まで「ゼロコロナ政策」をとっていたため、中継に映し出されたはずのマスクなしの応援風景などはカットされていたというが、出場国が12増える2026年大会での放映権料の大幅アップを画策するFIFAにとって、中国の存在は実に心強い。中国の国内スポーツ紙ではカタール大会でも各国代表にそれぞれの担当記者を派遣し、森保ジャパンの情報も克明に報道されていた。</p>
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<p>それでも、欧州や南米の強豪国からは「（出場国が増えることで）試合のクオリティーが下がる」という声は多く、「中国代表を本大会に出場するための愚策」という声も根強い。なぜなら川淵氏の言葉通り、サッカー中国代表は２００２年大会以降、W杯出場を逃し続けており強化費をかければかけるほど弱体化しているからだ。</p>
<p>2026年の拡大路線によってアジア地区がこれまでの4.5から8.5枠に拡大するため、もっとも恩恵を受けたとみられる。強豪国からの否定的な声が耳に入っていたFIFAのインファンティーノ会長は「アジアサッカーのレベルは決して低くない」と言い続け、カタール大会で日本、韓国、サウジアラビアの３か国がベスト１６に進出したことについて「私の思っていた通りの展開になった」と大喜びだった。</p>
<p>カタールW杯では未曾有のオイルマネーをW杯招致に向けて投下した。南アジアなどからの出稼ぎ労働者への過剰勤務の実態や男女差別の問題が欧州で大きな社会問題にもなった。さらにW杯期間中も、各国代表チームの家族のホテルをFIFAが買い、旅行代理店におろし、通常より宿泊費が高騰。日本のビジネスホテルレベルでも１泊３万円以上した。特にドイツ国内では初戦の日本代表戦を視聴した数が大幅に減るなど、W杯そのものへの関心が落ちていたことは12月22日に公開した記事の通りだ。</p>
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<p>一方、FIFA幹部による汚職が発覚した2015年以降、国家政策としてFIFAを囲い続けてきた中国はその〝成果〟で、次回2026年大会では確実に本大会の出場権を得るとみられる。もし出場ができれば、W杯観戦チケットや取材パスなどの配分について中国に融通が利くように仕向けられる可能性はある。</p>
<p>そんな雑音を封じるには、中国代表がW杯に出場するに値するサッカーの実力を示すしかないだろう。</p>
<figure id="attachment_286936" aria-describedby="caption-attachment-286936" style="width: 2209px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e75b72be"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/12/aflo_15013567.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-286936" class="wp-caption-text">2012年、国家副主席時代の中国・習近平氏がアイルランドのダブリンの公園で華麗にボールを蹴った（写真：アフロ）</figcaption></figure>


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