人の欲望を焙り出す、戦慄のマネースリラー『ゴールデンゴールド』 | FRIDAYデジタル

人の欲望を焙り出す、戦慄のマネースリラー『ゴールデンゴールド』

「マンガ大賞2019」ノミネート! “フクノカミ”が呼ぶのは幸運か? それとも破滅か?〔著者・堀尾省太コメント〕

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『ゴールデンゴールド』著・堀尾省太 第1巻書影

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突如現れた異形の存在“フクノカミ”によって、人々の欲望が駆り立てられていく姿を描いた異色のマネースリラー『ゴールデンゴールド』(①~⑤巻発売中)は、アニメ化もされ話題となった『刻刻(こっこく)』の作者・堀尾省太によるサスペンスホラー漫画だ。

舞台となるのは、「福の神伝説」が残る島・寧島(ねいじま)。寂れた離島で暮らす中2の少女・早坂琉花(はやさかるか)は、ある日海辺で奇妙な置物を見つける。絶妙にキモいその置物を何故か持ち帰ってしまい、あるささやかな「願い」を込めてそれを山の中の祠に置いた途端、彼女の目の前には“フクノカミ”によく似た謎の異形が現れる。家に居ついてしまったフクノカミの力によって、彼女のばーちゃんが営む商店は大繁盛していくものの、ばーちゃんの様子はどんどんおかしくなっていき、次第に島全体が “金への欲望”にじわじわと侵されていく。

本作では、琉花の初々しい片思いの模様だったり、島に滞在する小説家とその編集担当のあけすけなやりとりだったりがコミカルに描かれていて、笑えるシーンも多いのに、 どこか“嫌な予感”が全編に渡って漂っている。ばーちゃんの店が大繁盛することや、過疎だった島が賑やかになるのは本来なら喜ばしいことである筈なのだが、「いつか大変なことになるのでは」「何か手痛いしっぺ返しが来るのでは」という不安が拭えないのだ。島に伝わる「福の神伝説」の不穏さと、フクノカミの得体の知れなさも相まって、その“嫌な予感”は巻が進むほどにどんどん加速していく。

フクノカミの存在も怖いのだが、経営者としての手腕をめきめき発揮し、金の力と巧みな人心掌握でどんどん周りの人間を取り込んでいってしまうばーちゃんの変貌っぷりが何より怖い。1巻の最後、長年の友人に札束を突き付け、「この家を売ってくれ」と説得するシーンでは、言い知れぬやるせなさと気持ち悪さを感じてしまった。

欲に目がくらんだ人々の心理描写や、過疎の島に暮らす人々の金銭事情だったりもリアルで、今後いったい島がどんな変貌を遂げてしまうのか、ばーちゃんたち早坂家はどうなってしまうのか、琉花はフクノカミを止めることができるのか、先の読めない展開にこれからも目が離せない。

◆担当編集者コメント
本作の見どころは、何と言っても中学生である主人公の目を通して描かれる、寧島の風景だと思います! フクノカミの到来以来、のどかな港町には次々と建物が建っていき、朗らかだったばーちゃんたちは金儲けにご執心。かりそめの発展によって変わっていく人々や明らかになっていく闇を細部までリアルに描く、堀尾省太氏の真骨頂です。ぜひ多くの方々に読んでもらいたいと思います!

◆著者・堀尾省太 コメント
何度もノミネート頂いて恐縮です。今後も、顔も知らぬ『波長の合う人』に向けてコツコツやっていく所存です。

『ゴールデンゴールド』第1巻 〔書店在庫を見る〕&〔オンライン書店(ネット書店・電子版)で見る〕


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