<h3>F-35A戦闘機 １機約105億円</h3>
<figure id="attachment_290250" aria-describedby="caption-attachment-290250" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7450cd9e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/42a8df5511ee408bd0b701311e823b9e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290250" class="wp-caption-text">’17年三沢基地に配備。高いステルス性能を持ち、射程距離500㎞の対艦・対地ミサイル「JSM」の搭載が検討される</figcaption></figure>
<h3>16式機動戦闘車 １両7.2億円</h3>
<p>三菱重工業が製産を担う国産戦闘車。走行性や運搬性に優れ、即応機動展開に対応する</p>
<figure id="attachment_290248" aria-describedby="caption-attachment-290248" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="54e9488d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/f7568ba4b7bba0b55061101c177c80f4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290248" class="wp-caption-text">16式機動戦闘車 １両7.2億円</figcaption></figure>
<h3>SM-3迎撃ミサイル １発約20億円</h3>
<p>短〜中距離の弾道ミサイル迎撃が目的。海上自衛隊の護衛艦に装備され、大気圏外で迎撃し攻撃を無力化する</p>
<figure id="attachment_290255" aria-describedby="caption-attachment-290255" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4cd0ea92"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/c3280c22ec99a0a524a7952fee5adc22.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290255" class="wp-caption-text">SM-3迎撃ミサイル １発約20億円</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「スクランブル!!」</span></p>
<p>雪積もる千歳基地を飛び立つ、２機の「Ｆ-15Ｊ」。向かう先は奥尻島沖約440㎞先から近づく国籍不明機(アンノウン)。しかしその経路からロシア軍機であるのは間違いない。</p>
<p>まもなく目標機とコンタクト。真正面から針路を変えることなく姿を見せたのはロシア空軍の爆撃機「Ｔｕ-95」だ。これはいつもの示威行動なのか？ 航空自衛隊パイロットはＴｕ-95の巨体へと近づく。すると、突然、コックピット内に警報音が鳴り響く。海面すれすれから上昇してきたのはロシア空軍のステルス戦闘機「Ｓｕ-57」。Ｆ-15の真横を飛びぬけて、太陽に機体を隠した。</p>
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<p>時を同じくして、航空総隊に米軍より、「北朝鮮に弾道ミサイル発射の兆候あり」との情報がもたらされた。そしてそれは現実となる。稚内(わっかない)分屯基地の「Ｊ／ＦＰＳ-７」と大湊(おおみなと)分屯基地の「Ｊ／ＦＰＳ-５」が、北朝鮮の東岸地区より発射された弾道ミサイルを確認。日本海で警戒監視を行っていたイージス艦「はぐろ」もその姿を捉えた――。</p>
<h2>次世代のミサイル防衛</h2>
<p>’23年度から、自衛隊は創設以来最大の改革に乗り出す。内容は枚挙に暇(いとま)がないが、５年間で総額43兆円もの予算をつぎ込むことから、その本気度が窺(うかが)える。加えて、巡航ミサイル「トマホーク」500発を購入することなどを盛り込んだ「安保３文書」が閣議決定された。トマホークは先制攻撃に長けており、「専守防衛」に背くとする向きもある。政府がハレーションも辞さない構えの理由はひとつ、冒頭で示したような他国の&#8221;軍事的牽制(けんせい)&#8221;が看過できないレベルになっているからだ。</p>
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<p>例えば昨年12月15日、中国海軍は空母「遼寧(りょうねい)」を中心とした数隻の駆逐艦などを長崎県福江島沖約440㎞の海域に展開、そのまま南下して沖縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋へ進路を取った。さらに北大東島や沖ノ鳥島沖で戦闘機の発着艦訓練を実施。12月19日には、２機の爆撃機「Ｈ-６」がこれに連動するかのように宮古海峡を通過した。緊張感を増す「台湾有事」は、他人事ではないのだ。</p>
<p>ウクライナ侵攻で余力がなさそうに見えるロシアも、実は日本領空付近で連日のように示威行動を行っている。12月14日には、２機のＴｕ-95と２機の戦闘機が石川県能登半島沖に接近し、そのままＵターン。北陸地方への爆撃訓練を行ったと見られる。そして北朝鮮は昨年、30発以上の弾道ミサイルを発射した。露中朝と、日本海を取り囲む３国が常に日本を牽制しているのだ。</p>
<p>命を金で買う――ではないが、慌てて軍事力を強化しなければならぬほど事態は逼迫している。日本が目指す最新の軍備は、一体どのようなものなのか。</p>
<p>国防上いちばん厄介なのが、弾道ミサイルへの対処だ。北朝鮮の動きが目立っているが、中国やロシアも複数の弾道ミサイルを持っている。</p>
<p>弾道ミサイルは３つの段階を経て地表へと落下する。発射台から打ち出され、大気圏を抜け宇宙へ飛び出す「ブースト段階」、宇宙空間を飛行する「ミッドコース段階」、大気圏に再突入して目標地点へと落下する「ターミナル段階」だ。</p>
<p>これまで日本は、「ミッドコース段階」でミサイルを迎撃するスタンスを取っている。これを担うのが８隻保有しているイージス艦だ。ただし、別の任務で洋上に展開できないケースがあるため、地上から24時間監視する「イージス・アショア計画」を進めていたが頓挫。その代わりに、イージス艦をさらに建造することが決定した。</p>
<p>ただし、建造費用1000億円を超えるイージス艦を増やしても、迎撃ミサイルは百発百中ではない。相手が複数の弾道ミサイルを発射した場合、迎撃確率はかなり低下する。撃ち漏らした弾道ミサイルを「ターミナル段階」で迎撃する最後の手段が、防空ミサイルである「ＰＡＣ-３」だ。現在最新式の「ＰＡＣ-３ＭＳＥ」の配備を進めている。</p>
<p>これまで後手に回らざるをえなかった弾道ミサイル防衛だが、敵基地攻撃能力を持つトマホークを導入すれば、「ブースト段階」で対処――先手を打てるようになる。日本は長射程のミサイルを保有していないため、岸田政権は&#8221;即戦力&#8221;として購入を決断した。なお、購入が決定したトマホーク約500発の予算は2113億円。さらに、このトマホークをイージス艦から発射するための改造費1104億円が計上される。また、将来的に潜水艦からの射出も計画されている。</p>
<p>国産の「スタンド・オフ・ミサイル」計画もある。そのひとつが「12式地対艦誘導弾」を改造した「島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾」（射程約1500㎞）だ。その研究開発費は約338億円。うち地上発射型は早期部隊配備のため939億円で量産を目指す。</p>
<p>「島嶼防衛用高速滑空弾（能力向上型）」は、一から研究開発している。他にも、射程を延伸するための研究開発費用が約2003億円。そして迎撃困難な速度で飛翔し、敵基地を確実に狙う「極超音速誘導弾」の研究費に約585億円を見込んでいる。&#8221;自前&#8221;でミサイルを用意するには、研究コストと時間がかかるのだ。&#8221;既製品&#8221;を買う方がはるかに安く、まとめ買いすれば値引きも可能だ。</p>
<figure id="attachment_290258" aria-describedby="caption-attachment-290258" style="width: 2413px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="25371f8b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/WF0120_P063.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290258" class="wp-caption-text">発射された弾道ミサイルを空自のレーダーが探知・識別する。ミサイルが大気圏外を飛行中に海自イージス艦に搭載されたミサイルで迎撃を行い、ターミナル段階では空自のPAC-3が食い止める。その連携を取るのが自動警戒管制システム（JADGE）だ</figcaption></figure>
<h3>護衛艦「いずも」約1139億円</h3>
<p>F-35B戦闘機の発着陸ができるよう空母へと改修中で、「かが」と併せて52億円が’23年度の防衛費に計上される</p>
<figure id="attachment_290253" aria-describedby="caption-attachment-290253" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b911297c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/d89c4d8477252482e831340791ba1f57.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290253" class="wp-caption-text">護衛艦「いずも」約1139億円</figcaption></figure>
<h3>J/FPS-5（ガメラレーダー）１基 約180億円</h3>
<p>全国に４ヵ所設置されたレーダーサイト。’08年から運用が開始された。現在は次世代のJ/FPS-7も設置済</p>
<figure id="attachment_290254" aria-describedby="caption-attachment-290254" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="53732229"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/cba45b095a112fcb4973846560b0f5a2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290254" class="wp-caption-text">J/FPS-5（ガメラレーダー）１基 約180億円</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="島嶼を守るエリート部隊…"></div>
<h2>島嶼を守るエリート部隊</h2>
<p>トマホークは、新たな部隊を新編した上で、与那国島や奄美大島への設置が検討されている。日本南西諸島部の防衛が喫緊(きっきん)の課題になっているためだ。</p>
<p>前述のように、中国海軍は同エリアを我が物顔で遊弋(ゆうよく)（相連れて航行）している。中国は台湾占領後の太平洋全域の支配を見据えているからだ。中国海軍による太平洋の出入り口となるのが、沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡である。その橋頭堡(きょうとうほ)（前進拠点）として、石垣島などを含めた南西諸島部の島々を手中に収めたいという心算がある。</p>
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<p>無数にある島々に大勢の防御部隊を常駐させることはできないので、陸上自衛隊は日本列島上で15に分かれて展開している部隊の一部の機動力を格段に高める方針を固めた。詳細はこうだ。</p>
<p>まずは沖縄を防衛・警備する「第15旅団」を拡大改編する。2000人近い人員やスタンド・オフ・ミサイル等で増強する計画だ。そして、敵の侵攻が見込まれる島へ陸自唯一の落下傘部隊にして選りすぐりのエリート集団である「第１空挺団」や「水陸機動団」を送る。主に佐世保相浦(あいのうら)駐屯地に本部を置く水陸機動団は、敵の上陸よりも早く駆けつけ、防御態勢を構築するのが重大な任務だ。</p>
<p>もし島が敵の手に落ちてしまったら、奪還のために九州以南の部隊が派遣される。それが「機動師団」および「機動旅団」であり、中核となるのが隷下の「即応機動連隊」だ。その主力となるのが「16式機動戦闘車」である。戦車に準ずる打撃力を有しながら、足回りをタイヤとしたことで自走能力を高め、「Ｃ-２輸送機」でも輸送できる機動力を活かす。また、護衛艦「いずも」を’26年頃までに空母へと改修し、短距離離陸・垂直着陸が可能なステルス戦闘機「Ｆ-35Ｂ」を配備する。地対艦ミサイル、潜水艦の展開も含め、機動力の高いリソースを集中させるのが島嶼防衛の基本戦略だ。</p>
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<p>岸田政権が５年で43兆円もの費用を投じて改革を急ぐのは、軍備の見直しを後回しにしてきたツケとも言える。ただ、日本に軍事攻撃の脅威が差し迫っていることは確かだ。</p>
<h2>危機迫る島嶼部を守る軍備</h2>
<h3>たいげい型潜水艦１隻約800億円</h3>
<p>’22年３月就役。リチウムイオン蓄電池を動力に搭載し、長時間潜航が可能。トマホークが装備されるかどうかに注目</p>
<figure id="attachment_290249" aria-describedby="caption-attachment-290249" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bd6e7917"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/125077e4e048a3be228237c40dd72f4a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290249" class="wp-caption-text">たいげい型潜水艦１隻約800億円</figcaption></figure>
<h3>トマホークミサイル １発約3億円</h3>
<p>1200〜3000㎞の射程距離を持ち、中国の主要な基地を攻撃可能。垂直発射可能な潜水艦の配備を検討している</p>
<figure id="attachment_290252" aria-describedby="caption-attachment-290252" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="aa5ee227"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/eaa6ce8642fb5f670438d33b6c6287f2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290252" class="wp-caption-text">トマホークミサイル １発約3億円</figcaption></figure>
<h3>PAC-3（パトリオットミサイル）１発約5億円</h3>
<p>着弾直前のミサイルを迎撃するシステムで、国内に34機配置されている。１発射機あたり最大16発装填できる</p>
<figure id="attachment_290251" aria-describedby="caption-attachment-290251" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="09ada6b5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/b6749373b2709bd68467664745a600fb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290251" class="wp-caption-text">PAC-3（パトリオットミサイル）１発約5億円</figcaption></figure>
<h3>陸上自衛隊水陸機動団</h3>
<p>相浦駐屯地に本部を置く、約2400人の「日本版海兵隊」。島嶼部にいち早く駆けつけ、防衛や領土奪還の起点を作る</p>
<figure id="attachment_290256" aria-describedby="caption-attachment-290256" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="256ef242"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/55f09a45b1e1fd50b5b18ba088e73eef.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-290256" class="wp-caption-text">陸上自衛隊水陸機動団</figcaption></figure>
<p><a href="#" data-ident_hash="7911e10e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/WF0120_P065.jpg" alt=""></a></p>
<figure></figure>
<p>※値段は’22年12月24日時点の為替レートをもとに計算</p>
<p>『FRIDAY』2023年1月20・27日号より</p>


菊池雅之（軍事フォトジャーナリスト）

Raytheon（トマホークミサイル）

5年で総額43兆円の巨額防衛費…！その使い道を、軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之がド迫力の写真と共に徹底解説！戦闘機・戦闘車・ミサイル…１機100億円超え！？

パトリオットは１発5億円、 F-35戦闘機は100億円超え…自衛隊「本当の軍事力とお値段」

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