結婚はゴールではない。『1122(いいふうふ)』が描く夫婦の形 | FRIDAYデジタル

結婚はゴールではない。『1122(いいふうふ)』が描く夫婦の形

「マンガ大賞2019」ノミネート! 30代夫婦の「公認不倫」という選択の先にあるものは?〔著者・渡辺ペコ コメント〕

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『1122(いいふうふ)』著・渡辺ペコ 第1巻書影

【第1話無料公開中】『1122(いいふうふ)』を今すぐ読む!

「不倫していいよ」と自分のパートナーに言われたら、貴方はどんな行動を取るだろうか? うちは公認だから、と堂々と不倫相手とデートするだろうか。心苦しくて不倫できないだろうか。それとも、そんなことを言う相手に腹を立てるだろうか。

渡辺ペコの『1122(いいふうふ)』(①~④巻発売中)は、「婚外恋愛許可制」――「公認不倫」という選択をした、結婚7年目になる30代夫婦を描いた意欲作だ。相原一子(あいはらいちこ)と相原二也(あいはらおとや、通称おとやん)は、相思相愛の仲良し夫婦だが、長期に渡りセックスレス。おとやんは言葉使いも態度も柔和で優しく、一子のことを「いちこちゃん」と呼んで気遣ってくれる最大の理解者で、良い夫だが、美月さんという子持ちの恋人がいて、一子もそれを了承している。

家では「生活」、外では「恋愛」、というルールによる切り分けを「合理的だと思った」と親友に語る一子は、フリーのwebデザイナーとして現代社会をサバイブする女性だ。クライアントの女性には「早く子供を産まないと」とお節介で不躾な助言をされ、ゴリゴリと心を削られながらも「大人な対応」でその場を乗り切り、友人たちとの集まりで「姑との同居」や「出産」や「性欲解消方法」について赤裸々にトークする。おとやんの不倫をオーケーしながらも、モヤモヤが募っていってしまう一子の心理は複雑で、30代女性のリアルな本音が満載だ。

一方のおとやんは、セックスを拒否した一子のとある一言がきっかけで心が折れてしまい、生き甲斐を求め通い始めた生け花教室で出会った美月さんに恋をする。一子との話し合いの結果、妻公認で美月さんと不倫するに至ったわけなのだが、しかしお相手の美月さんにも旦那と幼い子供がいて、この美月さんサイドの余り円満とはいえない夫婦生活や、育児や姑問題に精神をすり減らしていく様子も非常に丁寧に描写されている。美月さんは読者がヘイト(負の感情)を寄せる為に用意された“敵”でも、“悪者”でもない。美月さんには美月さんの人生があって、問題があって、そんな中で懸命に生きているのだ。

登場人物それぞれの心理や、葛藤に説得力があり、多様性の時代を生きる私たちには刺さる部分の多い本作。最新4巻では、おとやんと美月さんとの間にある衝撃的な“事件”が起こってしまい、ますます今後の行方が気になってしまう。
「いい夫婦」というのがいったいどんなものなのか、誰にもハッキリとは定義できないと思うが、「正しい」「間違っている」という観点からでなく、“とあるひとつの形”として、女性は勿論のこと男性にもぜひ一度読んでみてほしい。

◆担当編集者コメント
結婚=ハッピーエンドと語られることが多いですが、本作は「めでたしめでたし」のその先を描く物語です。主人公夫婦は、仲良しだけれどセックスレスで、「不倫公認」という選択をしますが、彼らがその選択に至った理由や心情、その選択がもたらす波紋や心のゆらぎを、とても丁寧にとてもリアルに描いています。切実に心に響く台詞がいっぱい、そしてクスリと笑えるユーモアも随所に。正しいとか正しくないとかじゃなくて、自分たちなりの夫婦のかたちを見つけようともがく姿に、愛しさが募ります。物語は、一瞬も目が離せぬ展開が続いています。ぜひ最後まで見届けてください!

◆作者 渡辺ペコ コメント
わたしは立派な賞には無縁で疎いのですが「マンガ大賞」は書店員さんが中心になって選ぶ賞だと伺い、名前を挙げて頂いたことをとてもうれしく思っています。15年、なんとか漫画稼業を続けて来られたのも、担当さんや編集部や家族、そして書店さんや読者の方々に支えて助けて頂いてきたからだと改めて心から感謝しています。ありがとうございます。

『1122』第1巻 〔書店在庫を見る〕&〔オンライン書店(ネット書店・電子版)で見る〕


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1122 第1話

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