名古屋刑務所だけではなかった…「高知刑務所」で起きていた「受刑者いじめ」を告発! | FRIDAYデジタル

名古屋刑務所だけではなかった…「高知刑務所」で起きていた「受刑者いじめ」を告発!

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石川さんが養父に送った手紙
石川さんが養父に送った手紙

〈ここの職員だけわ本当クサってる。刑務所は受刑者の名前呼ぶ時絶対お前って言ったらいかんらしくてよその刑務所で凄い問題なったらしく…でもここわへっちゃらでお前呼ばわりしてくるわ…今日もお前言われたわ〉

この独特の表記で書かれた文章は、高知刑務所に服役する石川清志さん(29、仮名)が、22年11月14日に養父(56)に送った手紙の一節である。6枚の便箋に、隙間なくつづられた文字が訴えるのは、受刑者に接する刑務官たちの横暴な振るまいだ。よく知られるように、受刑者は刑務所内で、称呼番号という3、4桁の数字や氏名で呼ばれる。しかし、石川さんの場合は、引用した手紙にあるように日常的に「お前」と言われ、不当な主従関係を強要されていたのだ。

石川さんはさらに、刑務官による暴力も被っている。同じ手紙から引用する。

〈ずっとだまってたけど…俺1工場(刑務作業を行う工場の名称)いってるとき(刑務)官にとんでもない事されてて…工場で運動中俺に近よって来て何やとがった固い紙みたいな物で俺の乳首を何回もつっついてきてやめて下さいって言って〉(原文ママ、丸かっこ内は引用者、以下同)

この手紙を本誌に提供した養父が語る。

「清志が作業の休憩時間に運動していると、刑務官に突然『石川!』と呼びとめられて、胸を突かれる嫌がらせを受けたということでした。清志が『やめてください』と何度も言って、ようやく収まったそうです。こうした嫌がらせに対してもへりくだった言葉遣いをしなければいけないのは、刑務官の機嫌を損ねると、受刑者の側が、逆に懲罰を受けるかもしれないという恐怖があるからだと言います」

刑務所という、隔絶された空間で生じる暴力の報告が後をたたない。

「昨年末に、法務省が緊急会見を開き、名古屋刑務所の刑務官22人が、3人の受刑者に対して、胸ぐらをつかんだり顔などをたたいたりする暴行をしていたと公表しました。その後、こうした暴行は100件あまりに上っていたことも確認された。名古屋刑務所では、約20年前にも受刑者を死傷させる事件があり、そのことが法改正にもつながったことから、法曹関係者の間でも驚きが広がりました」(全国紙社会部記者)

名古屋刑務所で暴行が発覚したのは、職員が、受刑者の顔のけがを見つけたことがきっかけだったという。では、仮にそうしたサインが見逃されたり、隠されたりしたらどうなるのか。石川さんが養父に宛てた手紙は、刑務所内の実態を伝える1人の受刑者の声なき声である。石川さんの訴えはさらに続く。

刑務官たちの横暴は、食事する石川さんに言いがかりをつけることから始まったという。

「刑務官は、清志ともう1人の受刑者を指して『お前ら、メシのやりとりをしとるだろうが』などと、本人たちがやってもいないことを言いだした。清志は『そんなもの、もらっていません』と答えたようですが、その態度が刑務官の気に障ったらしく、清志たちは2人とも懲罰を受けることになった」(養父)

このときの懲罰は、受刑者を独居房内で謹慎させる閉居罰だった。普段、受刑者が寝食をしている舎房の定員は6人だが、当時は新型コロナウイルスの感染を防ぐために定員を3、4人に抑えていた。石川さんは、ここから独居房に移されて約10日間過ごしたあと、刑務作業を行う工場も変更になったという。

【後編】「他の人の前で用便を強要され…高知刑務所で起きていた『受刑者いじめ』の壮絶な実態」に続く。

取材・文:宮下直之(ノンフィクションライター)
naoyukimiyashita@pm.me

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