<figure id="attachment_293205" aria-describedby="caption-attachment-293205" style="width: 4589px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5578ec0b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_207120920.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293205" class="wp-caption-text">昨年12月28日、サッカー日本代表・森保一監督の続投会見にて。左から反町康治・技術委員長、森保監督、田嶋幸三会長。当初の予定より３週間前倒しして開催されたという（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<p>昨年、カタールで開催されたサッカーワールドカップで過去優勝国のドイツ、スペインを撃破した日本代表を指揮した森保一監督は大会終了後、３週間足らずで続投が発表され、日本サッカー協会（JFA）は2026年W杯まで新たに４年契約を結び直した。SNS上では外国人監督待望論などの意見が交わされる中、コーチングスタッフも全員日本人となった。さらにJFAには、国際サッカー連盟（FIFA）からW杯の大会準備金（約２億円）、ベスト16進出国の賞金（約17億6800万円）を合わせた総額約20億円ものボーナスが入り、金銭的に潤っているように見えるが、JFAには森保監督に続投してもらわなければいけない「お財布事情」があったのだという。</p>
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<p>あるスポーツ紙デスクはこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「昨年12月28日に行われた森保監督の続投会見で、隣にいた田嶋（幸三）会長は終始にこやかな表情でしたが、本音の部分では続投会見にこぎつけるのに必死だったんですよ。当初、この会見は１月下旬に開催される定例理事会後に行われる見通しだったのに、約３週間、前倒しして年末の仕事納めの日に唐突に開かれたんです」</span></p>
<p>目標のベスト８進出は逃したものの、日本代表が過去Ｗ杯優勝国のドイツとスペインを撃破して世界に残したインパクトは強烈だった。12月６日、決勝トーナメント１回戦でクロアチアに敗れた後、日本代表の次期監督問題についての報道を見ても、JFAと森保監督サイドは双方合意でスムーズに進んでいたようにみえた。発表は１月にずらしても問題はなかったはずだが、急がなければいけない事情があった。</p>
<p><span class="strongInContent">「JFA内部では必ずしも森保さん続投を推す声ばかりではなかった。</span><span class="strongInContent">ある意味、その反対勢力を封じ込めるための前倒しとも言えます」</span></p>
<p>JFA内で、采配やその手腕を評価する部署となる技術委員会（反町康治委員長）を筆頭にした強化部では、Ｗ杯開幕前は外国人監督をリストアップしていた。ドイツ前代表監督のヨアヒム・レーヴ氏やアルゼンチン代表のマルセロ・ビエルサ氏などの名前を挙げる一部スポーツ紙もあった。大会前のFIFAランクで24位だった日本代表は１次リーグE組の中でスペイン代表（７位）、ドイツ代表（11位）についで３番目。１次リーグを突破できるかどうかも至難の業とみられていた。しかし蓋を開けてみると、戦前の予想を大きく覆す快進撃でE組を１位突破。技術委員会の推薦候補などをもとに最終的に判断を下す田嶋会長はW杯の結果を高く評価し、森保監督推しになった。</p>
<p><span class="strongInContent">「田嶋会長は森保監督に対し『日本の社会に多大な影響を及ぼすような結果を残してくれた』と語り、最大限の敬意を示しましたが、その裏で、技術委員会は森保さんが結果を残せなかった場合に備えて外国人監督をリストアップしていたことも事実。ただ森保さんが結果を残せなかった場合、再建を図るために外国人監督を呼ぶと仮定しても、その資金力が今の協会はないし、日本代表の快進撃を受けてもう一度、日本サッカー界が上昇ムードになる“伸びしろ”も残念ながら見当たらないんです」（前出のスポーツ紙デスク）</span></p>
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<p>次の表に示した棒グラフは、公益財団法人になった2012年以降の年別収支決算だ。赤字になっているのは2017年、2021年のみだ（2022年は昨年12月に発表された予算をもとに作成）。公益財団法人になる10年前に開催された2002年日韓W杯で大幅増益となったことを受けて、JFAは文京区の御茶ノ水駅近くに約55億円で地上11階、地下３階の自社ビルを購入した。JFAのOBの中には「ビルを購入したお金とは別に100億近い余剰金があった、と聞いている」と明かすほど、潤沢なお金があった。</p>
<p>1998年のW杯初出場以降、JFAの70％近い収入は代表チームが支えてきた。毎年億単位の黒字を叩き出してきたが、2017年だけ突然、約700万円のマイナスになった。</p>
<p><span class="strongInContent">「2014年のブラジルW杯までは前年に行われるW杯アジア最終予選に出場することによる収入が入っていたんですが、2018年のロシアW杯前年の2017年以降、アジアサッカー連盟の取り決めで同最終予選のTV放映権料などはすべてAFCの収入になってしまう仕組みに変わってしまった。JFAには１円も入らないから、W杯前年は毎回厳しい。この年は、アジアチャンピオンズリーグでJリーグのクラブが奮闘し、浦和が優勝、川崎がベスト８になった。JFAが各クラブの躍進をサポートするために強化費なども支払うのですが、うれしいことではあるんですが、その額が増えたことも要因にあげられます」（協会関係者）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="余剰金の約100億円を切り崩して何に投資したのか"></div>
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<figure id="attachment_293208" aria-describedby="caption-attachment-293208" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="08df5d49"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/cc03b7e54828c10bbc31511c4c13f3ab.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293208" class="wp-caption-text">日本サッカー協会が毎年公表する「正味財産増減計算書内訳表」や過去の報道から作成</figcaption></figure>
<p>2018年以降は再び黒字に戻ったが、2020年に－17億円と巨額の赤字を抱えた。<br>
それは未来に向けたJFAが“先行投資”として、この年、千葉・幕張に総工費42億円をかけて日本代表の活動拠点となるトレーニングセンター「夢フィールド」が完成。さらにこの年にスタートした女子プロリーグ「WEリーグ」の活性化を目指して、４年間で総額8.5億円の支援金を出すことも決めた。そんな時に未曾有のコロナ渦に巻き込まれた。</p>
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<p>収入の大きな柱だった日本代表戦も無観客開催などを余儀なくされ、今まで見込んでいた収入が入らなくなった。それでも、サッカーをはじめた子供たちやクラブの経済的負担を軽くするため、小学生（第４種）の登録料を免除したり、全国の街クラブなどを対象にした無利子、無担保の緊急融資策を行い、そのための予算として５億円を用意した。登録費の免除だけで１億8000万円の損失を計上しており、JFAの財政事情は一気に苦しくなった。</p>
<p>さらに、40年近い付き合いのある大手ビール会社「キリン」とは契約が2030年まで延長された。これまではA代表から若い世代までを含めた「日本代表オフィシャルパートナー」だったが、2023年１月からはこれまでの日本代表の支援に加え、次世代の育成を含めて草の根レベルのサッカーファンを増やす事業もサポートする「日本サッカー協会オフィシャルパートナー」に変わった。スポーツ紙ベテラン記者が内実をこう解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「見た目はキリンが支援する範囲が広がっていますが、キリンから協会に入るスポンサー料は、これまでより１年間あたり４億円近く減っているそうです。2030年までの８年間で30億円減る計算です。どの企業もコロナ禍で経営状態が苦しいので金額が減ることは仕方ないと思います」</span></p>
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<p>背に腹を代えられなくなったJFAは「最後の不動産」ともいえるJFAハウスを売却する道を選んだのだ。</p>
<p>JFAは2003年に55億円で購入した“マイホーム”を売却し、三井不動産と100億円以上の売買契約を結び、６月から同じ文京区内にあるトヨタ自動車東京本社ビルに賃貸契約で転居する。この契約を結ぶにあたり中心的な役割を果たしたJFAの須原清貴専務理事は「多くの報道にあるように赤字ありきの売却ではない」と強調したものの、来年度は収入が約292億円、支出が約225億円と67億円を超える黒字予算を組むことが可能になったのは、この100億円の売却益があるおかげ、と言っても過言ではないだろう。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="外国人監督を招聘したらいくらかかるのか"></div>
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<figure id="attachment_293209" aria-describedby="caption-attachment-293209" style="width: 2126px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="eb3af0ce"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_209432075.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293209" class="wp-caption-text">昨年12月のW杯後、イングランド・プレミアリーグでスタメンで使われるようになった三笘薫は現地時間の１月29日、FA杯４回戦のリバプール戦でも先発。１―１で迎えた試合終了間際、決勝弾を決め、喜びを爆発させた（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<p>もし森保監督ではなく、外国人監督を招聘していたらどうなっていたのか。あるJFA関係者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「外国人監督の場合、本人の母国の往復はファーストクラス、日本での自宅、通訳代を筆頭に必ず腹心のコーチ陣の招聘を要求します。少なく見積もっても日本人監督１人の年俸の３倍はかかります」</span></p>
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<p>ベテランのスポーツ紙記者はこう続ける。</p>
<p><span class="strongInContent">「外国籍監督の相場は急騰しており、JFAがリストアップしたといわれる元ドイツ代表レーヴ監督の場合、年俸10億円台。ちなみに新たに契約を結び直した森保監督が推定２億円といわれています。今のJFAのお財布事情では呼びたくても呼べない。森保監督を続投させられる状況になったことはJFAにとっても都合がよかったはずです」</span></p>
<p>JFAも“損失補填”に必死だ。次回のW杯までの４年契約を更新した森保ジャパンは今年３月に国内で行われる「キリンチャレンジ杯」で再スタートとなるがこの試合から地上波でのTV放映権料が、１試合２億円になった。これまでより5000万円アップの大幅の値上げ。2023年は現時点で国内で６試合が予定され、この６試合の放映権料だけでJFAに12億円入る。ある民放関係者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「もうサッカーの代表戦１試合だけではこの金額（２億円）をペイ（黒字化）できません。それはどの局も割り切っている。民放各局はコロナ禍で苦しいので、代表戦に他のカテゴリーの試合の放映を加えることでスポンサーを募る形で何とかしたいと思っている」</span></p>
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<p>カタールW杯の森保ジャパンには「顔」となるような個性的な選手が不足していた。W杯で大事な場面で同点ゴールを決めた堂安律、W杯終了後、プレミアリーグでスタメン出場を続け、現地で評価が急上昇中の三笘薫や21歳の最年少でW杯を経験し、スペインで飛躍が期待される久保建英といった若い選手が日本代表においても中心的存在に成長し、「２億円払う価値のあるコンテンツ」になることが求められているのだろう。</p>
<figure id="attachment_293211" aria-describedby="caption-attachment-293211" style="width: 2266px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b2a22140"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_209428158.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293211" class="wp-caption-text">現地時間の１月29日、FA杯４回戦のリバプール戦に先発した三笘は1―1で迎えた試合終了間際、相手守備の圧力を受けながら、空中で立て続けに華麗な個人スキルを駆使して劇的な決勝ゴールを決めた。三笘に対する地元紙の評価はうなぎのぼりだ（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_293213" aria-describedby="caption-attachment-293213" style="width: 8192px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9d48dcc9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_208220444.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293213" class="wp-caption-text">現地時間１月14日、リーグ戦のアスレティック・ビルバオ戦で今季３ゴール目を決めて、ユニフォームを脱いで喜びを爆発させた久保建英（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_293212" aria-describedby="caption-attachment-293212" style="width: 8192px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f1660e3a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_208383142.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293212" class="wp-caption-text">アスレティック・ビルバオ戦でゴールを決めた直後。ユニフォームを脱いで喜びを爆発させる久保にファンも歓喜（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_293215" aria-describedby="caption-attachment-293215" style="width: 4946px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dd921162"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_205277723.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-293215" class="wp-caption-text">ドイツ戦、スペイン戦で同点弾を決めた堂安律（中央）。今後も日本代表の中心を担う選手として期待されるだろう（写真：アフロ）</figcaption></figure>


昨年12月28日、サッカー日本代表・森保一監督の続投会見にて。左から反町康治・技術委員長、森保監督、田嶋幸三会長。当初の予定より３週間前倒しして開催されたという（写真：アフロ） 昨年、カタールで開催さ

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