<figure id="attachment_296262" aria-describedby="caption-attachment-296262" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7dd3713c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_209209396.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-296262" class="wp-caption-text">1月26日、トヨタ自動車が社長交代を発表。 佐藤恒治氏（左）が就任。会長に昇格する豊田章男氏は笑顔が多かった（写真：アフロ）</figcaption></figure>
今年30周年を迎えたサッカーJリーグが17日から開幕する。１９９３年のスタート時から参戦しているJ１名古屋グランパス（以下J１名古屋）は昨年、かつて中田英寿が所属したイタリア・セリエAの名門ASローマと強固なパートナーシップを締結した。ASローマは1927年に創設された欧州ビッグクラブの一つ。昨年８月17日にJ1名古屋のオーナー会社でもあるトヨタ自動車がASローマと２年契約でメーンスポンサー契約を結び、この２ヶ月後の11月にはローマが１８年ぶりに来日して親善試合を行い両クラブによる業務提携を結んだ。Jクラブが欧州の強豪クラブと業務提携を結ぶのは極めて異例だが、4月1日付でトヨタ自動車社長を佐藤恒治氏に譲り、会長に就任する豊田章男氏が自ら動いた「会長案件」だった。
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「これは章男会長が動いていて、一気に進んだ提携でした」
トヨタグループの関係者がこう明かすが、なぜJ１名古屋の親会社にあたるトヨタがASローマとの業務提携に動いたのか。
欧州サッカー界は今、主力選手の年俸が高騰する一方で、ほとんどのクラブが巨額な資金難にあえいでいる。かつて、日本代表の中心選手だったMF中田英寿獲得のため、当時の日本人最高額となる移籍金３３億円をポンと出したASローマも、それは例外ではない。
現体制のひとつ前の体制は２０１１年春に１億１０００万ユーロ（約１３４億円）でASローマを買収。しかしその後、コロナ禍の影響を受けて厳しい経営難に陥った。そこで２０２０年８月、ASローマの買収交渉を続けきた米国のフリードキン・グループがクラブ株式８６.6%を５億９１００万ユーロ（当時のレートで約７４０億円）取得して新たなオーナーになった。以来、ASローマはフリードキングループのダン会長とその息子ライアン氏らを中心とした体制に変わった。
フリードキン・グループは米国テキサスを本拠地に西部５州のトヨタ独占販売権を持ち、中東でもトヨタ自動車を販売する「ガルフ・ステイツ・トヨタ・ディストリビューター」を設立している。つまり、ダン会長と豊田会長はビジネスで以前からつながっていた。あるJリーグ関係者がこう明かす。
「６６歳の豊田章男会長（現社長）からすれば５８歳のダン会長は弟みたいな存在で、『お互いサッカークラブを持っているのなら、日本で親善試合をやらないか』という話になり一気に進みました」
業務提携を記念して昨年11月に親善試合が開催されたが、締結に至るまでは段階を追って進められた。昨年5月、三菱重工浦和レッズレディースでプレーしていた女子日本代表DF南萌華（みなみ・もえか）がASローマの女子チームに完全移籍。３か月後の同8月にスポンサー契約を結び、男子だけでなく女子チームもスポンサードする全面支援となった。２年契約で３年目の延長オプションがあり、総額約２００万ユーロ（約２億８０００万）。「レクサス」などの電気車両や、モビリティーサービス全般を提供することも条項に入っている。
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さらに11月に結ばれた業務提携は、スポンサー契約に見られる資金面の支援にとどまらず、両クラブの発展を意識した内容も盛り込まれている。①トップチームの強化を含む親善試合の実施②ユース世代のアカデミー育成連携　③事業展開④社会支援活動―の４つの柱を立てて、両クラブが一緒になって未来永劫、ともに歩んでいこうというものだ。
こうしてサッカーのクラブとして歩んでいく方向性をしっかり明文化したが、数年前からトヨタは別の形でもローマに“お近づき”になっていた。
「トヨタは２０２０年にローマ教皇へ特別に製造した謁見用車両として水素燃料電池車（トヨタ・ミライ）も納車しています。ローマとトヨタのつながり自体は今回がはじめてではなかったのですが、業務提携が結ばれたことによって、より強固になったんですよ。大歓迎ですよ」(イタリアのサッカー記者)
<div data-friday-nextpage-lead="持続可能な業務提携の先にあったビジネスチャンス"></div>
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<figure id="attachment_296260" aria-describedby="caption-attachment-296260" style="width: 4551px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bdd11e84"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/GettyImages-1415791125.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-296260" class="wp-caption-text">世界的な指導者として知られるモウリーニョ（左）とASローマの選手たち。練習着の胸の部分に「TOYOTA」の文字が（写真：Getty Images）</figcaption></figure>
1965年生まれのダン会長は米国でも有名な大富豪の一人だ。2017年、52歳の若さでフリードキン・グループの経営を父親のトーマス氏から譲り受けて、総資産４１億ドル（約４３３０億円）にのぼる。イタリア国内では当初、ASローマという老舗クラブに米国人オーナーが就任したことに対して〝ブーイング〟も心配されたが、ダン会長は昨年、世界トップクラスのモウリーニョ監督を２０２４年６月まで年俸８００万ユーロ（約１１億円）で招くことに成功。欧州サッカー界でも指折りの過激さで知られるローマのサポーターのハートをわしづかみにした。
クラブも今季、リーグ戦で上位に食い込み、ダン会長に対するサポーターの風当たりは強くはないが、クラブ発足の翌年、１９５３（昭和２８）年に竣工し、７万６３４人収容が可能な本拠地・オリンピコの老朽化が長年の懸案事項になっている。前出のイタリアサッカー記者はこう明かす。
「フリードキン・グループはASローマの本拠地を中心にした大規模な都市改修の計画もあるんです。トヨタが関わってくれることによってローマが変わるのではないか、という期待感がこちらにはあるので、今回の業務提携の話はローマ在住の人にとっては大歓迎なんです」
フリードキン・グループと関係の深いトヨタにとって、都市改修事業に関わることが悪い条件でなければ、新たなビジネスチャンスが広がる可能性がでてくるわけだ。
J1名古屋のオーナーであるトヨタは1980年から25年にわたってサッカーのクラブ世界一決定戦「トヨタカップ」をスポンサードしてきた。Jリーグ発足前のアマチュア時代の１９８８年には元日本代表ジーコ監督の獲得にも動いた。さらにJリーグ発足元年にあたる３０年前、イングランド代表で８６年W杯メキシコ大会の得点王リネカーを当時Jリーグ最高年俸３億円で獲得した。
サッカー界を潤沢な資金で支えてきた印象が強いトヨタだが、ASローマとは対等でお互いの発展を意識した「持続可能な」業務提携だ。ただその先に、本業につながる新たなビジネスチャンスをしっかり見据えている。
<figure id="attachment_296263" aria-describedby="caption-attachment-296263" style="width: 5247px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="431ee62e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/aflo_205867333.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-296263" class="wp-caption-text">ASローマの女子チームに在籍する女子日本代表の南萌華（右）。チームは昨年11月、イタリア女子スーパーカップで初優勝した（写真：アフロ）</figcaption></figure>

1月26日、トヨタ自動車が社長交代を発表。 佐藤恒治氏（左）が就任。会長に昇格する豊田章男氏は笑顔が多かった（写真：アフロ） 今年30周年を迎えたサッカーJリーグが17日から開幕する。１９９３年のスタ

「豊田会長が動いて一気に進んだ」Jリーグ名古屋グランパスとASローマが提携した「深い理由」

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