きっかけは2年前 いまや売春や犯罪行為の温床に… 未成年とつるむ「トー横オジサン」とは何者か | FRIDAYデジタル

きっかけは2年前 いまや売春や犯罪行為の温床に… 未成年とつるむ「トー横オジサン」とは何者か

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和5年、歌舞伎町はいま……第47回

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「トー横界隈」といえば、少年少女のたまり場として認知されているが、出入りしている人間のなかには、実は30歳を越えたオジサンも多い。

昨年6月には、ボランティア団体「歌舞伎町卍会」の総長だったハウルこと小川雅朝容疑者(当時32)が、未成年の少女に淫らな行為をした疑いで逮捕。その後、今年2月には、同じく卍会の元副総長だったハセベ・フェルナンデス・マルコス容疑者(36)が、コンビニに自転車で乱入、威力業務妨害の疑いで逮捕されている。

ゴミが散乱し、酔っぱらいが寝転ぶ……。無法地帯と化した「広場」の様子
ゴミが散乱し、酔っぱらいが寝転ぶ……。無法地帯と化した「広場」の様子

居場所のない未成年のたまり場であるはずの「トー横」で、30代が相次いで逮捕されるというのはどういう事態なのだろうか。

「きっかけは、トー横キッズが『広場』に移ったことだと思う」

そう語るのは、未成年の頃から歌舞伎町に出入りしているマコト(仮名・23)。広場とは「歌舞伎町シネシティ広場」のことで、かつては「コマ劇場前」と呼ばれた場所だ。

「トー横キッズはもともと、『TOHOシネマズ』横の路地でたむろしていたんですが、’21年の夏頃に広場に移動したんです。広場には昔からいろんな人がいたじゃないですか。だからオジサンがトー横キッズに関わるようになったというより、トー横界隈が広場に参戦したみたいな感じなんですよ」

酔っぱらった男女やホームレス、暴力団関係者など、広場にはもともと多種多様な人間が集まっていた。そこに、トー横キッズも交ざり合うようになったというわけだ。

「昼間から広場で飲み会をしているオジサンたちとキッズが一緒に飲んだり。彼らからお酒やご飯を奢ってもらうこともある。同じグループというわけではなく、同じ界隈の人たちという認識ですね」(マコト)

実際に広場を訪れてみると、若い男女だけで集まっているグループも確かにいるのだが、明らかに成人している男性たちのグループも見かける。そしてそうしたグループがときに一緒に飲んだり、絡んだりしているのだ。なかには、ベビーカーを押す若い女性なんかもいるから驚きである。

だが、居場所のない子供たちに大人が関わり合うようになれば、事件は必ず起きる。最近頻発している売買春事件なども、トー横キッズの広場への移動が無関係ではないだろう。’21年11月27日には、ホームレスの43歳男性がリンチされたうえ殺害される事件もあった。このとき、リンチにはトー横キッズも参加したが、主犯格として逮捕されたのは26歳の男だった。

トー横界隈出身で、現在は歌舞伎町のバーで働くレン(仮名・24)はこう話す。

「いわゆるトー横キッズは、親とか学校から逃げて一時的に広場にいますけど、何年もずっといる子はほとんどいないんですよ。たいていの子が仕事とか見つけたりして、トー横から卒業していく。でも、あそこにいる大人たちは、ずっとあの場所にいるわけですよね? 俺らからしたら、ずっとあそこにいる大人たちのほうがよっぽど怖いですよ。なかには、卍会の人たちみたいに『居場所のない子供を助ける』とかって言っている人もいますけど、むしろ歌舞伎町や広場に依存しているのはあっちのほうなんじゃないかと思ったりします」

社会に居場所がないのは、キッズに限った話ではないのかもしれない。

佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』(扶桑社新書)が好評発売中

FRIDAY202333日・10日号より

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