広瀬すず『夕暮れに、手をつなぐ』ナメクジキス、空豆語が話題…北川悦吏子ワールドとの“相乗効果” | FRIDAYデジタル

広瀬すず『夕暮れに、手をつなぐ』ナメクジキス、空豆語が話題…北川悦吏子ワールドとの“相乗効果”

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ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』で本格的な恋愛ドラマに挑戦した広瀬すず
ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』で本格的な恋愛ドラマに挑戦した広瀬すず

広瀬すず主演の火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)。“恋愛の神様”の異名を取る北川悦吏子が脚本を手掛ける本格的なラブストーリーに賛否両論の声が寄せられている。

このドラマは、九州から婚約者を追って上京した野生的でチャーミングな空豆(広瀬)と作曲家を目指す青年・音(永瀬廉)が運命的な出会いを果たす、北川悦吏子が今の時代に贈る青春ラブストーリーの集大成。今作の魅力は、何と言っても空豆と音が下宿する古い日本家屋で繰り広げられる会話劇ではないか。

「第4話では、7月16日生まれの音に対して、7月9日生まれの空豆が『音がこの世におらん、7日、淋しかったと』と呟く。するとトキめいた音はそっと目を閉じて顔を近づける。ところが空豆は手に持った水鉄砲を音に向かって発射。『騙されおった』といたずらっぽく笑う。

しかし第4話の終盤。居間で居眠りをする音が何をしても目を覚まさないのを見て、『起きんね。泥棒してしまうとよ』と呟いてそっとキス。しかし翌朝、家主の響子(夏木マリ)と3人で食事をしていると、『きのう夢を見た』『すごい気持ち悪い夢で、こう、唇の上をナメクジがはっていく』『最悪でした』と話す音を見て、空豆は『許せん、こいつ』と怒りを露わにする。このスリリングな展開にネット民も大興奮。この“ナメクジキス”は、キスの名場面として、語り継がれること間違いなしです」(制作会社ディレクター)

魅力あふれる会話劇は、回を追うごとにブラッシュアップされていく。

第6話では、音のレコーディングの前祝いに2人が庭でシャボン玉遊びに興じる。冬の日差しの中で、今にも消えてしまいそうなシャボン玉を見ながら

「手の届かん人になると」

と尋ねると

「いくわけねぇじゃん」

と答え、人一倍大きなシャボン玉を膨らませる音。この場面を観て、幼い自分を捨てて世界のトップデザイナーとして活躍する母・浅葱塔子(松雪泰子)を思い、

「遠くの人を楽しませる人は、近くの人を悲しませる」

と呟く、あの切ない場面を思い返したのは、私だけではないはず。さすがは“恋愛の神様”。面目躍如たるものがある。

しかし今作は初回放送がツイッター上で世界トレンド1位に輝く一方、

「噴水で顔を洗ったりする描写のインパクトが強すぎて、恋愛に傷ついたヒロインに感情移入しにくい」

「方言もキャラクターも好きになれない」

といった声がSNSには数多く寄せられている。

空豆が話す方言“空豆語”は、彼女が宮崎出身の祖父と長崎からお嫁に来た祖母に、鹿児島と熊本の県境にある“えびの市”で育てられたことから、いくつかの方言が入り混じっている。第6話では“空豆語”について、ある秘密が明らかになる。

「空豆にとって標準語こそ、空豆を捨て、故郷を捨てた母・塔子の象徴。だからこそ、空豆が勤める高級ブランド・アンダーソニアのデザイナー久遠徹(遠藤憲一)に、『標準語をしゃべれ』と命令されても『標準語なんてモードが最も嫌うことだ』と突っぱねる。この姿に、脚本家・北川悦吏子の矜持をみた思いがします」(前出・ディレクター)

思えば北川は、大ヒットドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)をはじめ多くの作品で同調圧力に屈しない、強靭な魂を持つ自由人を描いてきた。そして空豆のみならず、空豆を演じる女優・広瀬すずもまた、そうした強靭な魂の持ち主なのかもしれない。

「広瀬は、これまで数々の映画作品で日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を獲得。昨年公開され、松坂桃李とW主演を務めた映画『流浪の月』では、李相日監督が『彼女が秀でているのは、その熱量。おそらく持って生まれた魂の強さ、存在から放たれるエネルギーは他の人にはない魅力』と言って賛辞を惜しまない。

こうした広瀬の魅力が“時代性を凌駕する自分の個性こそが、北川ワールド”と豪語する北川作品のヒロインを演じることで相乗効果を生み出しているのかもしれません」(制作会社プロデューサー)

広瀬がドラマで本格的なラブストーリーを演じるのは、今作が初めてのこと。映画『流浪の月』のプロモーションで去年、番組『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演した際、数々の賞に輝いた金曜ドラマ『最愛』(TBS系)に“どハマり”していたと告白している。

それだけに北川悦吏子とタッグを組む今作には、心に期すものがあるのかもしれない――。

 

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

  • PHOTO中村 和彦

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